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暴虐皇子のやり直し「同じ失敗は繰り返しません!」  作者: nayaminotake
第一章 暴虐皇子のやり直し開始

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第27話 暴虐皇子は苦手な乳母と再会する

更なる襲撃を警戒したヒルダが、駆けつけた守備兵数名に指示を出し、俺を学園まで護衛した…

が、拍子抜けする程、何事もなく学園の敷地内へと帰る事が出来た


「このまま学園の女子寮へと向かってくれ」


護衛の兵士には、学園の入口で帰るように告げ、馬車にはそのまま女子寮へと向かってもらった


基本的に女子寮は男子禁制である。とはいえ、既に形骸化しており、高位貴族の子息が自分の妾となる下級貴族の女子生徒の部屋に入り浸るのは、もはや通例みたいなものだ


実際に俺もグネビーの部屋に何度か通っていたからな…


でも、公然と許されてる訳ではないので俺はヒルダの宿泊について寮長の許可を得るべく、女子寮の寮長室を尋ねていた


「畏まりました、皇室からのご命令という事であれば断る理由はございません。幸い空き部屋もいくつか有りますから」


女子寮の寮長は、メアリアという白髪の老婦人だ。

以前は、城でメイド長を務めていたという経歴の持ち主で俺が幼少の頃は、下の世話もしてもらっていた


「ところで、殿下は本日、ヴァルハラ城へ登城されておられた訳ですよね?では、ロルヴァ男爵嬢の部屋には?」


「いや、行ってない…というか、ここ最近は最…コホン…ロルヴァ男爵令嬢とは距離を置いている」


用意してくれた、紅茶を澄ました顔で飲み干す俺に目を細めるメアリア


「殿下、これは乳母メアリアとしてのお節介と思って聞いて下さい…」


「ふん!、今さら乳飲み子だった頃の話をもちだすのか?まぁよい…申してみよ」


メアリアは手のかかる子供を見る様な表情で微笑んだが、すぐに真顔になり


「長年、女をして歳をとってこの学園で若い貴族の令嬢を何人もこの目で見て来た私から申し上げると・・・」


「ロルヴァ男爵嬢は殿下の妃にも側室にも相応しい方ではないように思います」


なるほど…1周目では学園内でメアリアと話す機会もなかった、いや、まぁ俺が小言を言われるのが嫌で避けていたんだが…そのメアリアをして、あのクソビッチの最悪女の底は、性悪だと見抜いていたか…」


「―――実は、以前にヒルダやリリスにも同じ事を言われたな」


「…ミョルニル侯爵嬢との事は、誠に残念です―――でも、殿下にとっては良かったのかも知れません」


俺はメアリアの予想外の答えに、内心で驚く


「それは、いったいどういう意味だ?」


「ミョルニル侯爵嬢は、自分に非常に厳しい方です妥協という言葉は彼女の辞書にはないのでしょう、それはこの女子寮での生活でも顕著です」


どうやら、リリスは起床、食事、運動、勉強、入浴、就寝を毎日決めた時間キッチリに実行してるらしい

更に、寮のビュッフェで手にする食事は曜日毎に決まっており、その量も毎回同じ


「彼女は、常に理想の自分でいる為には努力を努力と思わず、当たり前に実行できる方…そんな彼女が今の殿下を見てどう感じるかご想像下さい」


「理想の皇帝を――と、なるであろうな」


「その通りです、それはヴァルハラ帝国にとってはこの上ない事でございましょう、おそらく陛下や重臣の方々もそれを望んでおられ、殿下とミョルニル侯爵嬢との婚約を推し進めたのでしょう・・・」


なるほどな・・・凡庸で頭の悪い皇子から、最低でも人前に出ても恥ずかしくない程度の為政者になる様にと手をまわした結果がリリスとの婚約だったか…だとしたら


「それは、俺だけではなく、リリスにとっても良かったのかもな…」


「殿下?」


「考えてもみろメアリア、こんな馬鹿で我儘な皇子からようやく解放されたんだ、今まで家の為だとか国の為とか色々なしがらみで自分の為に時間を使えなかったリリスが、狭い部屋から無限に広がる外の世界へ足を踏み出したんだ、これからは誰に遠慮する事なく自分の為の時間を使えるんだぞ」


俺の言葉に驚いた表情を見せるメアリアだが、すぐに悲しそうに微笑み首を横に振る


「それは、殿方のエゴですよ殿下、女とはそんな簡単に自分の生き方を変えられない生き物なのです、自由奔放に生きて来た女性が急にしがらみの中で息苦しく感じるのと同じで、しがらみの中で生きてきた女性に「明日からお前は自由に生きろ」と、言ってみた所でそれは辛く感じるものなのです」


「ふむ…俺には理解できないな‥‥」


「フフフ、理解できないからこそ、相手の事を考え、そこから愛情が芽生えるのですよ」


「ふん!、メアリアの言い方だと、リリスも曲りなりに俺へ愛情があったと聞こえるが?」


「はい、この老婆にはそう見えていましたよ」


「ふっ、それこそ有り得ない…いずれにしろ婚約破棄は正式に決まった事だ、俺は今後リリスと関わるつもりはない」


「では・・・やはりロルヴァ男爵嬢と」


「それもない、俺はロルヴァ嬢とも今後は距離を置くつもりだ」


「―――では、どなたか別に意中の方が?」


「メアリア、差し出がましいぞ…皇族の婚姻は恋愛の延長には存在しない、あるのは国の利益のみ」


「殿下…」


「さぁおれの要件は終わった、ヒルダの件よろしく頼んだぞ」


「―――畏まりました、殿下」


俺はメアリアとの話を切り上げ、女子寮を後にした…そのとき


(あれは、ランスロット…一緒にいるのは…グネビーか)


男子寮へ向かう遊歩道を、楽しそうに会話をしながら仲睦まじく腕を組んで歩くランスロットとグネビーの後ろ姿


(いよいよか…これで、ランスロットを遠ざける理由も出来たな、後は奴らに寝首をかかれない様に注意するだけだ)



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