神の働き
「ローラン、わが家の新しい家族よ。」
リンは四宮神社へジャックを連れて行き、抱っこをしながら見せた。ローランは興味なさそうに犬を見ながら言った。
「稲荷社の神使のおかげだな。」
「え?どういう事?」
リンは驚いた。
「リンの父親が、ずっと元気がないという話を稲荷社の神にしていただろ?捨てられて困っている犬を、リンの父親の元へと導いたのは、稲荷社の神使だ。それをどうするかは父親次第だが。」
神社の祭りの日、リンの父親が帰っていく様子を上空から見ていたローランは全てを知っていた。
「そうだったのね・・。何も知らなかった。」
リンは稲荷社の方を見ながら言った。
「この世界も、知らないところで様々な力が働いているのだ。しかし、稲荷社の神と神使は本当によく働く・・。」
ローランは尊敬するような口調で言い、軽くため息をついた。
「私、お礼を言って来るね。」
「いや、犬は連れて行かない方がいいだろう。」
リンが犬を抱いたまま稲荷社へ向かったので、ローランが引きとめた。
「そうね・・、一度、家に戻ってジャックを置いてから、また来るね。」
リンは楽しそうにジャックと家へ帰って行った。
母親を亡くしてから、ずっと寂しそうだったリンに、心からの笑顔が戻った。そして安心したローランも穏やかにリンを見つめていた。




