篭城作戦決行中です。
散らばった羽毛達は、スケティナさんによってサッサと綺麗に掃除された。掃除の腕前も優秀の様で。
その後は、てきぱきと朝食まで運び込み、焼きたてパンの香る素敵な食事がテーブルの上に並んだ。
その作業中もレイヴァンは、愛おしそうにこちらを見つめている。布団を被って篭城作戦し続ける私を見ている。 このままでは、兵糧が無いので、そのうち落城してしまうかも……
「殿、城の周囲は敵ばかりで……物資が届きません」
「何処か抜け道はないのか」
「駄目です。いっそ降伏してしまいましょう。さすれば命だけは取られないと……」
「――ック……命あってこそ……いや、武士としてそれは出来ぬ。生きて恥をかくなら、自害する」
布団被ってるだけで何も出来ず暇だし美味しそうな匂いに刺激され空腹も手伝って安っぽいストーリーの時代劇がユーナの脳裏をよぎる。
炎上する城に二つの影……白い着物を着た殿は、最後の舞を終えると、スッと正座し……目の前に置かれた短刀を手に取る。
そして、潔く自らの腹に。迷い無く散る命……そして、城が崩れ去り……あぁ……哀しき過酷な運命…………
「とのぉ~~~~~~……」
「トノオ?ユーナは色々興味深い単語を知っているんだね」
暇なあまり感情移入して、つい、声に出てしまったようだ。
ってか、まただ。気づいたらベットの脇にレイヴァンが立っていた。話しかけられるまで気配を感じなかったしこの人、忍者っぽい。
鍛えれば気配って消せるものなのだろうか……。
「何の用?」
布団から顔だけ出して威嚇しながら。
もちろん、そんな威嚇に狼狽することも無く
「素敵な君とずっとこうしていたいのだが、俺はこれから用事があって出かけなければならない」
と、話を進めた。
本当に悲しそうに話すのでちょっと可哀想かと思ちゃったけど、これってチャンス?だよね。
「昨日、君を見つけた時に捕まえた彼らに色々とお話を聞かないといけなくて……。あと、君を怖がらせた報復にもう一度、痛い思いしてもらわないとね」
(……ん?)
後半、何だか物騒な気がするけど私には直接関係ないみたいなのでスルーしておこう。
「スケティナに世話を任せている。ゆっくり休養していてくれ」
そう、言い終えるとスッと掛け布団を持ち上げ、さり気なく額に唇を押し当てる。
「ちょっ!?」
呆気に取られる私を気に留めず、彼は、扉の外へと出かけていった。




