表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/71

あらゆる手段で八方塞がりな求婚。

「よくよく思い出せば、あの村で会っていたよね。

 さて、名前は?」

 痴漢男は、立派な宿屋の一室(無駄にスペースがあり私の家よりも裕に広い)で(無駄に軟らかすぎる)ソファーに座りながら問いかけてきた。


 裏路地から連れてこられた私は、男に代わり落ち着いた雰囲気のある初老の女性ホテルスタッフ(気品があるし、もしかしたら、オーナー夫人?)に案内され、風呂に入れられ(贅沢に湯がたっぷり)何故かぴったりサイズの赤茶色で黒のレースが美しいドレス(触り心地はベルベットのように気持ちよくあきらかに高そう。ご丁寧に背中には切れ込みがあり翼も綺麗に出せる)に着替えされられ最後にソファーへと連れて来られた。


 向かいに座る男は、外で会った時よりも甲冑を脱ぎラフな格好になっているが、やっぱり服は黒を基調としている。

 外の様子は、カーテンをしていて見えないが、色々していたのでもう、夜の20時くらいかな。ランプと蝋燭の明かりにより室内は照らされていた。

 ちなみに2つのソファーの間にはテーブルがあり(コレも細工が凝っていてた買そう)その上には、美味しそうなご馳走が並んでる。


「痴漢するような男に名乗る名前無いわよ」

 会うたびに睨み続けたのでいい加減こめかみが痛くなってきたが

 こっちにも意地がある。

 お腹が減っていたけど、手を出せそうな雰囲気じゃない。

 例え食べれそうな空気でも、食べてたまるか。


「う~ん、困ったなぁ」

 口では困ったといいながらも顔は笑っている。


「それじゃ、あの村で色々調べさせてもらおうかな。

 すぐに素性が分かるよね。

 もし、喋ってくれないようなら

 ちょっと強めに村人たちにお願いさせて頂く事になるけど」

 本日二度目のゾクっとした感覚が私を駆け巡る。

 痴漢男ならぬ、今度は脅迫!? 脅迫男だ!! 


「ちょっ・・・村の人は関係ないでしょ、分かったわよ、脅迫男。」

 つい、脳内で考えていた呼び方が口から洩れる。


「脅迫男とは、ひどいなぁ。

 俺はちゃんと名乗ったよ、『レイヴィル=ノワールディア』だ。

 レイヴァンと呼んで、よろしく……そして、君は?」

 慇懃なほど丁寧な仕草と共にレイヴェルが再度、促してきた。


「……『ユーナ・C・ミナミ』よ。」

 ため息と共に私は、答えた。

 財布やマントを盗んだ事を咎めてなら自警団に引き渡せばいいし、踵落しを恨んでならそれこそ、こんな待遇はありえない。

 相手が何を考えているかがわからない状況が、実は一番怖い。

 緊張からか、それとも柔らか過ぎるソファーのせいかお尻も落ち着かず、モゾモゾする。

 レイヴァンの態度が初対面の頃と違って、妙に優しすぎる、それに目つきが妙に熱い気がするし……。


「ユーナにミナミか……変わったなだな」

 正確には『みなみ 結菜ゆうな』だけど、こっちの世界の人は、『ユーナ』って聞こえるみたい。

 ミドルネームの”C”は、拾ったお爺ちゃんの名前『クロ-バー』。


 顎に手を当て少し目を伏せた後、再び紫の瞳をこちらに向けたレイヴェン。

「ユーナ……あの時、一目見た時から君を忘れられない。こんなことは、初めてだ。

 だから、俺はあらゆる金と人力を使い手段君を探し出した。」


「?」


「俺の物になれ、ユーナ」


「????」


「妻として……王都に来ていただく」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ