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私のキモチ

手を繋いだまま校門を出る。

そこからは離してくれるかなと思ったけど、手はそのままで。

私の顔の赤さも、心臓のうるささもそのままだった。


まだ学校は部活中の時間だったし、帰宅部の子たちは粗方帰ってる中途半端な時間だったから、周りに人はあまりいなかったのがせめてもの救い。


でも・・・


なんでこんな状況なんだろう。

須賀くんは好きでもない子と平気で手を繋いだり出来るんだろうか?


そもそも、須賀くんは私の事をどう思ってるんだろうか?

ただの友達・・・。それが一番しっくりくると思っているのに。


頭の中はぐるぐるこんな同じような事を考え続けている。


緊張と恥ずかしさとで、繋いだ手が絶対汗ばんできた。


「あの、須賀くん、もう手、離してもいい?汗、かいてきちゃって・・」


「ん?別に気にならないけど、そう?」


スッと離れた手はやはり湿っていて、また恥ずかしいやら、申し訳ないやら・・・。

そして、自分から離したにもかかわらず、寂しく思うなんて。


学校から駅まで歩いて20分。そのうち手を繋いでいた時間、18分。

手を離して間もなく、駅に着いた。


私と須賀くんは逆方向。だから改札口でバイバイだ。


「んじゃな」


「うん、また明日」


いつものように右手を上げて別れの挨拶をして、普通に別れた。

普通に・・・。




家に帰ってからも私の頭の中はごちゃごちゃだった。

このまま、友達として普通に接していくのに、限界が来たのかもしれない。

今日みたいな事があったら、もう耐えられない。


それほどまでに彼の事が好きで。

どうしたって、好きで。

蓋をした気持ちなんて、とっくの昔に溢れ出してた。


制服のポケットから携帯を取り出し、履歴の一番上の番号を呼び出す。


「・・・もしもし?」


「・・・ごめん、バイト中。今、平気?」


「今休憩入ったとこ。どした?」


「・・・珠美。私、もう無理」


次に続く言葉は、ここにきて溢れ出した涙のせいで出てこなかった。



「麻夕、大丈夫?とにかく、バイト終わったらこっちから掛けるから、あと2時間後までに落ち着かせてね」


そう言ってくれた珠美は、きっかり2時間後に電話をくれた。



「・・・ったく。振り回すだけ振り回してくれるよね、須賀は」


「でもさ、頭を触られても手を繋がれても笑ってあしらったら・・・」


「私にそんな事したら叩いてたけどね。それに麻夕はそんな事するタイプじゃないでしょ。須賀も分かってるよ」


「じゃあなんで・・・」


「須賀の事考えるのもいいけどさ、一番は麻夕自身の気持ちだよ。須賀の事どう思ってるのか、これからどうしたいのか。そこしっかり考えないと。自分がブレてるから不安定なんじゃない?相手の気持ち次第でどうするのか決めるって感じに見えるよ?」


「そんな事ない!私は須賀くんの事・・好き、だよ。もう、苦しいくらい。友達、だなんて、もう辛いよ」


「じゃあ半分解決ね。須賀も・・・何を考えてるんだか」


「え?」


「ううん。じゃ、私これから帰るから」


「あ、うん。ごめんね?ありがとう」





***



次の日の朝、下駄箱近くの影になるところに男女一組が真剣な面もちで向かい合っていた。



「ねぇ、どういうつもりか教えてくれない?」


「おまえに言うことじゃないだろ」


「じゃああの子が悩んで泣いてるって言ったら?」


「それは・・・」


「何の気もないなら、誤解させるような事しないでよ。友達なんて嫌とまで言ってんのよ」


「じゃあさ、ちょっと手貸してくんない?」






「OK。じゃ、そういう事で」


「ん、頼む」




その場を立ち去った男女はお互い晴れ晴れとした表情をしていた。




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