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隣街のアイドルと幼馴染みの少女

作者: タイラ・ヒラ・タイラ

行方不明。申し訳ありませんでした。


久々の新規投稿です。

この話は昨日、有給で休みだった際に外出の移動時間に思い付き8割程をその時に書き上げたものとなります。なのでがばがば設定となっています。

その辺りは暖かい目で見ていただけるとありがたいです。




「利樹。

 あの噂本当なんじゃないか?」

「噂?」

 俺は親友の大山健介の言葉に立ち止まると聞き返した。健介は興奮で顔を赤くして話を続ける。

「獅成留羽菜が隣街に住んでいるって噂だよ。数日前からクラスでも話題になっていただろ」

「シシナリルウナ?」

 知らない名前に首を傾げる。

 そんな俺の姿に健介はあきれ顔を浮かべるとため息混じりに語り出す。

「日本どころか世界一の美少女アイドルだろうが……お前は本当にそういうの興味無いよな」


「興味無いって言うかさ。知り合いでも無い人間の事に時間をさくなんてさ無駄だろ?」

「無駄って……」

 俺の考え方に信じられないものを見た様な表情を浮かべる。

「SNSが発達した世の中。推し活って言葉もあるんだぞ。お前だって好きなアイドル応援したくなるだろ?」

「全然」

「ああ。もう。これ見ろ」

 健介はスマホを取り出し、待ち受けを俺に見せる。そこには同年代だろう万人受けしそうな中性的顔立ちの美少女の姿。男女共に人気がありそうな娘だった。

 スマホから視線を外して、

「お前の彼女か?」

「だったらどんなに嬉しいか。つーか、この流れで彼女の自慢するかっての。彼女が獅成留羽菜だよ」

「へぇ」

「反応薄っす。

 と、とにかく彼女の存在を知ったら応援したくなるだろ?」

 スマホに写る獅成留羽菜をぼーっと見つめる俺に怖々と健介は話す。

「うーん。俺は別にいいかな」

「がーん。はじめて布教に失敗した」


 何故か落ち込む健介と別れて自宅へと向かう。

 今日の授業はなかなかハードだったから早く家に帰ってゆっくりしたい。




「しーちゃん元気になったかな」

 立ち止まり、空を見上げる。

 俺には幼馴染みが居た。短い髪をした少年の様な幼馴染み。何故か獅成留羽菜と幼馴染みの姿が重なるのだ。全然似ていないのに……

 彼女は小学校に入ってすぐに重い病を患い治療の為に海外へ引っ越してしまったのだった。

「そう言えば、引っ越しする前日に大喧嘩したっけ」

 記憶の引き出しを開ける。


 当時、彼女は格好も言葉使いも悪ガキのそれだったからずっと男と思っていた。

 引っ越す前日。俺は彼女に告白された。

()の病気治ったら……その。

 オレ……じゃなくて()をとっくんのお嫁さんにして……」

「えっ……無理だよ」

「そんな……」

 目に涙を溜め込むしーちゃん。

 俺は理由を男だと思い込んでいた彼女に告げる。

「お前も男だろ。男同士は……ぶへぇ」

「私は女の子だ!」

 しーちゃん絶叫と同時に俺の頬をとらえる右ストレート。変な声が漏れる。

「とっくんのバカ。もう知らない!」

 そう言い残して走り去る。



 その日の夜。

 布団に潜り、いまだに痛む左頬を手で押さえながら今日の衝撃的な出来事を思い出しながら俺にとってのしーちゃんとは……真剣に考え続け……



 翌日。

「とっくんのバカァ……」

 しーちゃんの家のガレージから弱々しい彼女の声が聞こえてきた。

 引っ越しの準備が終わりしーちゃん一家が車に乗り込むその寸前に何とか間に合ったようだ。

「何とかま、間に合った……はぁはぁ」

 俺は息も絶え絶えに考え抜いて出した結論をしーちゃんに伝えた。



 子供同士の将来の約束を胸に二人は別れた。再会を約束して……



「しーちゃんに会いたいな」

 独りごちる。

 もう会うことは出来ないだろう。何故ならしーちゃんが引っ越してすぐに俺も両親の仕事の関係であの街から引っ越してしまったのだから……


 センチメンタルになりつつ家の敷地に入る。


 俺は家には入らず飼い犬のポロの元へと向かう。疲れていたのだが気付けば足が向いていたのだ。

 ポロは元々は野良犬で正確な年齢は分からないがかなりの老犬である。


 ポロを飼うきっかけとなった出来事には俺としーちゃんが深く関わっていた。

 野山で二人で遊んでいた時に大怪我をしたポロを見つけたのだ。俺としーちゃんはポロを連れ帰り、治療をして俺の家で飼う事になったのだ。

「わうん」

 ポロはひと声鳴くとゆっくりと立ち上がる。

「今日も散歩行くか?」

「わふっ」

 俺の質問にまるで答えるかの様に再び鳴くと尻尾をゆっくりと左右に振る。

 数日前まで起きあがることさえ出来なかったポロが今では立ち上がり歩みは遅いが散歩に行きたがるのだ。


「じゃあ行くか」

 真新しいリードをポロに付けてポロの歩みに任せて進む。

「わふわふ」

 何かに急かされるかの様に必死に歩みを進めるポロ。


 今日、ポロの足が向かった先は神社であった。境内を進んでいると……

「わふん」

 不意に息を吐き、周囲を見渡してから首を傾げてその場に座り込むポロ。

「ん。疲れたか?」

「わう」

「じゃあ。少し休むか」

 もう少し先に椅子があったはずだ。


 椅子に座り、ポロを優しく撫でる。

 ポロは気持ち良さそうに目を閉じて……

「わぴゅい」

「ハハハ。寝ちゃったよ」


 五分程ポロの背中を撫でていると視界に社が入り込む。

「せっかくだからお参りするかな。ポロは…起こすの可哀想だな」

 ふっと思い立った俺は立ち上がり、()()()()リードを椅子に縛り着けてから社へと向かう。

 俺は賽銭を入れて願う。


「いつかしーちゃんに会えます様に……」


 すると突然、

「わふん」

 ポロの鳴き声が聞こえ、慌てて振り替えると境内を走るポロの姿。リードは()()()()()()()()()()()

 ポロの進む先には一人の少女。

「っ…………えっ?」

 彼女は走り来る犬に一瞬だけ表情をぎょっとさせたが直ぐに目を見開き驚きの声を漏らした。

「ひょっとして……ポロちゃん?」

 彼女はポロの名前を呼び、ポロを抱きしめたのだった。

「わふん。はっはっ」

「相変わらず面白い鳴き声ね。

 あっ。ポロちゃんが居るってことは……やっと見付けた」

 少女は優しい瞳で懐かしそうにポロを見つめると何かに気が付いた様に突然周囲を見回し、視線がピタリと止まる。二人の視線がぶつかる。

 俺は驚愕のあまり頭が真っ白になっていた。

 何故ならポロを抱きしめる彼女はさっき健介のスマホで見た……

「約束通り私をお嫁さんにもらってね。

 私。約束の通り元気になったよ。男の子と間違えられていたこと凄くショックだったんだよ。

 だから次に会う時は、もう間違えられないように私……頑張ったんだよ。ちゃんと女の子らしく綺麗になったでしょ?」

 見惚れる程綺麗な微笑みを浮かべて彼女は俺に言った。




 二人が神社で再会を果たした翌日にポロは満足そうな表情を浮かべて旅立って行った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。



追伸

受験勉強していたら幼馴染みの彼女が浮気してた。の結末5〖れん〗を書き直しました。

最終話については今週中にアップ致します。

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