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それぞれに進展です

一週間、みっちり須賀くんに勉強をみてもらったおかげで、試験は無事に終了した。


今までで一番の出来かもしれない。

恋の力ってすごい。


試験最終日の放課後、私の方から須賀くんの席に向かった。


「須賀くん、試験お疲れ。んで、ありがとう。おかげで全部解けたよ」


「そっか。よかったな」


そう言って見せる笑顔が眩しい。

私、この試験勉強をしてからこっち、かなり須賀くんに溺れてる。


一緒に勉強してた時は私とだけいたから、勘違いしてしまいそうだった。須賀くんが彼氏だって。

スパルタなんて言ってたけど、すごく丁寧に教えてくれたし、最初は驚いたけど、顔が近くにきても普通に笑いかけてくれたり。

その度に私の心臓はバクバクいってたんだけど。


ああ、独り占めしたい気分だ。


「ねぇ、お礼って何にするか考えた」


「ああ、あれな。考えたよ」


須賀くんは帰りの支度をして、再びこっちを向いた。


「今日、これからちょっと付き合って欲しいんだけど、何か用事、あった?」


「いや!ない!ないよ。うん、だ、大丈夫!」


「じゃあこのまま、いい?」


「う、うん!」


急なお誘いに妙なテンションになっちゃって、返事もしどろもどろになったけど、須賀くんは気にしてなかった。


珠美、ごめん。今日の予定はキャンセルで。

そう心の中で言って、須賀くんと一緒に教室を出た。





試験が午前中で終わったから、お腹がすいた私達は腹ごしらえをするために、学校最寄りの駅からこの前映画を見たショッピングモールまで移動した。


「ごめん、バイトの給料日前だからマ○クでもいい?」


「うん。全然平気。ていうか、これも私が出していいのに。お礼で」


「いや、ここはいい。別ので」


「そっか。分かった」


それぞれ注文して、窓側の席に座った。

勉強してた時は横に座ってたけど、こうして目の前にいるとかえって顔がよく見えて緊張する。


ふと窓を見ると、そこに映った私達はなんだか恋人同士みたいで・・・。


「きょ、今日の試験、どうだった?私、一番苦手な英語があったからちょっときつかった~」


またどもってしまった。けど、この空気に無言は堪えられない。


「俺は今日が一番楽だった。一日目の日本史の方がどうかな」


「わ、それって嫌味?ていうより、その日本史だって私よりずっといい点取るんでしょ」


「いや、それは分かんないんだって。今回俺と勉強しただろ?他の教科より出来てたから、案外いい線いくかもよ?」


「須賀くんみたいにいかなくても、いい線いくといいけどね~」


結構テンポ良く話せたから、ハンバーガーを食べ始めた。

好きな人の前だけど、普通にかぶりつけちゃう私はやっぱり女として見てはくれないかもしれないな・・・。


「園田、美味そうに食うのな。見てて気持ちいい」


「はへ?」


「小さな口でちびちび食べられるのよりも、食べ物を美味そうに食べる方が絶対いいと思う」


そう言って大きな口でビッグサイズのハンバーガーを食べる須賀くんも美味しそうに、そして楽しそうにしてるから、私も嬉しくなって、調子に乗ってはむはむかぶりついて食べた。


好きな人と食べるから美味しく食べれるんだよ。

そう思って自然と笑顔になる。


それから、他の教科の出来についてや苦手教科の勉強法なんかを教えてもらいながら食べていた。


やっぱり成績優秀者は勉強の仕方が違うんだと納得した。苦手意識をなくそうってしてるとこから違う。私はいつも後回しにしたり、避けてしまったりするから。

私も須賀くんを見習ってみたら少しは変わるかな。


あっという間に食べ終わって、飲み物だけを飲んでいたら、窓の外に知った顔を見つけた。


・・・見つけてしまった。


「あ・・」


思わず声に出てしまった言葉に気づいた須賀くんも、窓の外を見た。


仲良く手を繋いで歩く、林くんと美樹ちゃんを。


「あの・・・」


私が気まずく思ったり、弁解するなんておかしいと思うけど、何か言いたくて、声を掛けようとすると。


須賀くんは微笑んでた。


「あいつ等、やっと、だな」


「え?」


「前川さん、ずっと林の事好きだったんだよ。本人から言われた訳じゃないけどな、気づいてた。でも、言ったもん勝ちって感じで付き合ってもらってたってとこかな。林も気になってる子って感じで見ててさ。結局俺は最初っからダメだったって事だな」


「須賀くん・・・」


全部、ずっと知ってたんだ。最初から。

好きな人の事だから分かるってやつだろうか。私みたいに。


でも、2人を見る須賀くんはもう落ち込んだ様子も、苦しそうな顔もしてなかった。


吹っ切れたような、微笑ましい光景を見ているような。


そんな須賀くんを見て、もっと好きになった私はなんかおかしい。


もう一度外の2人を見て、そこまで思われる美樹ちゃんを、やっぱり羨ましいと思う。


「さ、俺達も移動しようか」


そう言って、私の分のトレイも持ってごみ箱に捨ててくれる作業が早すぎて、何も出来なくて、とりあえずお礼だけ言っといた。


それから須賀くんがシャープペンの芯が買いたいからと言って文房具屋さんに行き、芯と赤ペンと青ペンを買い、本屋さんに移動して新作のマンガを買って、あ、そこでは私も愛読雑誌の今月号を買った。


そしてこの前行かなかった雑貨屋さんに行っていいって言ってくれたから、遠慮なく行かせてもらって、私も新しいペンと、クローゼットに入れる匂い袋を買った。


・・・はい。

だいぶ時間もたって、あちこち買い物もしたんだけど。

私、須賀くんに一円も使ってないのです。

あれ?お礼って、何を強請られるのでしょうか?


「須賀くん・・・」


「ん?」


「あの、今日はお礼をしに来たんだよね?」


「そうだよ」


「私、何も買ってあげてないよ?あ、もしかしてケーキとか?だったらこの一階にお菓子屋さんがいっぱい入ってるからそこに行こうか?」


「いや、いいよ」


「じゃあ何を・・・」


「これ」


「ん?何?」


「買い物付き合ってくれたのがお礼」

 

「え・・・?こんなんでいいの?」


「そ。こんなんでいいの」


「何か悪いよ・・・」


「そう?じゃあまた付き合ってよ」


なんですと!?

これって、お礼じゃなくて、私のご褒美になるんですけど!


だって、やっぱり、これって、おデート・・・!




この日はこの後疲れたからってアイスを食べて、結局夕方まで一緒にいた。


贅沢な半日だった・・・。


試験疲れですぐに眠れると思ったけど、興奮してなかなか眠くならなかった。







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