須賀くんのこと
私、園田麻夕が好きな人は同じクラスの須賀圭佑くん。
2年になって同じクラスになったけど、私は1年の時から知っていた。
何のことはない、図書委員が一緒だったから。
須賀くんは2組の、私は1組の委員で、2クラスごとに組まれる昼休みと放課後の仕事の分担の話をよくしていた。
私の相方は部活があると言っていたし、須賀くんの相方は放課後はバイトがあることが多いから、必然的に須賀くんと私が放課後の担当になった。
そこで須賀くんと話が出来るようになって、その時にバイトは土日にたまに短期のものをする事、部活は入ってない、中学は私の隣の地区、通学手段は自転車だけどたまに電車も使う、下に妹がいる2人兄妹・・・と知ることができた。
須賀くんはちゃんと人の目を見て話す人で、話し方も真面目すぎずふざけ過ぎずに面白い。
夢中になるとジェスチャーが増えてくる。
そして、話す声は男の子にしては少し高めだけど、すごく落ち着く。
好きになるのに、理由も時間も必要なかった。
だけどこの関係を壊したくなくて、会った時には少し喋る同じ委員の子、の関係を維持していた。
2年になると、ラッキーな事に同じクラスになり、始業式の日に笑顔でよろしく、と挨拶された時はその笑顔の眩しさに倒れそうになった。
少したれ目になるとこも、くいっと口の端が上がるとことか、胸がキュンとなる。
この笑顔を独り占めしたいと何度思ったことか・・・
同じクラスになって嬉しかった事もたくさんあるけど、気になる事もあった。
須賀くんと1年の時同じクラスで今年も一緒の前川さん。
彼女の事を目で追う事が多かったし、須賀くんの近くを通ると必ず話しかけてる。
もしかしたら彼女の事が好きなのかもしれない、そう思った矢先にあの告白現場遭遇。
めでたく私は失恋したのでした。