お姉ちゃん
地下の階段を下っていると、26番さんが手を横に出した
「人の気配がします...警戒して下さい」
そんなものまで分かるんだ、と思いながらゆっくり進む。
地下まで来るとそこはボクがよく入れられていた、牢獄のような場所だった。
(いつもなら一人くらい騎士の人がいるのに...)
少し不安を感じながらもボク達は奥へ入っていく
それは突然の出来事だった。目の前からボクと同い年ぐらいの子がナイフを持って飛び出してきた。
「ドールちゃん!」
25番さんがボクの名前を叫んでる。ボクは避けようとしたけどやめた。
こんなボクなのに、25番さんと26番さんは暖かい時間を与えてくれた。奴隷のボクにとってこれ以上の幸せはもう無いとまで感じた。だからボクは、この幸せな時間のまま死んでもいいと思ったんだ。
ボクは覚悟を決めて、目を瞑る。
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ナイフがギリギリの所で止まった。ゆっくりと目を開ける。ボクを刺そうとした人は、優しい目をしてこちらを見ていた。
「ごめんね」
その人はそう言って後ろに下がっていった。
ボクは戸惑いながらも頷いた。
その直後、25番さんが声を掛けてきた。
「ドールちゃん大丈夫!?」
「は、はい...大丈夫です」
「あの子が騎士達を全員...でもなんで途中でナイフを止めたのかな」
ボクにも分からなかったけど、一つだけ感じた事があった。
「多分あの人は...殺したくて殺してるんじゃないんだと思います...」
「ほう、何故そう思うのですか?」
26番さんが聞いてきた
「あの人は...優しい目をしてたんです」
「優しい目って...騎士達全員殺してたのに?」
25番さんが最もなことを言った
「なるほど...一度話をするくらいなら、やってみても問題無いでしょう」
「ありがとう、ございます」
その後、26番さんがあの人と話をしてる間に25番さんとボクは檻を開けて回った。
檻の中の人達は涙を流しながらボク達に感謝をしてきた。
一歩違えばボクもこの中に入ってたんだと思うと、少しゾッとした。
一通り開け終わったあと、ボクは少し眠気に襲われた。
「大丈夫?おんぶしていこうか?」
25番さんが声を掛けてくれた
ボクは心の中で(お姉ちゃんみたい)と思いながら返答する
「ありがとうございますお姉ちゃん」
少し沈黙が続いた。ボクはその原因を探る。
(お姉...ちゃん)
間違えて口に出してしまった!
25番さんの反応を伺う
「お姉ちゃんに任せなさい!」
25番さんは嬉しそうな顔をしながらボクをおんぶした。
こんな事を本人に言ったら失礼になるから言わないけど、ボクは心の中で可愛いと思った。
その後、ボクは25番さんの背中で深い眠りへと落ちて行った。