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神使  作者: シュバル
14/22

出会い

 神社からの帰り道、歩いている父親の少し先で、激しいクラクションが鳴った。先に進むと、狭い道路の真ん中に、じっとしている犬が目に入った。父親は慌てて近寄り、小さな犬を抱き上げた。

 そして道路の端により、飼い主を探してキョロキョロしていた。しかし飼い主が現れないので、その近辺の家に、犬のことを知っているかを聞いてまわった。誰もその犬を知っている人がいなかったので、近くにある警察署へ連れて行くことにした。


 「プードル、オス、五歳くらいかな・・」

 拾得物係の警察官は用紙に記入しながら、事務的に言った。

 「では、こちらで預かります。飼い主が現れたらご連絡します。」

 「もし飼い主が現れなかったら、どうなるのですか?」

 父親は心配そうにたずねた。

 「一週間はこちらで預かりますが、一週間たっても飼い主が現れなかった場合は保健所に送られます。」

 「飼い主が現れなかった時も連絡を下さい。」

 父親はその犬を警察官に渡しながら頼んだ。



 一週間後、父親はまた警察署にやって来た。警察官から犬の飼い主が現れなかったと電話があったからだった。

 警察署の犬を収容している場所には多くの様々な犬が、一頭ずつ犬舎に入っていた。父親に抱っこされたその犬は、不安そうで元気がなかった。

 「最近は高いお金を出して買った犬でも簡単に捨てる人が多いんですよ。引き取ってもらえて助かります。」

 警察官は嬉しそうな顔をして続けて言った。

 「半年間、この紙を無くさないようにして下さい。半年間、飼い主が現れなかったら、完全にあなたの犬になりますので。」

 「はい」

 父親は犬も他の拾得物と同じ扱いになる事に少し驚いたが、力強くこたえ、その紙を受け取った。


 警察署を出た時、リンに犬のことを話していなかった父親は少し不安になっていた。リンが今まで、犬を飼いたいと言ったことがなかったからだ。

 そして家の近くのペットショップに寄り、今すぐにトリミングをしてもらえるかを聞いてみた。

 「大丈夫ですよ。お預かりしますね。」

 店員が明るく引き受けてくれたので、トリミングが終わるまでの間、犬を飼うために必要な物を買いそろえる事ができた。

 毛がのびてボサボサだったその犬は、一時間もしないうちに、見違えるほど立派になっていた。

 「同じ犬とは思えない・・」

 父親の口から本音が出た。

 「すごくカッコイイ顔をしていますし、おとなしくて優しい性格ですよ。」

 事情を知ったペットショップの店員は、その犬をとてもほめてくれた。

 家に帰った父親は、急いで犬に水とドックフードを与えた。そして犬のトイレの準備や、寝床をどこにするかなど、家の中をウロウロしながら考えていた。そんな中、アルバイトを終えたリンが帰ってきた。

 「ただいまー、え⁉ かわいい~!」

 リンは、その大人しい犬を優しく抱き上げた。今まで元気がなかった犬は、リンの腕の中でシッポをふりはじめた。

 父親から事情を聞いたリンは大喜びで、その犬を見つめながら名前を考え始めた。

 「でも・・、私はずっと、お父さんは犬が嫌いだと思っていたわ。」

 「お父さんも、リンは犬が好きじゃないと思ってた・・」

 二人は同時に笑い出し、また犬の名前を一緒に考えだした。



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