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神使  作者: シュバル
20/22

ローランの告白

 ~~ 五十年後 ~~


「ローラン、いよいよこの人生も終わりが近づいているみたい・・。」

 ヒトミは杖をつきながら四宮神社に来て、ご神木のベンチの前に座っていた。そしてローランはご神木の上から、無言でヒトミを見つめていた。

 「生まれたからには死なないといけないのよね・・。」

 ヒトミはそう言って、少しほほえんだ。

 「・・・この人生が終わった時に、天界へ戻れ。」

 ローランが真剣な顔をしながら言った。

 「え・・、なんで?」

 ヒトミは長年、関東で暮らしていたので、話す言葉も標準語になっていたが、驚いた時や緊張した時などは関西弁が出てしまっていた。

 「以前、アヤも言っていたが、天界への道が開き、地球と天界の距離が短くなった事は、他の神々も言っているので確かだ。おまえは、もう十分に役目を果たしたのだ。」

 「いやや・・、ローランが天界へ戻るまで・・」

 ローランの厳しい顔を見たヒトミは、それ以上言葉が出なくなり、少しうつむいた。

 「お前は地球人の憎しみや悲しみなどに過剰に反応して傷つくことが多い。そんな姿を見るのが私はつらいのだ。天界へ戻り、もっと穏やかに過ごしてほしい。」

 ローランはヒトミから少し視線を外しながら言った。

 「でも・・」

 泣き出してしまったヒトミに、ローランは少し優しい口調で言った。

 「私には白山の神が天界へと引き上げて下さるという確信がある。その時は迷わず天界へ・・お前の元へと行くから、何も心配はしなくていい。」

 ヒトミは顔を上げてローランを見つめた。そしてローランもヒトミの目をしっかりと見ながら、続けて言った。

 「そして天界で、またお前のことを守り、必ず幸せにする。」

 普段は無口なローランが一生懸命、言葉を選ぶように話す姿を見たヒトミは、涙をふきながらほほえんだ。

 「そうね・・、先に天界へ戻ってもう一度、白山の神様にお願いしておくわ・・。」

 ヒトミはゆっくりと立ち上がり、杖をたよりに家へ帰り始めた。その少し寂しそうな後姿を、ローランは長いため息をつきながら見送っていた。




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