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子蜘蛛襲来2

おじいさんのありがた~い おはなし。

「ん?」

 関白殿の意識がもどったようだ。

「道長殿、ご無事ですか?」

「おお、保昌か。いったい何があったんだ。」

 そのうち頼通も起きてきたので、保昌はここまでの経緯を説明した。

「異界からの攻撃なのか。」

「父上、どうやって防ぎましょう。」

「晴明は来てるのか?」

「ええ、今、小式部と息子さんの様子を見に行ってます。」

「息子?」

「教通さんと、頼宗さんも襲われたとのことで。」

「父上、あいつらきっと」



「小式部ちゃ~ん。やっぱり来てくれたんだ。おれのこと心配だったんでしょ。入って入って、おい、付き添いは帰った帰った。」

 小式部と晴明が部屋に行くと、頼宗は元気よく出てきて、小式部の腕を取って、部屋の奥に連れ込もうとする。どうみても物の怪に憑かれて体力を奪われていたようには見えない。小式部はもう一方の手で、頼宗の頬にグーパンチすると

「はい、もう出禁ね。」

といって、出て行った。


 こちらも同じだろうとは思ったが、念のため教通の部屋にもいってみた。

 教通は横になって、苦しそうな声を上げている。

「ううう、死にそうだ。最後に小式部に会いたい……。」

 でも、ちらちらとこちらを見ているのが、まるわかりである。

「おお幻か。小式部がそこにいる気がする。一度この手に抱きしめてみたい。」

「何言ってんのかしら、もう!」

「小式部がこっちに来てくれないと、悪霊に殺されてしまう。はやく!」

「晴明さん。」

「はい、何もいませんね。帰りますか。」

「そうですね。帰ろ。」

「待てよ。愛するおれが死にそうなんだぞ。そんなに冷たくするなよ。」

「ん~ん、面倒ね。はい、これ」

ー死ぬばかり 嘆きにければ 嘆きしか 生きてとうふべき 身にしあらねばー

(死にそうだと嘆くなら嘆きなさい。生きてって願うような関係ではありませんから)

一首の歌を書き残し、

「うまい返歌が詠めたら、許してあげるわ。」



「やっぱりあの二人」

「父上、あいつらどうしましょうか。」

 保昌たちのところにもどると、話を聞いた道長と頼通はおこるやら、あきれるやら。

「藤原の当主の身が危険なのに、それに便乗して女を呼び出すとは情けない。」

「小式部さん、あの子らをどうしてくれようか。」

「とりあえず、頼宗さんは出禁、教通さんはうまい返歌ができるまで無視。」

「頼宗さんは歌はうまいが、教通さんには無理ですね」

と、晴明が言うと、思い出したように保昌が 

「そういえば、小式部宛てに、たくさん手紙が来たぞ。」

「パパ、ごめんね。」

「大丈夫、おふろの焚きつけにママが使ってたから。」

 小式部はちょっと笑って、思い出したように

「ちょっと待って、パパ逃げたの5匹っていってたよね。」

「ああ、5匹だった。」

「ということは、あと1匹残っていますね。」

「うむ。わしと頼通、晴明と博雅、頼光。以外に1人か。」

「父上、武なら保昌、和歌なら公任、文なら紫式部といったところでしょうか。」

「紫は困る。晴明、保昌 しっかりと守ってやってくれ。」

「退治した私はないでしょうから、あとは公任さんですね。」

というわけで、藤原公任と紫式部を残った1匹からの警護の対象としたのであった。


小式部の歌の悪用ですw

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