荘厳なる少女マグロ と 運動会
不快が在った。
見えないが――在った。
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"マグロ" は見た。
不気味な佇まいの
――のっぽな
"怪人" は、
見ていなかった。
その目は
ただ
――それまで
――"マグロ" に話しかけていた
<異様な子供>
だけを
捉えていた。
捕らえていた。
"怪人" の長すぎる腕が
揺れていた。
指先が尖って見える。
突き刺すのに適した――
「クロウ」。
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"マグロ" は
"?" を見た。
笑顔だった。
"?":
「うん!
ちゃんと練習
してるよぉ!!」
"?" が
"怪人" に
話しかけていた。
嘘をついていた。
"マグロ" と話している時と
声の調子が
違った。
"?" の
無理して作った声色
に対して…――
"怪人" は
頷く
だけ。
"怪人" も笑顔だった。
口を動かさず、
頬を盛り上げるだけの
作り笑顔。
硬直した――眼筋。
いつまで経っても
"マグロ" の方を
見ようと
しなかった。
それは
<口下手>
や
<人見知り>
と呼ばれる者が、
初めて会った者に対してする
視線の外し方では
なかった。
関心の欠落。
排除の――センテンス。
"怪人" は
――無言で
<何か>
を取り出した。
”小枝”
の様な形をしていた。
透明のカバーに
包まれている。
差し出した。
"?" は
手を伸ばした。
"?":
「うん!!!」
受け取った。
快活な笑顔。
歪であった。
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言葉はなく――命令だけ。
一方的な支配――
それはしばしば
<相互理解>
と呼ばれる。
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"?" は
――与えられたばかりの
――透明
――を開けて
中身を摘み
――折って
口にした。
「……so shirk」
「so shark………」
そして
"?" は、
美味しそうな
顔をした。
それは――嘘であった。
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飲み込みが確認されると――
"怪人":
「じゃぁ……頑張るんだよぉ…。
負けるんじゃ……ないよぉ………」
"怪人" は
顔を背けた。
"?":
「うん!!
ボク、頑張るよ!」
"怪人" の逸れ行く顔に従って、
"怪人" の身体のフロントも
"?" から
背けられた。
"?" の言葉に
注意を向けた様子は
なかった。
微塵も。
"怪人" は
"マグロ" をも
――ちらとも
見なかった。
そのまま、歩いて行った――
入口に向かって
最短距離で。
歩に――躊躇なし。
”重力スケート選手”
として登録されている
――"マグロ" とは別の練習場に通っている
一少女が、
"怪人" の進む軌道の上に
いた。
<颯爽>
から
”さわやかさ”
が欠けて
#不気味#
が添加された
そんな歩き方で進む
"怪人" を見て――
その幼き少女は
顔を
引き攣らせた。
突進してくる――威圧。
道を譲った。
捕獲者を知り
逃げようとする
兎の様だった。
"怪人" は、
少女など存在しないかの様に
進んで行った。
スピードを落とす事は
ない。
邪魔を踏みつける事に
抵抗などない。
"マグロ" は
"?" を見た。
"?":
「……今日で終わりなんだ…」
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”重力スケート”
に於ける
<キテイ>
では、
”重力ストーン”
で半円を
#正確に#
描く事を
求められる。
"?" は、
それをする事が
出来た。
それでも
――いつでも
足切り。
排除対象。
人工知能は
"?" の技術が
選手の中でも
レベルの高い事を
――数字で
示していた。
ただ、
同時に、
人工知能は
示し続けた……――
<踏み切り違反>
を。
"?" が大会に出場すると、
半円を描く前に動かす足の位置が――
「間違っている!!」
――として
踏み切り違反
が指摘され、
それ故
”減点”
が宣告された。
そして
”減点”
は、
子供が跳び、
演技をする
機会を
奪うのだ。
そして
ジャッジは
宣告し続ける………――
<どれだけ優れているか?>
ではなく、
<どれだけミスが少ないか?>
という
”基準”
を用いながら、
#勝ち負け#
を決めるのだ。
そのミスというものも……――人間が決めるのだ。
人間が決めるのだ。
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人間達によって、
"?" は
「失敗である」
と断じられてきた。
それももう…――終わりなのだ。
そして……――
進むべき道に
進むだけだ。
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人間社会は変化を続ける。
その変わり続ける社会の中に、
変わらない
<原始人>
が一定数
ある。
常に――あるもの。
そして
それらは
あり続ける………――
それだけの事。
それだけの事。
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