荘厳なる少女マグロ と 運動会
その時…――
"マグロ" は
思い出した。
幼い頃に
出会っていた事を
思い出した。
そして……――
犬が
犬ではない事を
理解した。
犬が
<人>
である事を
理解した。
「人間」
――である事を
知った。
年経た
"蜘蛛宇宙人" である事を
知った。
年経た
"マグロ" と
”同じ”
年月を
通過してきた
"蜘蛛宇宙人"。
"マグロ" が
進み、
戻るのと
平行する
それ。
"蜘蛛宇宙人":
「無理じゃない!」
"蜘蛛宇宙人":
「無理じゃないんだ!!」
"蜘蛛宇宙人" は
”同じ”
事を
繰り返していた。
誰からも
受け入れられずに。
手足を
縛られ、
傷つけられ、
無視されながら
繰り返していた。
無視しながら
繰り返していた。
"蜘蛛宇宙人":
「無理じゃない!!!」
"蜘蛛宇宙人":
「無理じゃないんだ!!」
"蜘蛛宇宙人":
「人間
であるボクこそが
この文明を
推し進める!」
"蜘蛛宇宙人":
「ボクが
やらなきゃ
誰が
やる!!?」
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"マグロ":
《この
<人>
ずっと………――》
"マグロ":
《今まで
ずっと……――》
"マグロ":
《わたしが
見てない間も
ずっと…――》
"マグロ":
《わたしが
恋している間も
ずっと……――》
"マグロ":
《わたしが
くだらない事に
かまけている間も
ずっと………――》
"マグロ":
《変わらずに
ずっと……――》
"マグロ" は
高まった。
高まらずに
高まった。
"マグロ" の目が
潤んだ。
そして…――
溢した。
体液を
漏らした。
体外に
濡らした。
「女」
――は
排出せずに
排出した。
"マグロ":
《なんで……――》
"マグロ":
《なんで
そんなに………――》
わからなかった。
ただ……――
わかっていた。
"マグロ":
「…Uuuuu……」
"マグロ" は
犬の
”様に”
唸った。
泣いていた。
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マグロ" は
液体を
零し続けた。
拭いもせずに
零し続けた。
ただ………――
”感傷的”
――ではなかった。
鐘の音は
無かった。
"マグロ" は
自身を
攻めていた。
”重力ストーン”を
捨てた事を
後悔していた。
腕を
使わない自身を
断罪していた。
抱けるにも関わらず
抱かない事を
恥じていた。
壊れていても
所有する事を……――
「諦めていた」
――自身に
腹を
立てていた。
"マグロ":
《この人は
ずっと
やり続けていたのに
わたしは…――》
"マグロ":
《わたしは……――》
"マグロ" は………――
「負けず嫌い」
――であった。
そして……――
"マグロ":
《わたしは
”劣っている”!!!》。
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