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源頼光邸

おじいさんのありがた~い おはなし。

 さて、頼光はここのところ体調が悪く、寝込んでいた。今日も元気な金太郎が、

「頭領、『くまの胃』もってきただ、よく聞く薬だときいたぞ。」

「『くまの()』ではなく、『くまの胃』なのか?」

 頼光は、さらに具合が悪くなったみたいだ。


「頭、私の弓で病魔を払いましょう。」

「季武たのむぞ」

 季武は空弓をびゅんびゅん鳴らしてみた。すると突然、何かにおびえて赤子が泣き出した。

「あっ。よしよし。」

 季武は赤子を抱いていってしまった。頼光はさらに具合が悪くなったみたいだ。


「おお貞よ。治療法は見つかったか?」

「ええ、やはり温泉がいいと思います。」

「それはどこにあるんだ。」

「大和の国 葛城の里に鴨君之湯(かもきみのゆ)ってのがありますね。」

「そこまで行く体力に自信がないなあ。」

「みんなでいって、お湯もらってきますよ。」

 貞光の温泉知識も役に立ちそうである。


「綱よ、何してるんだ?」

 部屋に入るなり綱は刀をふりまわしている。

「病魔はどこだ?切るよ。切っちゃうよ。」

 ぷつん。

「ん?今なんか音しなかった?」

「うむ。なんか切れた。」

 頼光の具合が少し良くなったようだ。


「うん?何か悪いものが、ついているのかもな。」 

 様子を見に来た保昌は、四天王たちの話を聞いて考えた。

「旦那、こんな時は晴明さんですぜ。」

 家来の袴垂(はかまだれ)が、久々の出番を喜んでいる。

「ああ、呼んできてもらえるか?」



「なるほど、頼光どのがそんなことに」

 晴明邸の全てのトラップにかかって、袴垂はぼろぼろの姿になっていたそうな。

「それにしても仕掛けたトラップ全クリした人は初めてですね。」

「袴さんは、腕力タイプの盗賊だから、細かいの無理なのよね。」

 小式部は膝の上の子ぎつねと、遊びながら笑っている。

「腕力タイプ?」

「そ、武闘派」

「ふむ。まあ、とりあえず頼光どのの様子を見に行きましょうか。」

「うん、私も行く。」

「お嬢さん、それは父上が心配しますよ。」

と、袴垂があわてて止めると、 

「だって、保昌パパもいるんでしょ?」

「そうですね。護身の呪は唱えておきましょう。」

 そんなわけで三人は頼光邸へ向かった。


晴明宅には式神トラップが一杯

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