第三幕 不幸な青年は再び裏切られる
三幕ですd(^_^o)
こんなだんだんおかしくなっていく文章。
ごめんなさいorz
あれから四日間。やはりこの部屋に入るものは誰もおらず、食事は廊下に置かれ、空のトレイを置いておくといつの間にかなくなっていた。
フェスがいない間、誰かが来るかと身構えていたスキアだが、四日目の夜に来ないとなるともう来ないだろうとベットに戻って、身体を休めていた。
明日でスキアが17歳を迎えると共に、フェスの所属するギルドのメンバーが帰ってくる日。
スキアは五日前に決めた小さな決意と願いを心に仕舞い、早めに休息を取ることに決め、目を閉じた。
そして五日目、スキアは暑苦しさと何かの鳴き声の五月蝿さで眼を覚まし、起き上がり、窓に近寄った。
いつものよう何も変わり映えのない朝を迎えた筈だった。
しかし、眼に映ったのは真っ赤になった空と町の姿だった。
町からたくさんの煙が立ち込め、天にまで伸び、家は壊れているもの、崩れ落ちているもの、倒れているものなど、普通ではあり得ない町の姿にスキアは目を見開いた。
「どうなっている・・・」
窓を開け放ち、双眼鏡を取り出し、覗き込んだ。そしてそこに写ったのは。
「竜?」
そう、様々な種類の竜たちがその身体、爪、尻尾、翼、それぞれの魔法を駆使して、町を襲っていた。
竜は知能が高く、魔法が使える生き物として有名だ。
しかし人間たち、特にパノルゴス家が理由もなく退治するため。
そして人間たちだけでなく、他の種族もより強い武器や防具を作るため、薬に使うため、お金を稼ぐために襲っていった。
その結果、ドラゴンの姿を見ることはなくなった。たまに見たとしてもすぐに姿をくらまし、その存在は伝説へと変わっていった。
その竜たちが姿を現してまで、この町を襲っている。その事実にスキアは呆然とした。
しかしスキアの眼には竜しかいなかった。
つまり、人間族の姿が誰一人見つからないということだ。
「なぜだ、なぜ誰一人この町にいない」
この町は竜ハンターを育てる町としても有名なところが、このようにドラゴンに好き勝手されて黙って見ているだろうか。
「いや、違う。何か、何かがある」
その時、屋敷が揺れた。
「⁉︎」
スキアは倒れこみ、屋敷ぐ傾く。
さらにドカンッと部屋のドアと周りの壁が吹き飛ぶ。砂煙が立ち込め、自分の眼より赤に黒が混ざったような色の眼がこちらを睨みつけていた。スキアは息を飲み、煙により見えない竜を見つめる。
そしてドラゴンはスキア目掛けて、突っ込んできた。すぐに横にずれ、元いた場所を見ると、竜が壁を壊し、外が丸見えになっていた。
スキアは直ぐに立ち上がり、壊れたドアの方から廊下へと飛び出した。
後ろからガラガラッと何か崩れる音がしたが、そんなことなど気にする暇もなく、スキアは走り出した。
屋敷の中は普段の静けさはなかった。天井が廊下などに崩れ落ち、壁は穴が空いていたり、炎に包まれ、肌が焼けるような暑さだった。
病弱なスキアは、今まで最低限しか動く事がなかったため、すぐに体力が奪われた。
屋敷の構造も知らないスキアは、すぐに足を止めてしまう。自分が何処にいるかわからなくなった時、
「兄さん‼︎」
目の前、一つの扉の前にフェスが剣を持って立っていた。
「フェス」
スキアはなんとかフェスの元まで行こうとしたとき、フェスは剣を振り上げ、周りの瓦礫を切り崩し、道を塞いだ。
スキアは目を見開き、何が起きたか、頭が追いつかず、瓦礫の隙間からフェスの方を見た。
フェスの顔は十六年間一緒にいたスキアが今まで見ていた笑顔と変わらない優しい笑みをこちらに向けていた。
「フェス、どういうことだ・・・?」
スキアは目をそらすことなく、しっかりとフェスをみる。フェスはそれでも笑みを絶やすことなく話し始めた。
「バカな兄さん。バカで可哀想で愚かな兄さん。こんな一族に生まれなければもう少しいい生活を送れただろうに」
「こんな使えない兄さんのために、僕は十六年間も頑張った。だっておかしいでしょ?こんな病弱で、魔力がなくて、異端な兄さんが生きてたら、僕はいつまで経っても一族の長に慣れないじゃないか。だから“可哀想な憐れな双子の兄の世話を頑張って一生懸命見ている強く優しい双子の弟”を演じて、自分がふさわしいって証明した。だけど、それだけじゃダメだった。兄さんがいるからさ。だけどあからさまに殺しちゃまずい。だからこの作戦に出た」
「知ってるかい?僕が何年も前に隠れていた竜たちを見つけて、もう退治しないという誓約書を結んだことを」
誓約書は両者の血により契約を交わす、言わば絶対的な約束。
その契約に反したことをどちらか片方が行ったならばその違反した者が死ぬというもの。
「この誓約書には僕の名しか入れなかった。だからそれを知らなかった他の竜ハンターたちに場所を教えて、その契約した竜を殺してから何種類のドラゴンと契約していたから、どんどん襲っていった。それに腹を立て、今回の事が起こった」
スキアは何もいうことができなかった。何年も前から自分を消そうと計算しながら、それを悟らせずに、少しずつそれを実行しつつ、自分のことを信じてもらおうと一緒にいた、双子の弟のことを。
「今回の事件のことはこういう風にしてある。『今回のことは一族の長男、スキア・パノルゴスがすべての発端。竜をこの町におびき寄せ、この町と自分の双子の弟、フェス・パノルゴスに復讐しようとしたのが目的。それにいち早く気付いた弟は町の人たちに呼びかけ、死者は免れた。それでも何とか兄を止めようとした弟は屋敷の火の中に飛び込み、兄を助けようとしたが兄は竜に襲われ、瓦礫の下敷きとなり、死体は見つからなかった”てね」
それだけ言うとフェスは座り込んでいるスキアに背を向ける。そして手を振り一言こういった。
「じゃあね」
そしてスキアの目の前で出入り口らしきドアは、崩れ落ちた。
さらにスキアの後ろから唸るような声が近づいていた。