別れのプレリュード
テレビのワイドショーでは、ある有名タレントの破局報道が流れている。
……お互い、価値観が合わなかった……
これが別れの原因らしい。
…価値観ねぇ…
この言葉を聞くと、いつもあの人の事を思い出す。
…昔の恋人の事だ。
『なぁヒロ、俺のどこが好き?』
不意に、隆博が聞いた。
わたしは、少し悩んだ後、
『価値観が合う所かな』
そう答えた。
『どんな所が価値観…合うと思ってる?』
また、答えに困る質問だ。
今度はすぐ答えた。
『好きな物が一緒…とか、考え方が似てる所…とかかな』
…本当にそう思ったから、わたしは、そう答えた。
『価値観が合う…って言ったけどさ、例えば、片方は価値観が合う…って思ってても、もう片方は相手に合わせてる…って事もあるでしょ』
予想もしてなかった、隆博の言葉。
思ってもみなかった。隆博に言われるまでそんなこと、考えた事…なかったのだ。
もしかしたら価値観が合うなんて、わたしだけの思い過ごしで、隆博は、私に合わせてるだけなんだろうか?
なんとなく、隆博に対する自分の気持ちを拒まれた気分だ…。
ついさっきまでは、大好き…の気持ちでいっぱいだったのに、急に気持ちが冷めていくのが解かる。
それから、しばらくして、私達は別れた。
別れた理由は、価値観が合わないから……
やっぱり隆博は、私に合わせていただけだったが、別れに関しては、2人共…価値観が合ったのだ。
この話…私、高橋の実話です。これ以来、私の恋愛カテゴリーから【価値観】という言葉は消えました…