荘厳なる少女マグロ と 運動会
"蜘蛛宇宙人" は、
”重力スケート”
の地方大会が
行われている
会場の中…――
見る。
入口を
見た。
そこには
"マグロの母親" が
いた。
<ビエール>
に乗っていた……――
縛られて。
傷だらけで。
穴だらけで。
漏らしていた………――
体液を
大量に。
ただ……――
流出を…
――最小限に……
止める為の
処置が
施されている。
「平等」
――社会の中で
<特別>に。
"後輩" には
施された無かった
待遇。
そして
その上で………――
「patch!」
――を
当てられない
口。
穴から
体液と
”同じ”
”様に”
漏れる……――
啜り泣き。
大勢が…――
「可哀想!!」
――と……
”共感”
――する………
<解釈>
――する……
「figure」
――で
それは
横たわっていた。
それは
呟いていた。
"マグロの母親":
「あたしは(わ)ぁ…
”悪く”ぅ……
ないぃぃぃ………」
"マグロの母親":
「”悪い”のは(わ)ぁ……――
『男』
――だぁぁぁ…」
"マグロの母親":
「『男』
――なんてぇ……
すべてぇ………
滅ぼされてぇ……
しまえばぁ…
”良い”
のにぃぃぃ……」
"マグロの母親":
「”出来る奴”
なんかぁ………
”謙虚じゃない奴”
なんかぁ……
消えてしまえばぁ…
”良い”
のにぃぃぃ……」
"マグロの母親":
「あたしが
”共感”
出来ないものは
低評価!!!」
"マグロの母親":
「理解出来ない事は
無い事と
”同じ”!!」
ただ………――
誰も見ていない。
それぞれは
それぞれに
忙しいから。
倒れた少女は
起きる事に
忙しく、
”親”は
子供に
忙しく、
他は
狼狽に
忙しい。
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悪人の
体表に……
――大量に…
発生する穴は……――
「黒」。
隠される処置が
施されようと
無い訳では
無い。
そして
それは
作られた
色
ではない。
光が………――
「無い」
――という
<状態>。
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"蜘蛛宇宙人" は
悪人から
視線を
外した。
そして……――
"マグロの母親" の
傍に
<人>
が立っている
”様”
を見つけた。
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<人>が
ひとり
立っている。
"後輩" であった。
「次」
――の
"後輩"
であった。
それは
繰り返しであったが、
繰り返しではなかった。
戦地で
生命維持活動を
終わらせる事は
無く…
――帰国後……
諜報員として
活動していた
という点で
前とは
違ったが………――
<"後輩">。
そして
それは、
前の
"後輩" と
”同じ”
”様に”
#<蜘蛛宇宙人>
シリーズの
<クローン>#
であった。
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それは
違った。
ただ……――
”同じ”
事を
繰り返そうと
していた。
それは、
終わりに向かう…
――終着点へ向かう……
"マグロの母親" の
乗った
<ビエール>を
自動生成に
任せ乍ら、
"マグロの母親" に
向かって
言葉を
投げかける。
"後輩":
「あなたとは
話しても
無駄です」
そして………――
背を
向けた。
前を
繰り返した。
ただ……――
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背を向けた
"後輩" は
視界の領域の中…――
"蜘蛛宇宙人" の
フィギュアを
捉える。
前の
"後輩" が
出会わなかった
もの。
与えるもの。
対し、
礼を
示した……――
礼を
示さずに。
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