表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

7話 nandeyaneeeen!

 2月25日の金曜日の放課後、近所のカラオケボックスで中島壮行会と呼ばれるパァティを始めた。

 その時は5時で、門限は6時だそうだから15分前に出ればゆっくり帰れると思った。

 私は学校には行かず、制服を脱ぎ下に着ていた青色のシャツと短パンをだしてデパァトで一日中を過ごしていたのだけれど、壮行会には顔を出すことにした。

 制服を着てでは入れそうになかったので、もちろんその姿で来店した。


 待ち合わせのカラオケボックスには、昨日の顔が白いファンキィな人はマイクを手放さずによってたかってくる人の頭をおさえこんでいた。

 歌女王のコスプレ、厚い眼鏡とひきしまった制服を着た秀才君や、髪の毛をピンクから白にグラデイションしたりする人、個性の強そうな人ばかりがボックスにぎっしりつまっていた。

 あのバスケット部の子はお菓子や炭酸を手放さず、隣に座った私にグロテスクなグミや自作だというボロボロのクッキイをおしつけたりして、困ったけどそれなりに楽しむことができた。


 ただ、ひとつ気になったのが中島君らしき人がいないということだった。

 顔にソバカスがあり、櫨染色のけばけばした髪の毛と、耳にピアスの穴を2,3個あけた元気ハツラツとした男の子が誰ひとりとしていない。

 男の子は皆、パァティグッズで髭を眉毛や頬にはったり、死神のコスプレをしたり、着物を着てずうずうと熱いお茶を飲んでいる、そういう人達しかいなかったのだ。

 オタクはマネキンにアニメの少女の顔をはりつけてせつない会話をしている。


「あの、中島君は?」

「あぁ。中島?」


 ぱっとしない普通の高校生の私が密かに聞いた。


「中島は引っ越しの準備中だよ。」

「いつ来るの?」

「うぅんとね……。10年後くれぇかなっ!」

「10、10、10……」


 バスケット部の女の子は炭酸を一気飲みして、お菓子を腹に流し込んだ。

 私はセミの抜け殻のような、中身のない人に少しだけなったあと、腹の虫がついにきれた。


「冗談じゃないわよぉぉおおおっ!!」


 カラオケボックスの中で歌にまぎれて大声を出した。

 怒髪が立ち、眞鍋君のマイクを奪い取り選曲されていた歌のノリが良かったので歌詞だけを見て大雑把に歌いあげ人から拍手されるのをいいことに暴れ出した。


「私来た意味ないじゃなあああいっ!!」


 せっかくの中島君の気持ちをどうさっしてあげようか一晩中、買い物している間中考えていたのに、味気なく水の泡になってしまったことが論外そのものであった。

 でも、皆と話した時今までにない意外さと面白味が感じられた。

 30分前後のひとときであった。



 門限にぴったり帰るとピンクのエプロンをつけ、髪のゆえた母がすぐに出迎えてくれた。

 帰り道で中島君に会えなかったことが悲しくなりテンションが下がって行き、頬にあたる冬風には孤独感を感じさせられた。

 私は友達と一緒に食べてきた、といい食事は控えていた。

 父に学校は、と聞かれたのにビックリしたが、二言目に楽しかったか、と言われてうんと答えた。

 高校は行かなくても行ってもどっちでもいいのか。

 ベッドに転がり白色の皺のよった天井をみつめはじめた。


 何かが、私の記憶の中で薄れていっていた。


 何が薄れているのか、思い出そうとしていくつか候補は上がるけれど、どれもこれも答えではない気がした。

きぃぼうど壊れてて;;

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ