13話
今日の予定は、ライリー兄上に呼ばれて、王国騎士団の訓練所で見学です!
ネタの供給はたくさんあるけど、受け攻めの雰囲気が似たり寄ったりはダメだもんね!
エマに日傘をさしてもらい、エリに騎士団へのお土産、エナに僕が飲むジュースを持ってもらい、いざ出発!
あっ!もちろん、みんなにスケッチブックと鉛筆を持たせてるよ!
お城の隣に王国騎士団の建物と訓練所があるんだぁ。
…うひゃー!!見渡すかぎり、男の花園!!
これだけ、お顔の系統が違うと捗るなぁ!
ふむ、平凡顔受けとか確かに考えたこと無かったかも!お兄様方が平凡からかけ離れてるし、自分が平凡顔だから、無意識に回避してたかも!
ちょっと残念なお顔も、愛嬌があって良いよね!
でも、攻めてる顔がかっこいい方が好きだから受け限定かなぁ!
強面さんは攻めでも、受けでも、どっちも素敵だね!
…ナイスミドル!!身近なミドルがお父様とか宰相とかしか居なかったから…なるほどね!!
いい刺激になったかも!!
ソワソワしながら訓練所を進んでいき、ライリー兄上と団長さんがいる待機室に着く。
歩いてる最中に三人のチャラ男騎士が、侍女ズをナンパしてたよ!怖いもの知らずだね!
「「「私の王子への、忠誠を邪魔しないのであれば。」」」
って言って撃退されてたよ!
ふふ、フラれた傷を舐め合う3P本を描いとくね!
「ライリー兄上!僕、きました!!団長さんもこんにちは!」
「おっ!来たか、チビ!」
「輝ける五番目の星に挨拶、申し上げる。…こんにちは、ミオ王子。ハハッ元気で良きことですな!」
団長さんは三十後半から四十前半くらいの白髪混じりのナイスミドルだよ!
背はライリー兄上の頭一個分大きくて、訓練着でもわかるくらいの体躯の良さ。
昔、魔物討伐の時に魔物に攻撃されて、左眼を負傷してるけど、それでも騎士団団長なんてすごいなぁ〜
豪胆系攻めor受け…なるほどね…
「見学しながら歩いてきましたが、皆さんすごいたくさん訓練してますね!」
挨拶しながら、団長さんの後ろに控えてた副団長さんに手土産を渡す。
無難にハチミツレモンだよ!!
団長「いや、まだまだですよ。戦争がほぼない平和な国とは言え不測の事態に見舞われた時、国王様や王妃様達、そして王子達を守らねばなりませんからね!」
これまた豪快に笑う団長さん。カッコイイ!男前は攻めでも受けでも映えるなぁ!!
「…俺が居るんだから、そんなに気張らなくていいんじゃね?」
およ?
「ガッハッハッ!お前もオレらの中では“守る”うちに入ってるんだから、大人しく守られとけ!…オレたちの立つ瀬がなくなるだろ?」
そう言って大人っぽい笑みを浮かべ、団長はライリー兄上の頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
ファッ?!ライリー兄上なにそのお顔?!?!!!?
嬉しいような悔しいようなむず痒いお顔!!!!?!?!
頼られたいけど、お前も庇護下に居るぞって言われて喜んでらっしゃる?!?!?
…そうじゃん!!!ライリー兄上だって僕たちが産まれるまで『弟属性』だったじゃん!!!!!
ヒャー!!思い出させてくれてありがとう!!!団長!!!!!!
男前強引系攻め(団長)×ツンデレ弟属性受け(ライリー兄上)の新刊を描きあげたら進呈したいぐらい!!!!
ごめん!!迷惑だよね!進呈するのは、自重します!!!でも本は描きます!!!
ニコリと笑顔のまま動かなくなった僕を、不思議そうに見てから、ヒョイっと抱える団長さん。
…はわっ!?
なんて、安定する胸板!!しゅごい!!これが巷に聞く“雄っぱい”ってヤツ?!?!
僕2人分くらいの広さで、訓練着のせいでちょっと固いけど、それでも安心安定の心地良さ!!!
「ママ…?」
つい、口からポロッと出ちゃった。そうしたら団長の慈愛の笑みを浮かべ、
「ん?どうなされた?ミオ王子?」
なんて言う。
…これはオギャれる!!!僕、団長さんから産まれた可能性あるかもしんない!!
しゅごい!!!これをエマたちにも体験して欲しい!!!
でも「あの、すみません。うちの侍女達にも胸を揉ませてくれませんか?」なんて聞けない!!!!!
僕が堪能するしかない!!!!!!!!!
急いで侍女ズに目配せして僕の「表情」を描かせる。
雄っぱいに包まれた受けor攻めの表情なんて、こんな機会じゃないと知る機会が無い!!
「…?なに呆けてやがる、そろそろ城に戻るぞ。」
ライリー兄上が団長さんから、僕を剥がそうとする。
「あと五分だけ!!!」
思わず、そう叫ぶ僕。
「「へ?」」
ぽかんとした顔で僕を見る、ライリー兄上と団長さん。
「…なんでもありません!!戻ります!!!」
いけない、いけない。つい、本音が出ちゃった。
騎士団の訓練所…一ヶ月に一回くらい見学させてくれないかなぁ〜