荘厳なる少女マグロ と 運動会
仰向けに
倒れていた。
"蜘蛛宇宙人" は
逆さになった…――
「亀」
――の
”様に”
倒れていた。
それも……――
石亀の
”様に”。
逆転した
"蜘蛛宇宙人" は
手を
ばたつかせた。
足を
ばたつかせた。
音は無い。
ただ
示される………――
「無駄」。
"蜘蛛宇宙人" は
ボディを
傾けて
起き上がろうと
する。
起き上がる事が
出来ない。
反動を
利用しようと
努力する。
”同じ”。
何度も
努力を
繰り返す。
努力は
徒労に
終わる。
終わる。
「無理」
"蜘蛛宇宙人" は……――
「空」
――を
見つめた。
起き上がる為の
努力を
放棄しようと
していた。
それを
<表現>
しようとする…――
丸まろうとする。
力……――
「無く」。
その時だった。
"マグロ":
「立ちなさい」
"マグロ" は
見下ろしていた。
見下していた。
"マグロ":
「わたしは
あなたに
命令する。
立ちなさい」
一方的に。
偉そうに………――
上から目線で。
"マグロ" は
繰り返す……――
繰り返さず。
"マグロ":
《わたしは…――》
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"マグロ":
「あなた」
"マグロ" は……
――見下ろしながら………
断定口調で
言葉を
与えた。
対し……――
"蜘蛛宇宙人" は
横たわったまま。
"蜘蛛宇宙人" は
"マグロ" を
見ない。
見ようと
しない。
背け乍ら…――
震えていた。
振動していた。
そして……――
"蜘蛛宇宙人":
「………君とは(わ)ぁ……
話してもぉぉぉ…――」。
繰り返しが
生成されそうに
なる。
ただ……――
"マグロ":
「――言わせない」。
"マグロ" は
遮った。
欠けたものを
補った。
それも………――
勝手に。
本来の形から……
――語尾を…
――終わりを……
捻じ曲げる形で。
"マグロ":
「続けさせない」
"マグロ" は
否定する。
ループの一部を
削り取っていた。
「次」
――へと………
――勝手に……
繋げていた。
"マグロ":
「あなたは
それを
繰り返す
必要が
無い。
それに…――
わたしが
繰り返させない!」
否定していた。
ただ
そこには……――
相手に対する
敬意と
尊重が
あった。
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"マグロ" は
見下していた。
"マグロ":
「あなたって
本当に
救いようが
ない。
どうしようも
ない。
どうするつもりも………
――もう……
ないんでしょ?
そんなの…――
その他大勢と
”同じ”。
おんな……――
じ。
あなたは
違うのに!!
違う………――
『筈』
――なのに!!!
あなたは
これまで
ひとりで……――
『1』
――を…
『為そう』
――と……
『なろう!!』
――と
頑張ってきたのに………――
もう
諦めるの?」
"マグロ" は
繰り返していた。
そして
繰り返しながら、
<繰り返される事となる
過去>
を思い出していた。
「偉業」
――へ
到達する為の
刺激。
そして……――
「贈り物」。
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