それでも、私、紅pの父は行く!
とある春の日の事です。
私、紅pの父は、それでも行ったのでした……。
私、紅pの父は、浅眠である。
そして、かなりの寒がりである。
そんな父は、冬の間は、大人しかった。
寒いので、出歩くとしても、体力維持の為の5㎞程のウォーキングだけだったのに……。
なのに、木々の芽生えと共に、一気に行動範囲が広まったのだ!
まあ、それは毎年の事であるが……。
そんな父は、非常に目が良い。
良すぎる目で色々な物を発見するので 大いに助かる事もあるが、余計な事まで気づき、
少々、うっとうしい事もある。
何事も、良し悪しである!
そんな父は、唯、徘徊していた訳ではなかった。
そう、その良すぎる目で、ある物の目星を付けていたのだ。
それは、【たけのこ】!
父は、毎年、どこからか掘ってくるのである。
そして、武勇伝なのか、後日談なのか分からないけれど、発掘作業について語る為、
たけのこ掘りをやった事のない私、紅pも、まるで、たけのこ掘りの達人の様に、
たけのこ掘りについて話せる様になってしまった☆
そんな私が今年の【たけのこ】について、父から話を聞かされていた時の事である。
「紅p、今年も、【たけのこ】があったから、食べれそうだよ!」
「そうですか。楽しみですな♪」
「でも、猪の奴が掘ってていくつか食べられてた!」
「まあ、猪は鼻が良いみたいだからね。人が掘るより前に、食べちゃうよねぇ」
「そうか……。でも、我が家の分は、もう少ししたら掘りごろの物があったから、大丈夫だ!」
「⁉」
えっ……、何が、大丈夫なのでしょう?
猪が出るのに?
猪が出るって、言ったよね?
父よ、それでも、行くのか⁉
地元のニュースで、男性が猪に襲われましたって、なるかもしれないのに?
それでも、行くのか、父ヨ⁉
私は一応、忠告したのだ。
だが、数日後……。
父は、立派な【たけのこ】を三本も、持って帰って来たのだ!
そして、私にある話をしたのである。
「紅p、【たけのこ】掘ってたらさ、猪の奴が、
お父さんが掘った【たけのこ】を食べてたんだよね!」
「⁉ じゃ、じゃあ、猪と遭遇したの? 猪、どうしたの?」
「竹で追い払った!」
こうして、それでも行った父に新たな武勇伝がまた増えたのである☆
☆後日談☆
そして、そんな父は、どこからか入手した【米ぬか】を使い、【たけのこ】を茹でました。
茹でられた【たけのこ】は美味しかったのですが、一気に三本も食べたら、
【たけのこ】ではなく、【ふきでもの】が生えてきます!
なので、残った二本の【たけのこ】をどうするか、私は聞かれ、こう答えました。
「【たけのこご飯】にする♪」
そして、それはすぐに採用され、【たけのこご飯】の作り方をネットで調べる様に指示があり、
私は調べました。
極々、平均的な作り方で。
からの、作った【たけのこご飯】……。
すぅ~んごく、美味しかったのです♡
これも、それでも行った父のおかげですな♪
父よ、そういう事なので、来年も、それでも行ってください!
そして、皆様は、普通に入手した【たけのこ】等の春の味覚を、美味しく味わってくださいね☆
さらに後日談になるのですが、私、紅pの父によると、
【たけのこ】は、土から顔を覗かすと、一気に1m程迄成長するらしいのです。
で、それまでも猪は齧っていたとか!
そして、父の【たけのこ】を横取りしようとした猪は、まだ子供だったとか。
じゃあ、親が近くにいたって事なのかしらね?
さらに付け加えますと、父は、秋ぐらいになると、今度は【自然薯】を掘って参ります……。
全く、どう生きてきたら、こういうワイルドな人間が出来上がるのでしょうね☆