3話
今日は授業をサボっ…いや “現地視察” のためにお忍びで町に来たよ!
引率の先生がいないのは“ごあいきょう”ってやつだ!
キャラ設定(と書いて“兄様たち”と読む!)のネタは溢れるほどあるけど、ストーリーとかのマンネリ化は避けたいからね!
商家の坊ちゃんみたいな格好で侍女たち3人と一緒に、
僕たちの書いた本を出してくれてる出版社に、この前仕上げた「護衛騎士×ワガママ令息」の原稿を届けた帰りだよ。
…街ゆく人たちの会話が耳に入ってくる。
「今回の新刊は『騎士×令息』らしいわよ!」
「ほんと?!前回の『公爵×従者』も良かったわよね〜!」
「前々回の『取り立て屋×神父』の続きはいつになるかしら?」
「とにかく、」
「「「楽しみだわ〜!!」」」
そんな会話を聞いて、ニマニマしちゃう僕。
それを見て、
「今回も力作ですからね。」
と冷静に見えてソワソワしてるエマ。
「…やはり令息×護衛騎士の方が良くなかったですか?」
真面目な顔をして逆カプを提案してくるエリ。
「取り立て屋×神父の次くらいに令息×護衛騎士やりましょエリパイセン!」
エナはエリを慰めてる…?のかな?
というか今、ナチュラルに次の新刊決まった?
…ま、いっか!!
ニコニコしながら街を歩いて色んな人たち、色んな職業を見る。
モデルは兄様達だけどダイレクトに王子様とかで描いちゃうと不敬罪になりかねないからね!
「パン屋×常連…チンピラ×花屋…大道芸…いや、サーカス団団長×道化師…」
とブツブツと呟く僕に
「屋根の修繕を頼まれた強面大工×危機感無さすぎ天然系花屋などいかがでしょう。」
他のカプを提案してくれるエマと、
「無気力系書店員×書店員に一途系取り立て屋などあります。」
同じく提案してくれるエリ。
「どれもおいしいっスねぇ…」
全肯定エナ。
…見事に染まってきたなぁ…うん、うん!
「…よし!ネタも集まったことだし少し買い食いして帰ろっか!」
「「「はい、坊ちゃん。」」」
鼻歌まじりに、僕たちは帰路に着く。
しばらくはネタに困らないぞぉ!!




