第二幕 不幸な青年はもう一度
二幕目ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
今日はなんか頭からネタが浮かんで一気に書いてしまいました。
フェス・パノルゴス。
スキアの双子の弟は今まで見たことがないような美しい赤い髪に透き通るような眼、魔力はプラチナ、そして今までにないくらい素晴らしい鋼のような体を持って生まれた。それはまるで神に愛されているかのような姿だった。そのため一族からも期待され、愛され、実力もあるため、ある意味不自由なく生きることができていた。
しかしどういうわけか、フェスはスキアから離れようとはせずに家族からどんなに反対され、スキアのことについて言おうとそんなことお構いなし。
昔からあの夢を毎日見るのと今の現状からすっかりスキアの性格は少し、いや大分神経が図太く無口無表情で人嫌いに拍車をかけていたため、当然こいつも何か企んでいるのだろうと無視をしたり、冷たくしたりととにかく離れようと努力した。そんなスキアの努力もスラリと躱され、なんだかんだで十六年間過ぎてしまった。
「うん、今日は調子がいいみたいだね」
フェスは手首の脈を測り終えるとお盆を片付け、いつものように新しい本を五、六冊渡された。いつもより多いことを不思議に思い、首をかしげたが、あまり深くは考えなかった。
フェスはスキアの世話だけでなく、スキアが暇をしないように毎回新しい本を持ってきてくれた。どうやらフェスは本を読むのは苦手なため、代わりにスキアが読んだ後、わかりやすいようにフェスに話していた。
そのため、今では竜の生態から魔法の特徴、さらに道具の分解から製作など細かいところまで頭の中に記憶されていた。これだけはフェスに負けはしなかったが、どれだけ覚えていても一日中、年中無休でベットの住人では話にならなかった。
しばらく話をして、区切りのいいところで止めると今まで聞いていたフェスが話し始めた。
「そうだ、明日から僕は十日ほどいないんだ」
いない理由について、スキアはすぐに思い浮かんだ。
「ギルドの依頼が?」
この世界にはギルドと呼ばれる場所がある。
まずギルドとは色々な人が集まって情報を交換したり、交流したり、依頼をしたり、請け負ったりなどできる場所だ。
その中の依頼だと依頼主自身が解決できなかったりするものだからその報酬をつけてギルドに頼み、ギルドが難易度をつけて掲示板に貼り付ける。その依頼は誰でもうけることが出来るが、受けた本人が例え死んでもギルドは保証しない。そのことを念頭に置いて依頼を受ける。
ギルドにもランクがあり、登録したという証明書としてカードが渡される。カードを発注するのにも魔力の色によって決まる。
プラチナだとS、ピンクだとA、黄だとB、黄緑だとC、灰色だとD、透明だとEになる。
「そうなんだ。なんか普通の人じゃ難しいところらしくてね。だから一度調査してきてほしいって頼まれてさ、五日ほど開けちゃうけど・・・」
気まずそうにこちらを見るフェス。沈黙が続き、耐えられなくなったフェスはガタリと立ち上がる。
「そ、それじゃあ、明日から僕はいないけど、ちゃんとご飯を食べてゆっくりしていてね!」
そう言って出て行こうとするフェスにスキアは声をかけた。
「・・・早く帰ってこい。まだ話し足りないからな」
バッとフェスはスキアの方を見たが、スキアはもう視線を、フェスから本に向けていた。
「わかった、なるべく早く帰るから」
フェスは笑いながらゆっくりドアを閉めた。
本から目を離し、いつも眺めている窓の外を見る。
もうすぐ、火の月から水の月に変わる。そして弟が帰って来る日は、自分が全て否定された、自分が生まれた日。
どんなに母親からも、父親からも、姉からも、妹からも、親戚からも、一族からも。
反対されながら決してこんな双子の兄を見放さず、十六年間面倒を見てくれた弟。
どんなに酷く突き放そうと笑いながら一緒にいてくれた弟。
もう一度。もう一度だけ、人間を、弟を、フェス・パノルゴスを信じてみようか。
帰ってきたら、お礼を言ってみよう。
その日に少しだけ、願ってみよう。
人間が悪い奴じゃないんだと。
ちなみに、ここでの月日は日付は1〜30まで。
月は、火の月→水の月→風の月→雷の月→闇の月→氷の月→無の月→木の月→光の月→土の月→霧の月→無の月
と、12に別れています。ちなみにその月にそれに関連する天気になり、さらにその関連する魔法を使うと、攻撃力が上がります。
無の月は何にもない日です。