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プロローグ1

 白だろうか。いや、白銀だろうか。

 俺が目を開けると、そこにあった。

 その白銀のものは二人の少女の髪の色だ。

 片方の少女は白銀の髪を腰まで伸ばしていてエメラルドのような碧眼に強気そうな表情をしているのだが、そんなの関係ないくらい見とれてしまうほど可愛らしい女の子だ。

 もう片方の少女は白銀の髪をツインテールのようなおさげにしていて、サファイヤのような青い瞳で、真面目で落ち着いた印象を受けて、こちらもまた見とれてしまうほど可愛らしい女の子だ。

 二人とも俺と同い年くらいでスタイルがよく白い肌、可愛らしい容姿が似ているということから姉妹ということがわかる。

 それよりもここはどこなのだろうか。

 少なくともどこかの家の中なのだとはわかるのだが、木と石でできた家なのだけど、なんというかいわゆる中世ヨーロッパの建物というかよくあるファンタジーアニメやゲームに出てくるような建物だ。

 俺の記憶の中では最後にいたのは自分の家でテレビを見ていたはずだ。

 俺も困惑しているようだったけど、俺の目の前の少女達も困惑していたが蒼眼の女の子の方が。

「おねえちゃん。変な人が出ましたが契約を結びましょう」

 おねえちゃんと言ったから、蒼眼の方が妹なのだろう。

 というか、初対面の人に変な人はないだろ。

「でも、この人普通の人間よ」

「ええ。そうかもしれませんが、おねえちゃんはかれこれ99回ほど召喚に失敗しました。そして100回目でやっとこの人がでてきたのですよ。もう召喚の材料も返す方法もないのですから契約を結びましょう」

 ふむ。召喚だとか、契約だとか言っているけど、これは二人が中二病というもので俺を誘拐したことを召喚とか言っているのだろう。もしくはあれだ、番組とかであるドッキリを仕掛けられたのだろう。

「でも…」

「それに、召喚されるということは何か特別な力があるかもしれません」

 ドッキリなのか、中二病なのかわからないが、姉の方は俺と契約を結ぶのはあまり乗り気じゃあないのに対して、妹の方はさっさと結んで欲しいというところだろう。

 それからしばらく二人は俺に聞こえない声の大きさで話していた。

 どうする? ここから逃げるか? というかここはどこだ?

 俺が逃げる計画を立てていると、姉妹が俺の方向を向いて。

「それではやりましょう」

 妹の方がそう言うと、姉の方が頷いて、俺に向かって手を向けた。

 彼女の手は細くて白く、まさしく白魚のような指というものだった。

「この者を我が僕とせよ」

 彼女がそう言うと、彼女の立っている地面が光って、俺の右手の甲にナイフで肉が抉られるような痛みが走った。

 見ると俺の皮膚が抉れていっていた。

「うっああアアアアアアアア」

 痛みが更に増して、燃えるような痛みに神経を無理やり剥がされるような痛みとなった。

 そんな痛み、一般通過一般人の俺が耐えられるわけがなくて意識が薄れていった。

 最近…のドッキリって凄い…。


 いつもの通学路、何も変わらない住宅地、日本ではどこにでもある普通のアスファルト道に俺はいた。

 ああ。そうか。学校に行かないと。

 学校行くならあいつがいるはずだよな。

 俺は振り返って周りを見ると、こちらに向かって走ってくる人物がいた。

 その人物は俺の元まで走ってきて、

「もう…。置いていかないでよ…」

 その子は息を切らせながら言う。

「ごめん。ごめん」

 俺はその子に向かって手を合わせて謝る。

 その子は俺を向いて目がぱっちりとして端正な可愛い顔の頬を膨らませて、

「もう…」

「で、どうして遅れたんだ? いつものお前なら時間前に家の扉の前で待っているくらいしているのに」

「これがなかなか見つからなかったから」

 彼女は俺に向かって漆のように黒く腰まで伸ばしている髪の後頭部の辺りにつけている桜の花がついた髪止めを見せてきた。

「そうか。というか、お前それ」

「うん。そうだよキミがくれたものだよ」

 彼女が言った通り、桜の花の髪飾りは俺が彼女に十年ほどの前の誕生日に渡したものだ。

 子どもの頃に買った安物の髪飾りを大切にしているなんてどうなのだろうか。というか俺が新しいものを買って渡せばいいのだろうが、こいつに餌を与えるのは避けたほうがいい。

 理由? そんなの決まっている。

「ハアハア。耳の裏から香る匂いが堪りませんわ。少しくらいなら…」

「よくないからな」

 俺は顔色一つ変えず欲情して俺の耳の裏を舐めようとする幼馴染の顔を抑えて引き離そうとする。

「でしたら。何かぁ、私にくださいまし」

 もはや二重人格である。

 こいつは、俺の幼馴染である箏峰 桜子の見た目はおしとやかでどこかの令嬢のように礼儀の正しく頭もいい、誰にでも優しい完璧な子なんだけど、どうして俺だけなのかわからないが二重人格のような豹変ぶりを見せてきていわゆるヤンデレという属性をやらかしたようなことをしてくる。

「そうだな。何か考えておくから、他人の目があるからやめようか」

「うん」

 通常通りに戻った。

「じゃあ、いこうか」

 早く学校に行かないと遅刻してしまう。

 桜子は笑顔で走っていくので、俺はそれを追おうとするが足が全く動かない。


 目を開けると、白樺の木でできた板が見えた。

 俺が今まで行ったことある建物のでは白樺の木でできた板が使われているものはなかったはずだ。

「痛っ」

 俺は右手に感じた痛みではっきりと意識が覚醒した。

「さっきのが夢で、こっちが現実だったか」

 俺のいる部屋はさっきの中世ヨーロッパの建物なのだけど、さっきいた部屋とは違ってよくわからない物が散乱している部屋だった。たぶん倉庫なのだろう。

 右手を見るとそこには刃物で掘られたような何か刻まれていた。

 何が書かれているのかわからないが、俺はそれがシールだと思ったので、剥がそうと擦って見たのだが、剥がれない。

 それどころか、衝撃なことに気がついてしまった。

「…白樺のささくれが指に刺さっているっ!? …じゃなかったこの文字、手に直接彫られているっ!?」

 中二病だろうが、ドッキリだろうがこれは流石に許されない。

 よし。次にあの姉妹に会ったら問い詰めよう。

「目覚めたようですね」

「ん?」

 声がした方を見ると妹の方が俺の近くに立っていた。

 改めて見ると、この妹の方は可愛らしい。目鼻が整っていて、青い目の中には強い意志を感じる。

 というか、世間一般のアイドルなんか霞んでしまうくらい可愛らしく女の子なのだろう。これがラノベでよくある表現のいわゆる美の女神のようだとか、絵画の世界から出てきたとかいうものだろう。

「何、じろじろ見ているのですか? 気持ち悪いクソ虫」

 毒舌だった。

 まあ、この程度の罵倒なら日常茶飯事だから平気だ。

 じろじろ見たのは俺が悪い。だから。

「ごめん」

「何、勝手に謝っているのですか? というか誰が話していいといいました? 空気が汚れるので息をしないでください。できるなら、死んでください」

 どんどん毒を吐いてくる。

 俺は泣いてもいいのだろうか? こんな扱い家族にもされたことな……なくはないな。うん。普通だ。罵倒なんて日常茶飯事だし、俺がインフルとか高熱で寝込んでいる時に限って高級な店を予約して外食をしに行くんだよなー。せめて、おかゆ、いや水くらい汲んで欲しかった。おおっと、脱線してしまった。まあ、なんというか、この程度では泣く必要もない。

 俺は強い子。うん。

 だから、俺は彼女に向かって。

「善処しておくよ」

「っ!?」

 どうして、彼女は驚いているのだろうか?

 まあ、いい。今は状況の確認だ。

 まずはどうしてこの場所にいるのかを思い出そう。

 その為に俺は自分のことを思い出すことにした。

 俺の名前は北村 一真で、歳は十六の高校二年生だ。

 家族構成は妹が一人と両親がいる。

 友人と言えるような人物との交友はなくて、二重人格じみた幼馴染がいる。

 それくらいだ。それ以上なにかあるというわけでもないので、思い出しようがない。

 ……うん。なんかそう考えるとなんだか悲しくなってきた。

 よし、気分を切り替えて最後の記憶を呼び起こそう。

 確か、俺が覚えている最後の行動は映画を見ていて、その映画は俺の好きなもので、ラストシーンで親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくところが感動するものだった。

 その映画を見た後の記憶が全くない。

 俺の恰好は東高の黒い制服を着ているのだから、朝、着替えているはずなのだが……。

 うーん。わからない。

 にしても、妹の方の髪はサラサラしていて綺麗だ。俺が白髪フェチだという点もあるからなのかもしれないが本当に綺麗な髪だ。今は姿が見えないが姉の方の髪も同様に綺麗で触ってみたいものだった。

「……どうして息を止めているのですか。馬鹿なのですか」

 半眼で彼女が俺を呆れたような様子で見てきた。

 息を止めろ。って、言ったのはそっちなんだから。呆れないでくれよ。

 俺は少し微笑んで。

「馬鹿なんじゃあないのか」

「……」

 彼女は何か気まずいような表情をしていた。

「……」

「……」

 向こうも話さないし、俺も話さないということで静寂が続いていたのだが、その静寂を破るように木でできたドアが開かれた。

 ドアの向こうから来たのは碧眼の姉の方だった。

 姉の方は俺を見て、

「起きたみたいね」

「ああ」

 二人が揃ったということで、俺は、ここはどこなのか訊こうと口を開けた瞬間。

「ねえ、あんた。どこから来たの? というか、あんた軍人?」

「軍人? ああ。そういうこと」

 俺の格好は学生服でいわゆる学ランだった。

 学生服って確か元々は軍服だったはず。セーラー服はたしか水兵の服だったとか、俺の着ている学生服の腕に付いているボタンは鼻水を拭くのを防ぐためのだとか。

 普通ならこれが学ランだとわかるはずだから、余程の中二病なのか、念入りなドッキリなのだろう。

 しょうがないので俺は話を合わせる為に。

「俺が軍人じゃあないよ。俺は学生だ」

「学生…ってことは、王都にある王立のあそこかしら?」

 知っての通り日本には王都もないし、王国でもない。(注、戦時中は帝国だったけど)

 なんとなーく、嫌な予感がしてきた。

 中二病やドッキリ程度ならいいのだけど、もしかして、いやいやそれはない。

 そんなファンタジーやメルヘンにありそうな展開なんて……。

 俺の前に立っている美少女二人を見ても、髪は染めているわけでも、色を抜いているわけでも、ウィッグを着けているわけでもないし、目だってカラーコンタクトをしているわけでもなさそうだ。

 いやいや、偶々だって、俺の知らない国の人にはこんな白銀の糸のような綺麗な髪を持っている人だっているさ。

 でも、どう考えても日本語がネイティブ並みに流暢なんだよな。

 よし。ここがどこなのか訊いてみよう。

「えーと、ここはどこだ?」

「ここはグルヴィベイクのアンセという街よ。で、この家は私とルミナが経営している錬金術の店よ」

 グルヴィベイク……アンセ……錬金術……。

 限りなくクロに近いよな。

 化学が発達した今では錬金術なんて、そんな。

 ファンタジーの要素が強すぎる。

 もう、諦めたほうがいいのかもしれない。

 俺がそう悩んでいると、妹の方―ルミナが口を開いた。

「次はあなたのことを教えてもらいましょうか」

 そうだよね。俺のこと訊かれるよね。

「俺は一真、北村 一真だ。歳は十六だ」

「キタムラ マコト? 聞いたことない名前ね。どこ出身なの?」

 姉の方が嘘をついているようには見えない。

 ますます異世界という可能性が強くなってきた。

「日本だけど」

「ニホン? どこそこ。ルミナ知ってる?」

 姉の方はルミナに振るがルミナは首を振って否定する。

 日本を知らないのに日本語を話す。

 もう、これはもう九割黒だよな。

 そこで俺は自分の上着に重みを感じていることに気がついた。

 俺はポケットを探ってそれを取り出した。

 これがわからないのだったら、もう異世界だと認定しよう。

「これがなんだと思う?」

「「?」」

 二人ともわからない様子でそれを見ていた。

 齧った林檎印のスマートフォン(プラス太陽光充電機)なのだけど、どうやらこれですら見たことないらしい。

 俺はスマホの下のボタンを押して画面を表示させた。

「「!?」」

 二人とも警戒している猫の様に髪の毛が跳ねて驚いていた。

 もう、これが演技ならハリウッドで女優賞が取れてしまうくらいの演技だろう。

「これは俺の世界の通信端末だよ」

「「通信端末?」」

「ああ。これで遠くにいる人と会話ができる」

 二人してスマホに釘付けになっていた。

 その様子は動物番組で猫がテレビとか鏡で猫の姿を見た時みたいに裏を覗いたり、画面に恐る恐る触るようなものだった。

「こんな小さいもので」

「どんな魔法を使っているのでしょう?」

「眩しいから火とか?」

 錬金術があるから予想していたけど魔法があるんだ。

「魔法じゃあないよ。科学の力だ」

「「科学?」」

「ああ。驚かないでくれよ。どうやら俺、異世界人のようなんだ」

 俺がそう言った瞬間二人とも固まって沈黙していた。二分くらい経ったところで、みるみる表情が驚愕の色に染まっていき。

「「えええええええええっ!?」」

 驚きの声が外まで響いた。

「あんた、異世界って!?」

 姉の方が慌てたように言う。

「ああ。俺も驚いているって」

「どうするのですか。おねえちゃん。異世界から人を召喚するなんて、この人を返す方法なんてありませんよ!」

 返す方法がないということは、帰る方法がないのと同様だ。

「そうだけど、私だって選んで召喚したわけじゃあないし」

「そうですが、と、とりあえず彼に状況を説明しましょう」

「ええ。そうね」

 二人は俺の方を真っ直ぐ向いた。

「マコト。あんたは私の召喚スキルによって召喚されたの。それであんたの右手の甲にあるルーンは私の使い魔―下僕の証よ」

 俺は右手の甲を見た。

 ギリシャ神話のルーンのようにも見えるのだけど、違うようだ。

 意味があるのだとはわかるのだけど、読めない。

「そうでした。こちらの自己紹介がまだでした。私はルミナです。この人の妹です」

「私はアリシアよ。みんなはアリスって呼んでいるわ。あんたもアリスって呼んで」

 碧眼の姉がアリス、蒼眼の妹がルミナっと、俺は頭の中に刻んだ。

 にしても、異世界か。元の世界に帰る方法がないとなると、少し寂しく…ないな。むしろ少し嬉しいくらいだ。魔法や錬金術が有る世界なんて素晴らしいじゃあないか。

 一つ心残りなのはあいつが気をおかしくしていないかが心配だ。

「なぁ、俺は使い魔なんだろ?」

「ええ。そうよ」

「使い魔の仕事ってなんだ?」

 俺のイメージの使い魔って言ったら、コウモリや猫で、薬の材料か何かを採ってくるというものだ。

「錬金術の手伝いをするのよ」

「錬金術の手伝いって何を手伝えばいいんだ?」

 俺は一般的な模範解答のような普通の地味な高校生だったから、錬金術のやり方なんて知るはずもない。

「えーと、材料を持ってこればいいの」

「材料と言うのは薬草だったり、特殊な鉱石だったり、モンスターの部位だったりします」

 アリスの曖昧な答えにルミナが付け加える。

 ふむ。だいたいわかったけど。

「名前だけ言われてもわからないぞ」

「それについては大丈夫です。猫だってルーンがあれば指定された薬草を持って来られるのですから、その右手のルーンさえあれば大丈夫でしょう。あなたが猫以下の知能でなければ」

 材料を持ってこられなければ低能と認定されるようだ。

 というかルーンがご都合主義のようだけど、ご癒合主義のものは自分のもとにあると凄く便利だ。

「じゃあ、私が錬金術について実際にやりながら説明するからついて来て」

 俺は立ち上がってアリスとルミナの後を追って倉庫のような部屋を出て、壁も床も天井も白樺の木でできた細い廊下を通って、隣の部屋に入った。

 ここは俺が召喚されたときにいた部屋だ。白樺の床に天井、壁は同じなのだが、本棚にはボロボロになっている本が何十冊と入っていて、机の上には羽ペンにインク羊皮紙といったいかにも研究しているますというようすのもので、その近くには石の暖炉のようなものが有って、そこにはアリスとルミナが入っても平気な位な大きさの鍋のようなものがあった。

 ゲームであるような錬金術士の部屋という感じだ。

「ホワイトファイヤー」

 アリスがそう言うとアリスの手から白い火が出てたぶん錬金釜だと思う物の下の薪に火をつけた。

「まずはこのその辺にあった雑草と、その辺にあった小石をこの釜の中に入れて」

 アリスはいかにもその辺の道に生えていましたという草の葉っぱと子どもが蹴って遊んでいそうな小石を水が入った釜の中に入れて、近くに有った木でできたオールのようなものを両手で持って釜の中に入れた。

「この先っぽを釜の底の中心から動かさないようにして、時計回りにぐーるぐるぐるぐーる」

 アリスは実践しながら解説してくる。

 ぐーるは遅く一回転、ぐるは速く一回転のようだ。

 アリスが一分くらいかき混ぜていると、透明だった水に色が現れて虹色のような色になったと思ったら次の瞬間には赤くなって、アリスが混ぜるのを止めると緑色になった。

 材料はあれだったけど錬金術って凄い。

 俺が驚いていると、アリスが釜の中に瓶を入れて中身をすくって。

「回復薬の完成~」

 回復薬っすか。その辺に生えている雑草と小石で回復薬……。錬金術としては凄いことなのかもしれないけどファンタジー的には夢も希望もない。

 俺が茫然としてアリスの持っている瓶の中身を見ていると、隣にいるルミナが澄ました顔で。

「ちなみに解毒薬は苔で、気つけ薬は木の葉っぱで作ります。どの薬にも小石は使います。でもそれはおねえちゃんの錬金術のスキルが高いからできるわけで、普通の錬金術士は名前のある薬草や鉱石、悪い効果を消す中和剤、効果を高める増強剤などを使います」

 よかった。

 錬金術のほとんどが雑草、木の葉っぱ、小石で作られるなんて言われたら、ファンタジー好きの俺は幻想が破壊されて泣いてしまうところだった。

「これ、あんたにあげる」

 雑草汁の入った瓶にコルクで蓋をして、アリスが俺に渡してきたので、俺は素直に受け取った。

「ありがとう」

 この雑草汁はどれほどの回復するのだろうか。

 全快とはいかないだろうから、たぶん回復量小くらいなんじゃあないのか。

「ちなみにそれを瓶一本飲むと基本的な怪我は全部治ります」

「!?」

 俺は驚いて瓶を凝視してしまった。

 あんな材料で回復量大なんて……。

「まあ、ばっさりとだけど、錬金術はこんなものね」

 アリスは錬金術の後始末を終えて言う。

「で、これからのことなんだけど、この家ね。自分で言うのもなんだけどそこまでお金がないからあんたにも働いて欲しいの」

「別に構わないけど」

 働かずにただ飯を食うつもりはない。いわゆる働かざる者食うべからずだ。

 だけど。

「どこで働くんだ?」

 働くあてなんてないし、この世界の常識なんて知らない。

「ギルドでクエストを受けてもらいます」

「ギルド、クエスト」

 ギルドって言ったら狩人とか冒険者が集まっている酒場のような場所のイメージがあるし、クエストって言ったらギルドで受けるモンスター討伐の依頼とかキノコの採取とかそういう依頼のことというイメージだ。

「簡単に言うならギルドとは、冒険者を管理しつつ、冒険者に人々の依頼を受けてもらう場所です。クエストはその依頼のことです」

 大体イメージ通りだった。

「まあ、とりあえず。あんたには冒険者登録してもらうために私達と一緒にギルドに行ってもらうわ」

「ああ」

 生活の基盤を整えなければならないので俺は頷いた。

「じゃあ、いくわよ」

 俺はアリスとルミナの後を追って外に出た。

 


 下手な点が多いですが、ブックマークや感想、点数をつけてくださると嬉しいです。

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