話は少し戻り・・・。
時間は少し戻り、スケティナがゴーレムと戦い始めた頃――。
「離せっ」
床に呑み込まれた先は、至って単純に下のフロアに繋がっていた。砂埃が舞う部屋、そこにはユーナを待ち構えていた四人の人影があった。
彼らは、すばやく彼女を捕縛すると、拘束しはじめた。腕に縄をかけられそうになる。 必死に体を捻りそれから逃れると、振り向き様に相手の脛を狙い蹴りを入れ、痛みで相手の手が離れた隙に出口を探す。
先ほどまで自分がいた部屋よりやや狭い部屋、けれど扉は、同じ方向と確認。
全力で走りこみ、ドアノブに手をかけようとした直後――大柄な男に左手首を掴まれ 強い力でそのまま体を倒される。
衝撃で口の中が切れ、腕や膝を強く打ち付ける。
「何すんのっ何で私を!!」
それでも逃れようと右手で相手の顔を引っ掻くも駆けつけた先ほど蹴りを入れた男と共に、あっという間に両手足を縛り上げられる。
自分で立つことも困難になりそのまま床に転がされ、そのまま猿轡までされてしまう。
「コレが例の娘か……」
低い男の声、リーダーだろうか。 ゆったりとしたローブを身に纏い
手には歪に曲がった短剣、柄に魔蓄石をはめ込まれた物を持っていた。
――こいつが、魔法を使ったのか……。
そいつが見ている。 そう、いつも周りがユーナを見る時のあの目、珍獣をみる目つき。
「はい、そうでございます」
聞き覚えのある女性の声にハッとしてそちらをみると、居たのは、初日に世話をしてくれた女性。
ユーナの目線に気づいた女は、汚物を見るような目でこちらを一見する。そして、何も無かったように再びローブの男の方に向きなおした。
「そうか……引き続き、手配をしておけ。残りの報酬は、後日届けさせる。」
女に、ずっしりと重そうな皮袋を渡す。欲にまみれた表情を隠そうともせず喜び金を数える女に吐き気を覚える。
猿轡のせいで文句の一つも言えない。それでも押さえ切れない。
「ウヴゥーブゥッ、ヴブー!!」
ありったけの肺活量を使って叫んでやる。
「五月蝿いキメラだね……」
侮蔑する眼差しをこちらに向け一言呟くも、金を数える手は、止めない。 さらに体をくねらせ、暴れて抗議も追加するがそれが仇となった。
「こいつ暴れますぜ、薬使っていいですか?」
私を押さえつけていた男がローブの男に問い、了承を得ると、ユーナはまたツンとする臭いの薬で眠らされてしまった。




