鍵人
キーッ
「なんだぁ?静だなぁ・・・なんかったのかぁ?」
扉の開く音と共にその場の空気にふさわしくない間抜けな声がした。
「レオン!」
10才前後の少女が笑顔でレオンと呼ばれた青年に抱きついた。
「やぁやぁ、小さなレディ僕が留守の間浮気はしてなかったかい?」
青年は少女に微笑みかけながら言った。
「当たり前でしょ!・・・セイラを疑うの?」
セイラは怒ったかと思うと、泣きそうな顔になったので青年はうろたえ、言い訳をしていた。
数年ぶりに見るので多少変わったところはあったが、ミーズは青年を知っていた。
「・・・レオナルド?」
自分の名前を呼ばれてはじめてミーズのことを見た。
その目は驚愕に瞠られていた。
「ミーズ様・・・」
彼が自分をそう呼ぶのを聞き、ミーズはレオナルドの喉元に独特の形をした剣を突き出した。
「ルカシスはどこだ!」
ミーズはすごい剣幕でレオナルドに畳み掛けた。
「おまえなら知っているはずだ!」
レオナルドは顔を歪まして彼女を見返した。
「知りません・・・」
「嘘だ!お前が知らないはずがないだろう!」
しかし、レオナルドの瞳に全く曇りのないことを認めるとミーズは膝をついた。
それをレオナルドは痛々しいものを見るかのように見つめた。
「・・・ミーズ様、まさか屋敷を出たのはルカを探すため?」
「そうよ・・・」
小さな声で俯きながら彼女は答えた。
そして、勢いよく顔をあげた。
「そうよ!当り前でしょ!」
強く言い直した彼女の瞳には軽く涙が生じていた。
「継母を殺したのよ!きっと、一年前父を殺したのも彼なんだわ!」
それを言った途端、ミーズは寒気を感じた。
レオナルドが殺気を露にしたのである。
「・・・ミーズ様、事情も知らず勝手な憶測でルカを疑わないで下さい」
彼は氷のように静にそして冷たく言い放った。
ギルドの者は目を丸くした。
レオナルドが女性を叱るならまだしも、女性に対して殺気をだしたからだ。
「っ!なら、その事情とやらを教えてよ!そうしたら私だってこんな疑い掛けないわ!」
レオナルドの殺気に気圧されたものの、なんとか彼に言い返した。
この言葉は、彼女が予想した以上に彼を狼狽させた。
「どうしたの?なんで黙ってるの?」
「それは・・・」
彼はなおも答えない。
「ほら、何も言えないじゃない?それでルカシスを疑うなってどうかしてる・・・」
ルカシス・フェンレイジーはフェンレイジー夫人殺害事件の夜から行方知れずなのだ。
「察してください、これはあなたを・・・」
そこでレオナルドは自らの口を塞いだ。
ミーズもその言葉を、鍵となりそうな言葉を聞き逃さなかった。
「わたし?わたしが関係してるの?」
「聞かないに越したことがないこともあるのですよ」
まだ進歩は見られませんが
これから精進していくつもりです><




