契約の儀式...?
「............ちゃん?」
?
「....ールちゃん〜」
呼ばれてる...?
「ドールちゃ〜ん」
ボクは目を開ける
「あっ起きた」
25番さんがボクの顔を覗きながらボクのほっぺたをモチモチしている。
「ご、ごめんなさい!」
ボクは慌てて体を起こす
「ゆっくりでいいよぉ」
知らない声が聞こえ、ボクはそちらを振り向く。
そこには25番さんと同じくピンクの目をした綺麗な人と、黒いマントを羽織った二人組がいた。
ボクは状況の理解に苦しんで、25番さんの方を咄嗟に向く。
25番さんもこちらを向き、ニヤりと笑い視線を前に戻す。
(ニヤりじゃ分からないよぉ!)
困っていると、ピンクの目をした人が話し出した。
「私はグリュキュ〜よろしくねぇ。ここはニンファエアの拠点で〜私はここの偉い人なんだぁ」
凄いのんびりとした話し方をしてるからか、ボクも少しずつ落ち着きを取り戻してきた。
「とりあえず〜ニンファエアに入るって事で間違いは、無いねぇ?」
(そんな約束したっけ...?)
ボクはチラッと25番さんを見る
25番さんは冷や汗をかきながらボクにお願いのジェスチャーをしてきた。
何が何だか分からないまま、ボクは「はい」と答えた。
「良かったぁ〜、また25番が先走って、連れてきたのかと思ったよぉ」
ボクはなんで25番さんが冷や汗をかいていたのか理解しながら、黙々と話を聞いた。
「それじゃあ今日から061番としてよろしくねぇ。とりあえず契約の儀式をするね〜」
グリュキュさんが立ち上がり、ボクの前まで来た。
「眩しいから〜目を閉じて、心の中で三十秒くらい数えてねぇ」
ボクは言われるがまま目を閉じて、三十秒数える。
十五秒くらい経った時、顔に突然手が触れた。
五秒かけてゆっくりと唇の所まで手が移動して、口を開けられた。触り方が妙にゆっくりとしている。
(ムズムズする...)
そんな事を考えていると突然、ボクの唇に何かが接触した。
(!?)
ボクがびっくりして目を開けると、グリュキュさんがキスをしていた。
慌てて離れようとすると、手を頭の後ろに回されて引き寄せられる。
今度は舌を入れられ、離れられないように口の中で絡ま──────────
十秒ほど経過した頃、ボクはようやく解放された。
「また会おうねぇ〜」
そう言いながらグリュキュさんは外に出ていった。奴隷時代にキスは数回程度された事があるものの、ねっとりそしてゆっくりと...初めて経験するキスにボクは頭がポーッとして、思考がまとまらなかった。
後ろにいた25番さんが話し出した。
「あれは相当気に入られたね〜!グリュキュ様は可愛い子をみると、キスをする癖があるんだ...っておーい?聞こえてるー?」
25番さんがボクの顔の前で手を振っている。
ボクはまだ脳が停止していて、反応出来なかった。
ボクは意識ここにあらずのまま25番さんに部屋を紹介され、そのままお風呂のある部屋まで連れられた。25番さんいわく「お風呂に入れば大体なんとかなる!」らしい。
ボクが脱衣場で服を脱いでいると、25番さんも一緒に服を脱ぎ出した。
「一緒に入るんですか?」
「お姉ちゃんだからね!」
25番さんは冗談を言うようにニコニコと笑っていた。
服を脱いでお風呂の引戸を開けると、大きな浴場に繋がっていた
「わぁ...!」
思わず声が上がる
「大きいっしょ〜!」
25番さんが自慢気に話した
「はい!!」
入浴する前にシャワーを浴びに行く。石鹸やシャンプーが一つ一つのシャワーにちゃんと配置されてる
(天国...!奴隷の時はこんな豪華なお風呂に入るなんて有り得なかった...!)
ボクが感動しながらシャワーを浴びていると25番さんが近付いてきた
「お姉ちゃんが背中を流してあげよう!」
ボクは慌てて断る
「そんな大丈夫ですよ!」
「まぁまぁ、そう言わずに〜!」
ボクは押しに負け、半分強制的に背中を流してもらう事になった
「痛い所とか痒い所あったら言ってね!」
「ありがとうございます」
洗ってもらっていると、25番さんが少し小さな声で喋り出した。
「背中の傷達...奴隷の時に?」
「はい...そうです」
ボクの身体には至る所に、鞭や剣でつけられた傷が残っていた。
「そっか...」
そう言うと25番さんは突然、抱きしめてきた。
「25番さん!?」
ボクは驚いた
「あまり良い事は言えないけど...いつでも頼ってね」
いつもの明るい声がその時は、優しさと何処か切なさのような声にまみれていた。
(温かい...今日は何度も温かくなってばかりだ)
シャワーを浴びた後、ボクと25番さんは大きなお風呂に入り気持ち良い時間を過ごした。
脱衣所で25番さんから服を貸してもらい、自分の部屋に戻ろうとすると25番さんが引き止めた
「あっ!部屋の中に何着か洋服が用意されてるけど、それは自由に使っていい物だからね!」
「それと...今後任務を共にする子と相部屋になるから、色々と覚悟ん”ん”ッ!色々と心の準備しといてね...!」
25番さんは何か言いかけた後、そのまま早足で部屋に戻って行った。
自分の部屋の中に入ると、ベッドや机などが部屋の半分を境に、合わせ鏡で置かれてる。
(なんだろうこれ...)
境の部分にカーテンのようなものが設置されている。
(多分仕切りかな?)
同じ部屋の子がどんな子かワクワクしながら、25番さんが言っていた服を探してみる。
収納出来そうな家具を開けてみると、そこにはちょうどサイズが合うくらいの黒い服やマントが入っていた。
(これ...25番さんや26番さんが来てた物だ!)
ボクはサイズ確認も兼ねてワクワクしながら着替える。
着替え中に突然、扉が開いた。
そこには協会でボク達の前に現れた「あの人」がドアノブを握って立っていた。