表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

ホラー物のお約束

おじいさんのありがた~い おはなし。

 その夜、小式部は自分の部屋に戻ると、何かの気配がする。しかし霊視をしても何も見えない。ふと天井を見上げると大きな網が降ってきた。

 そして2人組の男が現れた。

「よし、かかったぞ。」

「これで、おれたちのものだ。」

「保昌が帰ってくる前に連れ出すぞ。」

 2人は小式部に目隠しをすると縛り上げて、外に連れ出していった。


 目隠しを外されると、見えたのは古い建物の中のようだった。

 範永と公成がそこにいた。

「あなたたち、何するの。」

 小式部が声をかけるが、反応がない。よく見ると2人の頭から白い糸が外に出ている。

「あなたたち、操られているんだね。糸って、まだ蜘蛛残ってたの?」

 物音がしたのでみると、天井に大きな蜘蛛が1匹。

「子蜘蛛は5匹だけど、おっきいのがまだいたんだ。」

 大蜘蛛は白い糸を吹き出すと、小式部の体をぐるぐる巻きにして、生命力を抜き取ろうと太い糸をだしてきた。

「ちょっと、範長、公成。助けなさいよ。私が死んだら付き合えないよ。」

 範長と公成の目に光が戻ったようだった。2人は動き出そうとしたが、こちらにも白い糸が……。範長と公成はぐるぐる巻きにされて宙吊りになってしまった。

 だんだん小式部の全身の力が抜けていく、意識がだんだんなくなりそうになる。


 もう、だめなのかな。

 私、死ぬのかな。

 でもこんな死に方はいやだな。

 保昌パパや晴明さん、博雅さん怒るだろうな。

 かたき討ちはしてくれるだろうけど。

 もっとライブやりたかったなぁ。

 ママ泣くだろうな。

 保昌パパと一緒になるまで二人きりだったし。

 でもママより先に死ぬのはいやだなぁ。

 ママ、メンタル弱いし、きっと病むよなぁ。


 いかにせん いくべき方も おもほえず

親にさきだつ 道を知らねば



「見事!」


 いきなり雷が、大蜘蛛の体を打ち抜き、 深紅の紅葉の葉が小式部に絡んでいた白い糸を消し去った。

 見ると、美青年とダンディなおじ様が立っていた。

「その歌に感動したよ。天神様も感動したって。」

 美青年が声をかけると、その横のダンディおじさんもにこやかに笑った。

「もしや、あなたは?」

「右馬神だよ。」 

「業平様?そして天神様?えええっ」

 小式部はそのまま意識を失ってしまった。



「間に合いましたね。」

「ああ、危機一髪だった。」

「ここで、式神が仕事してくれましたよ。」

「でも、『見事!』って誰の声だったんだ?」

「さて?」


 保昌と晴明は、まだ気を失ったままの小式部を連れた帰ったそうな。


 めでたし、めでたし。


最後に一波乱はお約束ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ