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【エピローグ】現実は変わらない

小中学校時代、いじめを受けた不登校になった大道隆史おおみちたかしは県外の高校へ進学を決めた。


そこには様々な出会いが待っていた。


逆境の中でも自分らしく生きる道を模索する隆史。


これは冴えない男子高校生がTシャツブランドを立ち上げていく物語である。


過去から逃げてきた新天地で隆史は自分の道を見つける。


様々な困難が立ちはだかる中、もがきながらも負けずに踏ん張り成長していく。

「お前、なんで生きてんの?」

耳にこびりついて離れないあの声は夢の中でも隆史を苦しめた。


大道隆史おおみちたかしは小中学校といじめを受けて不登校になった。

高校進学を機に生まれ変わろうと、県外の高校へ通う事にした。


今日から咲山高校に入学する。これまでの人生とは違う、楽しい日々を願い身支度を始めた。


片道2時間の通学、イヤホンでラノベを聞き登校する。


満開を過ぎた葉交じりの桜の元、咲山高校の入学式は執り行われた。


隆史は不安と期待を胸に1年B組の教室に入った。

クラスの大半は隆史と違って、所謂陽キャと呼ばれる明るい面々が揃っていた。


廊下側の後ろから2番目の席に座った。

隣には隆史と似た空気を纏う男子が座っていた。


杉原一誠すぎはらいっせいもまた同じことを感じていた。


「よ、よろしく」


一誠はぎこちなく隆史に話しかけた。


「う、、うん」


隆史も拙い返事で返した。


「なんか、みんなもう打ち解けてるみたいだね」


「そうだね、完全に置いていかれてるよね」


二人はクラスの輪から外れた者同士で打ち解けていった。


「はい、みんな席に座ってね」


担任の峰山みなみ(みねやまみなみ)が入ってきた。


「このクラスの担任の峰山みなみです。みんな1年間楽しい学園生活を送りましょう。」


みなみ先生が明るい声音で挨拶をした。


「じゃあ、まずは1人ずつ自己紹介しましょう。」


出席番号順で自己紹介が始まった。


「大道です。隣の県から来ました。よろしくお願いします。」


隆史は自己紹介の段階で陰キャレッテルを貼られてしまった。


「俺は岸本圭太きしもとけいた。みんな、よろしくな。」


後ろの席の圭太は見るからに陽キャでクラスカースト上位に立つであろう雰囲気で挨拶をした。


「あ、ごめんな~」


席に戻る際、圭太は隆史の上に座りクラス中から笑いを取った。


隆史は過去のいじめを思い出し、なにも言えず冷や汗をかいていた。


その後の順調に自己紹介は進んでいった。


「大道だっけ?お前暗すぎな。なんでわざわざ県またいでまでこの高校来たの?」


圭太は隆史に冷ややかな態度で接してくる。


「ゲーム研究部があるから」


いじめの話は隠し、応答した。


「まじ?ゲームのためにわざわざ来たのウケるわ。」


圭太の言葉にクラスの雰囲気染まり、隆史を過去のトラウマへと引きずり込もうとしていた。


(結局、俺はどこへ行っても同じなんだ)


その他、誰とも喋らず一日が過ぎていった。


下校準備をしていると一誠が声をかけてきた。


「ゲーム研究部見に行かない?」


圭太との会話を聞いていた一誠が隆史を誘った。


「実はゲームあんまり知らないんだ」


「え、そうなの?でも、さっき」


「あ、ああ、ゲーム研究部行ってみよう」


隆史は誤魔化すように言葉を紡いだ。


こうして理想とはかけ離れた高校生活が始まった。


しかし、この1年が隆史にとって人生を左右するものだとまだ誰も知るよしもなかった。

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