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少女現る

 微かな悲鳴を聞き、青年は足を止めた。悲鳴の聞こえた屋敷に一旦目を向けたが、すぐ森へと歩みを進めた。そしてまもなくして暗闇の中へと溶け込むように去っていった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 バンッ!

 扉が勢いよく開かれた。室内にいたものたちは何事かと一斉に扉の方を見た。皆の見たものは少女だった。聖なる力が宿っているかのように思えるほど美しい銀の髪、澄みきった空を連想させる水色の瞳、そして透き通る雪のような肌。どこか人間離れした美しさを持つ少女だった。

 「ここはギルド【メルアヘル】だな」

 暫くの沈黙を破ったのは少女だった。

 「・・・だとしたら?」

 人を掻き分けていかにも大人という感じの女性が出てきた。

 「依頼がある・・・」

 女性の紅い瞳がしばし少女を観察した。

 「お譲ちゃん、名前は?」

 「・・・ミーズ」

 少女、ミーズは渋々といった感じで答えた。

 「わたしはミランダ

  ・・・っで?このギルドがどういう依頼を主に受け取っているかを知っての依頼?」

 ひとつ深呼吸をし、ミーズはミランダの目を見て言った。

 「えぇ

  ・・・ルカシスという男の殺害を依頼する」

 若干声が上擦ったような気がしないでもないがミーズの瞳は決意にいろどられていた。

 「そう・・・

  決意は固いようね」

 ミーズは相槌を打ち口を開いた。

 「それと私もその依頼に携わりたい」

 急にその場の空気が変わった。

 「・・・お譲ちゃん、わたしたちは自らこの職業に就こうとして就いたんじゃない。

 みんな何かしらの理由があって人殺しの職に就いたんだ。」

 ミランダは怒りを抑えたような口調で言った。

 「それはしたくて人殺しをしていないと?自らの職業に誇りがないと言ってるんですか?」 

 ミーズは無表情で聞いた。

 「違うよ!それでも、いや、だからこそ誇りがあるから人殺しをしたことのない奴には人殺しをして  欲しくないんだよ!」

 ミランダは目を吊り上げて怒鳴った。

 それに対しミーズは目を伏せた。

 「それは・・・ごめんなさい」

 それまで尊大な態度の彼女から謝罪が出るとは思わず周囲のみんなは一瞬動きが止まった。

 「けれど、何故私が人殺しをしたことがないと?」

 彼女は本当に不思議そうに問うた。

 今度は別の意味でみんなの動きが停止した。

 そして、一斉にこの無垢そうな少女を見た。

 「・・・譲ちゃん人殺しを?」

 ミーズは小さく、でも確実に頭を縦に振った。

初投稿です><

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