荘厳なる少女マグロ と 運動会
その
<状態>
の中…――
"悪人" は
聞いていた。
「U……」
「………Uuuuu……」
「UUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!」
それは
羽音でありながら、
羽音ではなかった。
唸りながら、
唸っていなかった。
音は…――
「boon」
――では
なかった。
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ペリフェリの
隙間を
縫う
”様に”……――
「U」
――と………
「U」
――の間に沿って
声が
"悪人" の許へ
届く。
それは
ワープする形で
届いた訳では
無かった。
それは
外部から
突然
移動してきた訳では
無かった。
ただ……――
”切り離される前に
残された要素”を
再構成する形で
発生していた。
そして…――
"蜘蛛宇宙人" に
操作されていた。
"蜘蛛宇宙人":
「心配しないで。
痛くないから。
その
”ABEE”は
刺さないから。
あの
倒れた子 ["倒れた少女"] みたいには
ならないよ。
あなた ["悪人"] は
カ [噛] まれさえ
しない。
あの、
”あなた ["悪人"] が
嫌っていた人 ["マグロの母親"]”
みたいに
あなた ["悪人"] は
カ [噛] まれないよ。
あなた ["悪人"] は
ウ [撃] たれないよ。
あなた ["悪人"] は
ボクの
仲間 ["後輩"] とは
”同じ”
結末に
ならないよ。
表面に
穴は
開けられないよ。
”悪い”
事しても
バッ [罰] されないんだよ。
望み通りの
展開でしょ?
あなた ["悪人"] は
包まれるの。
『A, B, …… E1, E2, E3. E4, E5, ………』
――構造の中に
取り込まれるの。
あなた ["悪人"] は
埋め込まれているの。
”同じ”
になるの。
それは……――
『boon』
――でありながら
そう
鳴かない。
泣かない。
解体する為の…――
『boon』。
あなた ["悪人"] は
内部で
分解されるの。
ヨーソカンゲン [要素還元]
されるの。
『organe』
――の中で
バラバラに
されるだけ。
簡単なお仕事。
でね、
あなた ["悪人"] は
本来の姿を
取り戻す。
あなた ["悪人"] は
ひとつの……――
『E』
――に戻るの。
そこに
苦しみは
無いよ………――
”良かった”ね!!
もう
あなた ["悪人"] は
苦しまなくて
”良い”
んだよ。
あなた ["悪人"] は
何も
為さなかったし、
これからも
何も
しない。
誰に
求められていようと
関係が
無い。
あなた ["悪人"] は
消えるの。
コピーである
あなた ["悪人"] は
何も
残さずに
消えるの。
あなた ["悪人"] の
要素は
残る。
でもね……――
あなた ["悪人"] は
残らない。
あなた ["悪人"] に
設定された…――
『個』
――は解体されるの。
代入されるの。
さようなら」
そして……――
「boon!!!」
――そうなった。
それは
勧善懲悪であったが、
勧善懲悪ではなかった。
そして………――
何も
違わない。
変わらない。
それを
見るものは
いない。
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