表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

異界の蜘蛛

おじいさんのありがた~い おはなし。

 頼光の屋敷の門をくぐると、晴明は急に立ち止まったそうな。

「うん……。」

「どうしたの?」

「これは、ただならぬ妖気ですね。」

「妖気?」

「ええ、ちょっと見てみますね。」

 晴明は呪符を取り出すと何かを唱えた。

すると、屋敷の中まで続いている白い糸のようなものが現れた。

「これに、触らないようにしてくださいね。」

「袴さんは、また引っ掛かりそうだから、ここにいて。」

 見ると、既に袴垂にもいたるところに白い糸がついている。

「もうついていたみたいですね。ちょっと待ってください。」

 晴明が何かを唱えると、袴垂についていた 白い糸は、青い炎に焼かれて消えた。

 それから、晴明と小式部は白い糸をたどって屋敷に入っていくと、奥に進むにつれて蜘蛛の巣のように白い糸が壁や天井、いたる所にはられている。

「これはいけませんね。この先は危険です。」

「真っ白だね。でもパパたちは?」

「これは目には見えないので、そのまま中にいるんでしょうね。ちょっと待ってください。」 晴明がまた呪を唱え、白い糸が焼きながら、二人は頼光がいる部屋にたどり着いた。


「おお、晴明どの、それに小式部ちゃん。」

 綱は部屋の前に控えていた。綱も白い糸が付いてはいたが、それほどでもなかったので、晴明はさっと焼くと。

「頼光どのは?」

「先ほどまで起きていたのですが……。」

「それにしても、部屋の中の糸が何か所か切れているようなんですが、何かしましたか?」

「切った。」

「切った? 刀で?」

「刀を振ると、何か音がした。」

「その刀を見せてください。」

「これが、わが名刀『髭切』だ。」

「うう~ん。これで鬼か何か切りましたか?」

「切った。」

「あっ、あの時ですね。それでわかりました。綱さんこれで頼光さんの回りを切ってください。」

「わかった。切る!」

 綱が刀を振り回すと、頼光の周りから白い糸が消えていく。

「あっ、パパこんなところに」

 保昌は意識を失っているのか黙って座っている。

「パパ!」

 ん?いびきをかいている。小式部が保昌をゆすると目を覚ました。

「おっ、小式部。どうしたんだ?それに晴明さんも。」

「パパが呼んだんでしょ。」

「ああ、そうだった。寝ぼけていたようだ」

 晴明が保昌の体についた糸を焼くと、

「保昌どのまで、白い糸がまかれていますね。」

「白い糸?」

「ええ、異界の蜘蛛の糸のようです。」

「ということは、その異界の蜘蛛はまだ……。」

「近くにいますね。」

 ぷつん

「切った!」

 綱がふりまわした刀が何かを切ったようだ。

 晴明が見ると、頼光についていた太い糸が切れていた。

「うう~ん。これで精気を吸っていたようですね。」

「精気?」

「頼光どのの命を狙ったようですね。その糸の後をたどってみましょう。」

 糸は奥の部屋まで続いている。

「綱どの、この部屋は?」

「頼光殿が旅の僧を泊めていたのですが。」

 綱と保昌が、同時に左右からふすまを開けると、部屋には白い糸がいたるところにあるが、僧の姿は見えない。

「上よ!」

 小式部が叫ぶのと同時に、天井から白い糸が振ってきた。

 天井には巨大な蜘蛛が……。

「えい!」

「切る!」

 姿も糸も見えないはずの綱と保昌が切りかかり、降ってくる糸とともに、蜘蛛の足を1本ずつ切り落とした。すると巨大な蜘蛛はすっと姿を消した。

「ん?気配が消えた。」

 保昌が落ちて来たものを拾うと、蜘蛛の足のようだった。

「これは、異界の蜘蛛のようですね。」

「どこに行ったんだ?切る!」

「綱さんは、すぐに頼光殿のところへ行ってください。」

 

 綱が頼光の寝ている部屋に戻ると、刀を手に頼光が起き上がっている。

「殿!」

「ああ、何かが襲ってきたので切った。」

「で、どこへ? 切る!」

「いや、気配が消えた。」


「逃げられたようですね。」

「おっ、保昌どのに、晴明どの来て下さったのですか。」

「私もいるわよ。」

「あっ、小式部ちゃんも」

 晴明は部屋の様子を見ると、廊下の方へ歩いて行った。

「ここで、姿を消したようですね。頼光殿切りましたか?」

「ああ、この『膝丸』で」

「体に傷をつけたようです。血が流れています。」

「で、どこに行ったんだ?」

「ちょっと待ってください、占ってみます。」


「小式部、お前見えてるんか?」

「うん、見えてるよ。」

「パパたちには見えないのに」

「私、昔からそんなものが見える体質なの。」


「頼光殿、出ましたよ。」

 晴明は占いを終えると、地図を見始めた。 

「どこなんだ?」

「この方角だと……。大和の国、葛城山あたりか。」

「葛城山?貞光たちが出かけたところだぞ。」


刀もキーアイテムですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ