三話
目を覚ますと、部屋が真っ暗だった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
ただ恐怖を感じた。
もうアレが夢だったとは思えない。
何か対策を考えないと、また殺される。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
早くこの部屋から出ないと。
もうあんな苦しい思いをするのは嫌だ。
けれど、そう考えて行動しようとしても体が震えて動けない。
この真っ暗な部屋が、無性に恐怖心を煽ってくる。
ーーカランコロンカランッ
リビングから物音が聞こえた。
早くここから出ないと。早くしないと、またヤツがくる。
はやく、はやくでないと……。
ーーガチャッ、ギィィィィイ
扉が開く。誰もいない。
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
ーーピンポーン
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
浅い呼吸を何度も繰り返し、シーツをクシャクシャになるまで強く握っていた。
……そしてまた、鬼人が現れた。
「はぁはぁはぁはぁ、うっ、ううぅ、おえぇぇ」
恐怖のあまり俺は、嘔吐した。
吐瀉物が鼻に詰まり、息ができない。
悪寒、頭痛、吐き気が俺を襲う。
「ぐぅ、はぁ、はぁ、はぁ」
そんな俺を見下ろし、槍を振り翳す鬼人。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
やがて鬼人は、無慈悲にその槍を俺の腹へ突き刺した。
「ぐあぁぁぁ!!」
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。
「ぐぅぅ、ひゅぅ、ぐぅ、ふひゅぅ」
呼吸が苦しくなり、だんだんと意識が薄れていく。
痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い……。