表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/71

外国行くとお米が恋しくなるよね。

 薄手のワンピの様な服で人前に出るのは恥ずかしいが、女同士だし、まぁこれくらいならギリギリセーフかな?と思い、この日、初めてベットから降りた。


 いつの間にか用意されていた昨日とは違う服に着替えようとするとメイドさんは、当たり前のように手伝いにときた。

 身分の高い人たちが自分で着替えないのは、聞いたことがあったがニッポンの恥じらいの文化で育った事のある私的に無理なので丁寧にお断りさせていただく。

 「そうですか……」と、何故だか、ションボリされる。

 年上の女性がそんな表情をするのを見るのは初めて。マイペースで私を振り回しているレイヴァンには腹が立つけど、この人は彼に言われて私の面倒を見てくれているだけなので、何だか申し訳ない気分になる。


(後で怒られたりするのかな……そうなると申し訳ないような……)

 まぁ、ここで気を病んでも仕方ない。 次はなるべく手伝っていただこうかなと思った。


 テーブルにつくと温かい料理が待っていた。

 先程からずっとテーブルに並んでいたので既に冷めてしまっていると思ったパンやスープは湯気が立つほど熱々。

 よくよく皿を見れば、粉末した魔蓄石を使った皿であった。


 魔蓄石、魔法を使う為の源となる石――。

 小指の先程の石があれば、村では数十年……いや、一生遊んで暮らせるほどの高価な物。高価過ぎて市場にはなかなか出回らず、魔法の素質が高い者でも手に入らない。 その為、魔法が使えない状況はごく当たり前の状態である。

 魔法がある世界で魔法が日常的に使われない理由となっている。


 そんな魔蓄石を保温機能としてお皿として食卓に並んでいる。 レイヴァンのお金持ちっぷりを改めて思い知らされた。


(そんなお金持ちからどうやって逃げようかなー)

 フカフカのパンやカリッと焼けたベーコン、新鮮な果物等を美味しくいただきながら思考するもいい手が思いつかない。

 逃げたら村の人に危険になる、これがネック。


 つい、八つ当たりっぽくパンをがぶっとかじる。温かいパンは本当に美味しい。

 けれど……この世界来て約10年……和風文化って見当たらない。何となく中世ヨーロッパっぽい文化だし……ご飯はパンが中心。 焼きたてのパン美味しいけどお米が懐かしい。

 さっきの安っぽい時代劇を妄想したせいで少しホームシックになる。


「お茶のおかわりはいかがですか?」

 尻尾はフリフリ、猫のような耳は伏せ、額にはシワを寄せてため息……あきらかにユーナが哀しそうに考え込んでいる姿をみたスケティナが気分を和ませようと声を掛けた。


 「お願い」と、提案を受け入れると「こちらは気分を和らげるお茶でございます」と 爽やかな香りのハーブティーを注いだ。

 ほんのりとした緑が美しい。それを一口飲むと体の中から温まった。


「ユーナ様は、色々お考えすぎてお疲れのようですね」

 食べ終わった食器をさげながら。 全ての食器を片付けると彼女はもう1つ提案をした。


「もし、宜しければ、とある少年の物語をお聞きになりませんか? あれこれ考える続けるよりも時に休養するのも大切かと思います」

 はぁ……正直興味は無かったが、先程の落胆した顔をさせた引け目もあって半ば強引に勧められるまま押し切られる形で提案を受け入れる事となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ