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夢の時間

この学期はいろんな事が起こりすぎた。

だからすっかり忘れていた期末試験が始まるまであと一週間しかなくなってる。


ヤバい。かなりヤバいです。


普段は可もなく不可もなくといった成績を取ってる私だけど、今回は授業内容を半分くらいしか覚えてません・・・。


「珠美~!」


泣きそうになりながら、親友の名を呼ぶ。

彼女は私より成績はいい。かなり。


「何かな~?もしかして試験範囲が分からないって事じゃないよね~。麻夕ちゃん、ちゃんと先生のお話聞いてたかな~?」


あぅ・・・。

そうだ。彼女、お勉強に関しては厳しい人だった。

授業を真面目に受けて、先生の話もちゃんと聞いてたらそう悪い点は取らない、らしい。


授業はちゃんと受けてましたよ!・・・寝てないだけで頭にはあんまり入ってきてないけど。

先生の話も・・・すみません、覚えてません。


「珠美ちゃ~ん!お願いします!教えてください!」


「はぁ。何?どの教科?」


「・・・全部」


「・・・は?」


ああ、その綺麗なお顔の眉間にシワが!


「あのねぇ、今までも試験勉強の仕方教えてきてるでしょうが。急にするの大変だから日頃からノートとって予習復習って!・・・まぁ、今回はいろいろありすぎたのは分かるけど・・」


そう言うと、あ、と何か閃いたらしく、にっこりと笑って私をまじまじと見た。

その笑顔が黒ーく見えたのは気づかなかったことにしよう。


「麻夕、須賀に教えてもらえばいいじゃん」


「はぁ?」


「私より須賀の方が成績上でしょ?それにほら、麻夕とは失恋者同盟?だっけ?組んでる仲じゃない。仲間のよしみで聞いといで!」


「いやいやいや、無理だって!」


「だいたい、あんたがこんな状態になった当事者でもあるんでしょうが。責任もって教えてもらうべし!麻夕が言いにくいんなら私が言ってあげる。ほら、今須賀1人だよ。須賀ぁ~。ちょっといい?」


「ま、ま、待って~!」


「今度の期末の勉強、やってる?」


「ん?まぁ、ぼちぼちと」


「麻夕に教えてやってくれない?今回ヤバいみたいでさ。で、私もちょっと今回怪しいから人のこと見てあげてる余裕ないのよ」


「珍しいな、緒方に余裕ないって。俺は別にいいよ。園田、どの教科?」


「あの・・・、全部・・・」


「マジで?あと一週間しかねぇじゃん。じゃあ今日の放課後から図書室でみっちりみてやるよ。言っとくけど俺、スパルタだから」


「え、あ、はい。お手柔らかに、お願いします・・・」


あれやこれやという間に、一緒に勉強出来るようになってしまった・・・。




どーしよ~~~!

嬉しすぎる~~~!



2人きりの空間って、図書委員以来。

よく話すようになってからは初めてだし、あの頃より私、須賀くんの事もっともっと好きになってる。

こんな状態で勉強って出来るんだろうか、私。




放課後になりました。そして今、図書室に須賀くんといます。しかも、隣の席に。

図書委員の時は適度な距離がありました。

けど、今は肩が触れそうな距離です。

・・・ああ、緊急する。


「今日は数学からやるか。どこから分からない?」


「ここまでならなんとか。でもこっちが・・・」


「これはここで纏めちゃって、この公式を当てはめるんだろ。じゃあこっからやってみて」


「は・・い」


近い!近すぎますよ!須賀くん!

私のノートを覗き込むのに顔が・・・。

私が問題を解くために体勢を戻した須賀くんにほっと一息ついて解き始めた。


「これで、いい?」


「ん?・・・こっちは正解。で、これはさ、さっきと違って、こっからするんだよ」


須賀くんの説明は分かり易い。先生もこんな風にしてくれればいいのに。

赤ペンで訂正をいれながら小さいとこまで教えてくれる。なるほど。私は難しく考えすぎてたのか。


「分かった。じゃあこっちもやってみていい?」


説明してくれてた格好のままお互いを見てしまって・・・。


「!!」


「!」


目が合った距離は長さにして15センチ程度。

あまりの近さにびっくりして、お互い見つめ合ってしまった。

し、心臓が止まる~~!


「お、おぉ、やってみて」


少し顔を赤くした須賀くんが自分のノートに戻っていった。


その須賀くんより、絶対私は顔赤い。茹で蛸みたいになってたはず。


「う、うん・・・」



・・・どうにか、一日目が終了しました。

こんなんであと4日、私の心臓持つんでしょうか。


「お疲れ。園田は教えれば分かってるからなんか勿体ないな。あとの日本史と化学はさらっと流す程度でいいんじゃねぇの?だから古文と英語に時間取ろうか」


「何から何までありがとうございます。助かりますです。でもごめんね。自分の勉強出来ないんじゃない?なんか悪いな・・・」


「ん~、じゃあ試験終わったらなんかお礼してもらおうかな。それでチャラだから気にすんな」


「お礼?もちろんするよ!何?駅ビルのアイス?マ○ク?」


「考えとく。じゃあ、俺こっちだから。また明日な」


爽やかな笑顔で須賀くんは帰っていきました。

・・・ああ。至福のひととき。やってることは勉強だけど、あのお顔が近くにあるし、いっぱい喋れる。それに柑橘系なのかな、いい匂いがして、ふわふわするよ・・・。


よし。せっかく教えてくれる須賀くんのためにも、試験頑張ろ。

で、お礼は奮発しちゃお。

ていうか、お礼って、何か奢るってことかな。そしたらもしかして2人きり!?

デデデート!?

きゃー!!!


が、頑張りますよ~!

若干鼻息荒くなりつつ、帰宅する私でした。









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