9話
いつもの日課の城内散歩をしてます!今日も僕は元気!!
「…っ――…んんっ!」
…何やら艶かしい声が聞こえる…?!
まさか、リアルBL?!誰だ!?どのカプだ?!!?
声のする方へと近寄る僕。
…前屈姿勢のアイゼア兄様の背中をライリー兄上が押して、ストレッチをしていた。
僕に気づいた、ライリー兄上に声をかけられる。
「どーしたんだ?そんなところで…お前、なんつー間抜けな顔をしてやがる」
…僕はちょっぴり、現実を恨んだ。
気を取り直して、
「ライリー兄上とアイゼア兄様は準備運動ですか?これから剣術のお稽古?」
と質問してみる。
うーん、今回はどんなシチュエーションかなっ!
「ああ、コイツが「いつ、いかなる時も守れる者を、守れるように。」なんて一丁前なこと言うもんでな!」
「…!!ライリー兄上!そのことは言わない約束でしたよね!?」
と顔を真っ赤にして、反論するアイゼア兄様。
…意地悪教師×ツンデレ生徒…いや教師モノは前にやったか…?
「たいへん立派な志!尊敬します!アイゼア兄様!!」
…あと描いてない設定ってなんだろ……あれ?
アイゼア兄様は、僕の言葉を聞き、顔を赤くしたまま驚いたように僕を見る。
「ほ、本当かい!!」
グイッと顔を僕に近づけるアイゼア兄様。
うぴゃー!画面映えするお顔、ありがとうございます!
…舞台俳優さん×マネージャーさんとか、アリかも!
閃いた!!厳しめマネージャー(ライリー兄上)×新人舞台俳優(アイゼア兄様)!!
「はい!僕はまだ、剣術のお稽古は出来ませんので!」
「剣だこで、ペンが握れなくなったら嫌なので」をオブラートに包んでみる。
「?出来るだ―――」
「出来ませんので!!」
「お、おう。」
ライリー兄上が出来るだろう?と本当のことを言う前に笑顔と大声で乗り切る。
ふぅ!剣術の稽古、回避成功!
「そうだ!たまたま、東洋の本で見かけた、身体をほぐす体操があるのですが!!」
そう言ってライリー兄上とアイゼア兄様にあられもない姿をさせてみる僕なのです。
…僕を信じて女豹のポーズとかさせて申し訳な…
うひょー!!参考資料ーー!!さいこー!!!
初心系攻めと純粋系受け…まだやってないかも!!
「兄様たち!ありがとうございます!!助かりました!!」
「「???どういたしまして?」」
ライリー兄上とアイゼア兄様が困惑したような視線を僕に送る。
ああ、お二人共にそんな受け受けしいお顔しないで百合(BL)描きたくなっちゃう!
部屋に戻り、“参考資料が手に入った”と、侍女ズに報告する。
「360度デッサンさせていただきましょう!王子!」
「体格差の対比も必要なので、交互に入れ替えながらやってもらいましょう!!」
「王子やるッスね!!」
「エヘヘヘ!」
同タイミングでライリー兄上とアイゼア兄様が、くしゃみをしたとか、しないとか。