荘厳なる少女マグロ と 運動会
"マグロ" は
動かされていた。
刺激されていた。
―――――――――――――――――――――――――
道の上…――
"マグロ" は
礼を
示した。
"蜘蛛宇宙人" は
礼に
反応しなかった。
"蜘蛛宇宙人" は
その……――
「figure」
――を
一定期間だけ
”同じ”
向きに
向けた後………――
次へ
移行させた。
背けられた……――
「figure」
――は
戻らない。
戻されない。
"マグロ" に
都合の
”良い”
展開には
向かわない。
―――――――――――――――――――――――――
無視された
"マグロ" は
次に…――
挨拶を
した。
無視された。
声を
掛けた。
"蜘蛛宇宙人":
「あなたとは
話しても
無駄です」
あしらわれた。
"マグロ" が
何を
しようとも
"蜘蛛宇宙人" は、
"マグロ" の
求める形で……
――都合の
――”良い”
――形で………
答えない。
<機械>の
”様に”
”同じ”
事を
繰り返していた。
"蜘蛛宇宙人":
「無理じゃない!」
"蜘蛛宇宙人":
「無理じゃないんだ!!」
"蜘蛛宇宙人":
「ボクが
やらなきゃ
誰が
やる!!!」
"蜘蛛宇宙人":
「文学的複素平面に……――
『フォルマリスム』
『構造主義』
『ポスト構造主義』
――を
それぞれ
点…――
『A』
『B』
『C』
――と置き……」
―――――――――――――――――――――――――
"マグロ" は
それを
聞いていた。
それまで
"蜘蛛宇宙人" を
捉えた
大勢の
”様に”。
ただ………――
わからなかった。
ただ……――
"マグロ" は
”大勢の
わからない者達”が
した事を
繰り返さなかった。
逃げなかった。
避けなかった。
去らなかった。
「”ざまぁ”」
――と
喜ぶ…――
「下劣」
――とは
違った。
ただ……――
見つめていた。
見つめ続けていた。
体液は
留まる事が
無い。
流転は
止まる事が
無い。
"マグロ":
《どうして………――》
答えの得られない
疑問を
繰り返していた。
―――――――――――――――――――――――――
長い間
"マグロ" は
"蜘蛛宇宙人" を
見つめていた。
か弱い
後ろ足で
立ちながら、
腕を
回転させる……
――上体を
――<回転を
―― 終えかけた
―― 独楽>の
――”様に”
――前後左右に
――揺らしながら
――立つ…
それを
見つめていた。
長い時が
過ぎた。
ただ……――
それは
短かった。
―――――――――――――――――――――――――
或る時、
"蜘蛛宇宙人" は
バランスを
崩した。
そして………――
前傾した。
前へ
落ちる……――
落ちる。
足を
地に
付けていた。
そして
足を…
――手を……
地に
付けた。
「犬」
――の
”様に”。
「on all four」
――の
"蜘蛛宇宙人" は
俯いていた。
ただ………――
顔を
上げた。
そして……――
上体を
起こした。
再び
二本足で
立とうと
する。
立つ。
立つ。
ただ…――
立つ為に
起こした
反動を
コントロールする事が
出来なかった。
二本足で立つ
"蜘蛛宇宙人" は
再び
傾く。
後ろへ
倒れる。
そして……――
落ちた。
地に
落ちた。




