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W失恋です

ゆっくり投稿していきます。

季節の流れがおかしくなったので、最初の方を直しました。(H13.3.13)

それは今にも雨が、いや、これは季節外れの霰か霙か雪が降りそうなどんよりとした黒い雲が低く空を覆い始めた頃だった。


私はその週は掃除当番で、運悪くゴミ捨ての係に当たった日だった。


すごく寒くて、一応持ってきていた赤と紺と緑のタータンチェックのお気に入りのマフラーを巻いて校舎裏のゴミ捨て場に来た。


そんなに重くなかったのだけが助かって、ゴミ袋をポイと置いてサッサと退散しようとした。


校舎の隣の体育館の裏はここからすぐ行ける。そちら側から人の声がした。


体育館裏は告白の場としては人気の場所で、今日もそれが行われているのだろうと、邪魔しちゃ悪いと思って一歩足を踏み出した時だった。


「───好き、なんだ。付き合って欲しい。」


やけにはっきり聞こえてしまった声。


聞き間違えるとこがない、よく知った声。




私が、好きな人の声、だった。




「ごめんなさい。好きな人がいるの。でも嬉しかった。ありがとう。」


さらっと断りの言葉を発したのは同じクラスの前川美樹さんだ。


前川さんは色が白く大人しくてでも性格はいいから常に友達に囲まれていて、鈴の鳴るような笑い声を聞いたことがある。

はにかむように笑う所も可愛くて、クラスのマドンナ的な存在。

もちろんクラスの男の子の大半が彼女を好きなんじゃないかという話を聞いたことがある。


そして、やっぱり須賀くんも好きだったんだ。


好きな人の告白現場なんて見たくなったな。見たというかこの場合は聞きたくなかった、が正解だ。


そんなどうでもいい事を考えてたら、足音が近づいてきてる事に全然気づかなかった。



「・・・園田?」


ぼーっとゴミ捨て場に立ち尽くしている私を見つけ、バツが悪そうな顔をした。


「今の、聞こえてたよな?」


「あ、うん・・・。なんか、ごめんなさい。」


「いや、謝ることなんてないよ。だけど、なんか・・・気まずい、な」


そう言うと須賀くんは俯いた。

私、タイミング悪過ぎだな・・・。こんな時は一人になりたいに違いない。

そう思って、教室に戻る事を言おうとしたら、


「なぁ。園田はそんなやつじゃないって事は分かるけど一応。この事は出来れば内密に・・・」


「も、もちろんだよ!誰にも言わないよ。私だって、嫌だから。」


「助かる。前川さんにも普通にしてって頼んだんだ。無理かもしれないけど。」


はははと苦笑するの声にやっぱり元気がなくて、その姿を見てるのが辛い。


「須賀くん・・・」


「ん?」


ここで私が好きだと言ったらどんな反応するだろうか?

あなたを好きな子はこんなに近くにいるよって、言いたいけど。


今はそんなタイミングじゃない事くらい。

それは同情と思われる事くらい。

私は分かるから。


「元気、出してね。」


こんな薄っぺらい言葉しか、掛けることが出来なかった私はヘタレだ。


「ありがとな」


そう声を掛けてくれる須賀くんを、好きだと思ってても、いいですか?




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