表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/71

彼女に逆らってはいけない。

カクティヌスによってスケティナ悪戯いじわるは、露見バレた。

しかし、悪戯の張本人は余裕の笑み続けながらを続け口を開く。


「貴方の早とちりですよ。落ち着きなさい。ユーナ様の前ですよ、使用人としての誇りはどうしたのです? 如何なる時も笑みをうか――」


「すみませんでした、姉上。いや、大変見苦しい所をお見せいたしました、ユーナ様。無礼千万なことと、謹んでお詫びを申しあげます」

姉の言葉を遮る弟の声、その顔には部の悪そうな表情は、もうそこには無かった。

凛とした真面目な顔、初めて出会った頃の彼に戻ってユーナに向かい謝罪していた。


わたくしも弟を使用人としての教育には、厳重に注意を払ってまいったつもりでございますが、このようなことになり申し訳ございませんでした」

弟の無粋な行為を姉もまた、深く謝罪する。


――謝罪の言葉がおもっ、ってか、絶対怒ってるよね? カクティヌスさんの目が笑ってないよっ。

スケティナの底知れぬ腹黒さの恐怖にユーナは、もう笑うしかなかった。


「アハハ……気ニシナイデッ、何モ気ニシテナイカラ」

首をぶんぶん振りカタコトに謝罪の言葉に対してこたえた。


「その優しきお言葉に、心よりお礼申し上げます」

カクティヌスは、お礼の言葉を口にするがやっぱり目の奥には怒りの炎が、チラついている。


「アハハハハ……そっそうだ、私ってどうなってたのかな? ここって宿屋でしょ、連れ去られたお城からどうやって帰ってきたのかな?」


「そういえば、オレも知りたい。詳しい事、何一つ教えてくれんし」

重い空気に耐え切れないユーナは話題を変えようと、気を失っていた時の事を教えて欲しいと尋ねると、カインもまた同調する。

好奇心旺盛なカインの場合は、重い空気云々より、相変わらず秘密厳守で部外者の自分には何一つ教えてもらえない現状を変えようとしているだけだが。


「わかりました、ユーナ様。説明させていただきますが……」

そう、口にしながらカクティヌスはチラリとカインの方を見る。「この男が無関係だけど如何いかがしましょう?」と、表情かおが物語っている。


「なんや。また、オレ除け者かいな」

しょんぼりとカインが落ち込む。


「え~っと、一応お医者さんみたいだし、看ていただいた恩もあるし……同席させてあげない?」

余りにしょげる顔が情けなく、ユーナは思わず助け舟を出す。

それでもなお、「部外者が」と怪訝そうな顔をするカクティヌス。

先ほどの女装の件で爆笑されたのも密かに根に持っているようである。


「カクティヌス、ユーナ様に意見する気ですか?」

スケティナが微笑を浮かべながらも有無言わさない口調で言い放った。

彼女に抗う事等カクティヌスには、いや、ここに居る誰もが彼女に対して意見する事等出来ないのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ