違和感・・・?
須賀くん達が付き合い始めて一週間。
これが長いのか短いのか。
多分後者ではないだろうか。
彼らが2人でいる時の雰囲気がなんか・・・と思い出したのがその時期だった。
「はよ、園田」
「ったーい!だから叩かないでって言ってるでしょ!」
「林くんおはよ。毎日朝から元気ねぇ」
朝は前のように珠美といることが多くなった。
美樹ちゃんは須賀くんと登校してくるからね。
そして私達のところによく来るようになったのが林くん。
朝の挨拶と称して背中をバシッと叩いてくるのだ。
それが痛いのなんの・・・。
「朝から気合い入れてやってんの。ありがたく思えよ」
「そんな気合いいらんわ!」
これは彼なりの励まし方だと思う。
須賀くん達が付き合いだして落ち込んだ私への。
・・・度が過ぎるとは思うけど。
「おはよう、麻夕ちゃん」
「あ、おはよー」
そんな中、美樹ちゃん達が登校してきた。
もちろん後ろには須賀くんがいる訳で。
「はよ。園田と林ってそんなに話してたっけ?」
「おー。仲良しさんだよな」
「はぁ?ちょっと、肩組むのやめてくれる?」
いくら何でもやり過ぎ!そんなに触んないで欲しい。
「麻夕ちゃんは仲良くなるのが上手よね」
「美樹ちゃんまで・・・」
にこにこ笑いながら美樹ちゃんは私と林くんを見てる。
ホント、須賀くんに誤解されたくないんですけど。
居たたまれない状況にはぁとため息を付くと林くんはまた肩をポンポンと叩き、「ため息付くと幸せが逃げるぞ」と言って自分の席に戻っていった。
いや、だから無駄に触ってくるの止めてってば。
その日のお昼は私と珠美、そしてなぜか林くんが一緒に食べる事になっていた。
「なんで林くんがいるの?」
「だって俺、須賀を前川に取られてるから一人だし。一人は寂しいじゃん」
「寂しいじゃんって・・・。ま、いいけど」
「一人者同士仲良くやろうや」
三人で食べて、デザートに持ってきてたチョコレートをみんなで食べていたら、須賀くんと美樹ちゃんが学食から帰ってきた。
今日は二人で日替わりランチを食べると張り切ってたんだっけ。
「あ、麻夕ちゃん達、何食べてるの?」
「ん?チョコ。美樹ちゃんもいる?」
「わーい。一個ちょーだい」
「ほら」
なぜか林くんが渡す。
「ありがと、林くん」
「おぅ」
・・・ん?なんだろう。この雰囲気。
林くんは黙々とチョコ食べてるし、珠美と美樹ちゃんはチョコを買ったところの話をしだした。
須賀くんを見ると、林くんをじっと見てたけど、私に視線を移すと手を出してきた。
「俺にもちょうだい」
「あ、うん」
一つあげて、お礼を言われた。
その日の帰り、一緒に帰っていた珠美に昼に感じた変な感じの事を話してみる事にした。
「ねぇ珠美、今日の昼にさ、なーんか変な感じしたんだけど・・・」
「麻夕もそう思った?私も思ってた」
「なんか、ねぇ・・・」
「そう。妙に懐いてくる林に、須賀と一緒にいるくせに私たちのとこに来る美樹ちゃん。その美樹ちゃんにチョコあげる林の態度・・・」
「うん。チョコ、私があげようとしてたんだけど、先に林くんがあげちゃったんだよね」
「ま、たまたまって事もあるし、もう少し様子見てみよう」
「うん・・・」
次の日、また朝は私達のところに来る林くんをじっと見てしまった。
「何、園田、俺の事がカッコよ過ぎるって?」
「はい?私は全然す・・んの方がカッコよく見えますが?」
「ほーぅ。言ったな?」
「言いましたよ?」
「あんた達、朝からうるさい。あ、美樹ちゃんおはよー」
「珠美ちゃん、おはよ」
「美樹ちゃんおはよー」
「はよ」
「麻夕ちゃんに、・・林くん、おはよ」
ん?今の間は何?
「ついでに須賀もおはよー」
「緒方、俺はついでかよ」
・・・何か、違う空気が流れ始めてる。
それがはっきりと分かったのは、週末の事だった。