緊張
点呼に向けて支度を始める
(...)
(...)
(...はっ!)
ボクは気付くと、62番さんを見ていた。
(この気持ちはなんだろう...62番さんを見ていると胸が締め付けられる)
ボクは訳の分からない気持ちに悩まされながら、準備を着々と進めて行った。
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62番さんが椅子から立ち上がり、扉に手を掛けた。ボクは後ろに続いて部屋の外へと出る。
廊下にはボク達のように、黒いマントを羽織った人達が各ドアの前で並んでいる。
(かっこいい...!)
ボク達も同じ様に扉の前に並ぶ。
(緊張する...62番さんは平気なのかな)
62番さんをチラリと見る
(62番さんの横顔、どこかで見た気がする...)
(そういえば目の色が黄色になってる...どうしてだろ)
ボクが色々と考え事をしているとどこからか足音が聞こえ始めた。
(点呼の人かな...?)
周囲を見渡すと、階段から服装が何処と無く違う女の人が降りてきた。
(ボク達の服に似てるけど少し違う気がする...)
徐々に近付いて来て、ボク達の前で止まった。
ボクは緊張し、少し身構えてしまう。
「君達が昨日新しく入った子か!今日は一日目だから、説明も兼ねて見学という形でゆっくり行こう」
フードで顔が隠れていても分かるくらい、その人はにこにこしていた。
ボクが驚いていると、61番さんが喋った。
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
ボクは慌てて同じ様に「宜しくお願いします」と答えた。
その人は振り返り、また階段の方へと戻った。その後を続くように、階段側にいる人達から二列になってついて行った。
ボクは一つ、考え事をしていた
(ニコニコしているけど...あの人、隙というかなんというか...油断のようなものを感じなかった)