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私はあなたの応援団

あの出来事から一週間。私は特に須賀くんとそれ程深く話す事はなかった。

あんな事はなかったかのように、普段通りの毎日が過ぎていった。


ただ、須賀くんは前よりも前川さんを見る事が増えたような、気がする。


そして彼女が笑っていたら嬉しそうに微笑み、そして辛そうな顔をする。


その姿を見るたび、私の胸は苦しくなる。


須賀くんはまだ、前川さんの事が好きなんだ。そう、分かったから。




よし。決めた。



私、須賀くんに協力する。

前川さんと須賀くんが付き合えるように、恋のキューピット役になる。


そりゃ苦しいよ。好きな人が他の子の事見てるのは。

でも、もっと辛いのは、好きな人が辛い顔をしてるのを見た時。


須賀くんには、あの胸がキュンとなる笑顔を見せて欲しい。

見せる相手が私じゃなくてもいい。

辛い顔は、似合わないよ・・・。




その事を友達の緒方珠美(おがたたまみ)に言ったら、お人好し過ぎる!って怒られたけど。


いいの。彼のあの笑顔のためなら、ピエロにだってなれるんだから!



それから私はまず、前川さんと友達になることにした。

彼女の好みをリサーチして、共通の話題を作る。


何日か後、いつもより少し早めに学校に行った。

まだ前川さんは来ていない。

私はカバンの荷物を机に移して、さり気なく手帳と筆箱だけ取り出しておいた。


前川さんが登校して来た。

前川さんの席は私の斜め前。

私は手帳を開き、筆箱からペンを取り出して朝の挨拶をする。


「前川さん、おはよー。」


「おはよう。・・・ぁ」


よし、気づいた。

このペンは駅前の商店街にある雑貨屋の人気シリーズで、色がすごくきれいなのだ。

前川さんも好きみたいで、授業に使うペンはこのシリーズを揃えてるみたい。

・・・というのを、前川さんを観察して気づいた。

だから私も買ってみた。

実際、このペンは握るとこも可愛くて、全体的にパステルカラーの花柄が描かれていて、見てるだけで嬉しくなる。

女子力上がりそうな感じ。


「ねぇ、園田さん、それ、どこにあった?」


朝から目をキラキラさせて、子供みたいな純粋な目を向けてくる前川さんを見て、思わず目が眩んでしまったけど、私も負けずににっこり笑って教えてあげた。


この事がきっかけで、私と前川さんは仲良くなって、お互い苗字じゃなくて名前で呼び合うようになった。



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