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8話 男魂集解散!

案件配信から数日後、まさか自分がこんな短期間に2度も事務所に訪れるとは思っても見なかった。


そんな事を考えながらも、いつもの様に行動して控え室に向かうとそこには、ラフな格好をしたケミーよりも少し年上そう30代ほどの男性と、何故か江戸時代の武士のコスプレをした20代後半の男性が、仲良さげにエナドリをテーブルに置いたまま、テーブルを間に挟んで話し合っていた。


そんな話し合っていた2人だったが、俺が部屋に入ってきたことに気づくと、一瞬誰だ?と言う顔をしたのち、俺が首から下げていた社員証を見て、誰だか分かったのかこちらに来るように手招きをしてきたが、正直そんな事よりも武士のコスプレをしている人がいることが気になり過ぎて、今はそれどころではなかった。


そんな感じで入口で呆然としている俺に、まさか自分の格好のせいで驚いて固まっているとも知らない、武士のコスプレをしている男が黒斗に近づくと、手を差し伸べて自己紹介をし始めた。


「お初にござる。拙者クラウン所属二期生の大和にござる。久方ぶりの同士の参入に拙者感涙してしまったで候。これからは拙者達、男魂集として心を一つにvtuber業界を盛り上げて参ろう!」

「あ、はい。クラウン所属五期生の黒斗です。よろしくお願いします」


ここで言い返しが出来ないところが、俺が人気が出ない理由なんだなと思いながらも、まさか裏でもこんな調子だとは思っておらず、めちゃくちゃ素の感じで挨拶を返してしまった。


そしてその様子を側から見ていた万場は、大和と黒斗を指差し年甲斐もなくゲラゲラと、口を大きく開けて下品に笑っていた。


閑話休題


それから正気に戻った万場先輩によって、今日俺達男魂集がやる予定の配信内容のおさらいが始まった。


「改めてだが、今回の配信内容は男気をテーマにしているんだ。それはもう説明したな新人」

「あーはい、そうですね。でも少し万場先輩質問があるんですがよろしいでしょうか?」

「ああ、自分に答えられる事ならいいぞ」


そう言われて俺は自分の隣に座っている大和先輩を指差し


「大和先輩っていつもこんなんなんですか?」

「いや黒斗くんこんなんって、一応彼君の先輩何だよ?と言うか自分もずっと気になってたんだけど、君って確か同期に対しても敬語で話してたよね?何で自分達には何というか、距離が近いのかなって、あっもちろんこちらとしては嬉しいんだけどね」

「ああ、その事ですか。俺って元々敬語キャラってよりかは、文句でも何でも本音で言うキャラで売ってるんですよね」

「それはまぁ1人で配信してるのを見てたら何となくわかるかな。初配信の時も色々とぶっちゃけてたしね」

「そうですね。始まりがアレだったんで、正直そこからの路線変更は難しいと思って、そういうキャラでやってるんですけど、やっぱりどうしても炎上ってのが怖くてですね……」


俺がそういうと、隣で静かに話を聞いていた侍、大和先輩が物凄い勢いで首を縦に振り、俺の意見を肯定してきた。


「その気持ち拙者にも、痛いほどわかるでござる。拙者達二期生がデビューした頃は、そんなにでもなかった物で、普通に同期ともコラボをよくしていた身だったのに、いつの間にか男女コラボをするだけで叩かれるようになって、それからは拙者も同期とはいえ、女性との1体1のコラボは避けるようになったでござるよ。」


ござる先輩にもそんな裏があったのかと、思いながらも話を進めた。


「正直俺も最初はござる先輩と同じ様に同期とのコラボは避けようとしてたんですけど、お二方も知っているとは思いますが、うちの同期の天才がですね、俺の事を脅してきて……まぁ、何というか半強制的にコラボせざるをなくなったんですよね」


そう俺がいうと、ござる先輩と呼ばれた大和先輩が少しクエスチョンマークを頭の上に浮かべながらも、何かを納得した様に頷き、俺と似た様な経験をしたのか、万場先輩は何か思い当たる様な顔をした。


「まぁ、それでどうしたら炎上しないか考えた結果が、あのめちゃくちゃ距離の感じる話し方だったんですよね」

「なるほどね。つまりは自分達への関わり方が変なんじゃなくて、他が変だと」

「まぁ、言ってしまえばそうですね。あともう一つの理由を述べるのであれば、アレですね、男魂集のメンバーって万場先輩がオチ担当で、ござる先輩がボケ担当ですよね?そうなったら俺が収まるべきはツッコミ担当ですよね?ツッコミがボケやオチにツッコむ時に、なんかよそよそしかったらそれって面白くありませんよね?」

「その発言内にツッコミ所が大量にある事は置いといて、黒斗くんの態度の理由はしっかりとわかったよ。それを踏まえて一つ言いたいことがあるんだけど、男魂集のツッコミ担当って自分じゃないの?」


何を言い出すかと思えば、全くの見当違いのことを言い出してきたので、思わず先輩に対して鼻で笑ってしまった。


「おいおいおいおい!黒斗くん今君自分の事笑わなかった?それも鼻で!」


そう先輩に責められそうになっていた俺に、助け舟を出したのはまさかの、先程から俺の話を真剣に聞いてくれていた、侍コスプレ先輩ことござる先輩だった。


「万場殿それで黒斗殿だけを責めるのはお門違いかと思われます」

「な、何故だ?」

「それは拙者も万場殿が言っている事が、見当違い過ぎて笑いそうになったからでござるゆえ。もし責めるのならば、黒斗殿だけではなく拙者も一緒に。それに何より、男魂集のツッコミ担当に相応しいのは拙者しかおるまい」

「ご、ござる先輩!」

「黒斗殿!」

「それは無い」

「なしてでござる!」


その後も俺達男魂集は誰がツッコミ担当だと言い合いをし、いつで経ってもスタジオに来ない俺たちを心配して見に来たスタッフさん達に止められるまで、そんなくだらない言い合いは続いた。


そして俺達がスタッフさん達に連行されている中、ふと思い出した様に万場先輩がこちらに質問を投げかけてきた。


「今更聞くのも何だが、黒斗くんは今回の配信本当に3Dでよかったのかい?せっかくの初3Dを黒子の姿で飾ってもよかったのかい?」

「本当に今更ですね。けど、それは何度も言いましたけど大丈夫ですよ。それに今からどう頑張っても五期生で初めて3D貰うのは、姫花さんって決まってますし、それならせめて五期生で初めて3Dで配信した称号ぐらいは貰っとこうかなと。あと初の3Dが黒子だったって感じで、少しでも話題になればいいかなって考えてるぐらいですかね」

「本当黒斗くんって色々考えてるよね」

「まぁそれぐらいやらないと、凡人は上にはいけないって事ですよね」


そんな事を話しながらも俺達男魂集はスタジオに連れて行かれ、そこでよくわからないスーツを見に纏い、軽く動いたりなどしながら色々とチェックを終えて、ようやく配信が始まろうとしていた。


◯


「第1回男魂集のツッコミ担当は誰か?選手権!はい拍手」


万場先輩のそのセリフで配信が開始すると共に、事前に告知していた内容と全く違うものが始まったのと、何故か画面の中に黒子が1人居る事などの、色々な情報がいきなり入ってきたリスナー達は困惑していた。


:え?何これ?男気チャレンジどこ行った?

:てか、あの黒子何?もしかして黒斗か?

:待ってどういう事?

:ツッコミ担当になりたいなら、この状況にまずツッコめよ!

:マジで謎w


そんな困惑しているコメント欄を横目に、万場先輩は動じずそのまま進行を進めていった。


「それでは今から我ら男魂集のメンバーを紹介しよう!まずはリーダー兼ツッコミ担当の自分は万場です。そして次は?」

「はい、拙者男魂集の用心棒兼ツッコミ担当の大和にござる。して最後が」

「どうも、男魂集新人兼ツッコミ担当の黒斗です。俺だけ3D衣装がない為、黒子のままですがそこはご容赦ください」

「以上3名が現在の男魂集のメンバーだが……皆も気づいているであろう違和感。そう何故か3人ともが自分をツッコミ担当だと自称している!という事で今回の企画は、この中の3人の中で誰が本当のツッコミ担当に相応しいかを決めようと思う!」


そう万場先輩が言い切ると、俺とござる先輩が拍手や声掛けで盛り上げる。


これで何となく今回の配信の趣旨が理解できたか聞く人するために、チラリとコメント欄を映している画面を覗き込むが……


:いや、だからこの状況にツッコんでない時点で、お前らの中にツッコミ担当はいないだろ。はいQED

:え?じゃあ告知の時言ってた男気チャレンジはどこ行ったの?


やはりというか何というか、全然伝わってなかった。


そもそも何で俺達男魂集のコラボがこんな状態になったかというと、それは俺たちがスタッフ達の手によって、スタジオに連れて行かれている最中。


俺が不意に「こんなにも俺達がツッコミ担当を取り合うんなら、いっそ企画にするのも面白そうですね」と冗談混じりで言ったら、それを聞いた万場先輩がその案いいねと言い始め、配信開始1時間前に内容変更すると言う、意味のわからない事をし始め、それを聞いたスタッフさん達は、皆一様に頭を抱え始めながらも、俺たちの3Dの体を調整する合間に、企画を練り直したり、男気チャレンジから使えそうなものを少し変更させたりなど、短時間でギリギリ配信できるレベルまでに仕上げてくれたわけだが、言ってしまえばそれでもギリギリだ。


その結果が俺達ライバーは全てをアドリブでやらないといけなくなり、今の自己紹介なども即興で考えたもので、この配信を見ているリスナー達もよくわからないと思うが、実際に配信を行なっている俺たちも、全てをわかっているわけではなくほとんどノリで始まってしまったのだから、どう言うことと聞かれても、俺たちにはその求められている答えを持ち合わせていないので、その質問には答えられずにいた。


そんなこんなで全てが謎のまま始まった、第一回ツッコミ担当は誰か?選手権だったが、その配信内ではスタッフさん達が考えたボケが散りばめられた文に対して、俺達が各々ツッコミを入れたり、他にも男気チャレンジで使うはずだった電撃マシーンを時間が余ったから使って見たりと、色々と酷い完全にノリだけで構成された配信になってしまったのだが、そこはスタッフ達の頑張りのおかげか、そこまで酷い事故は起こらずに済んだのだが、結局の所配信内容が全体的にフワッとしていて謎な場所も多かったのだが、そこに触れられたくなかった俺達が全力で無視し続けた結果……


「はい、えーでは今回の配信での総評がスタッフさんから出たので、自分が代表して読み上げますね。すぅ、男魂集のツッコミ担当は……居ないと言う事でした」


それはそうだろう。なんせツッコミ担当決定戦だか、選手権だか言っていた割に、結局ツッコミ関連は最初だけで後半なんて、俺達が電撃マシーンなどの元々男気チャレンジで使うはずだった道具で、勝手に遊び始めるだけと言う、結局ツッコミ選手権はなんだったの?となると近代稀に見るクソ企画だった訳で、それに対して俺たちは誰も止める事なくただただ子供の様に遊んでいただけなのだから、当然と言えば当然だろう。


そしてその後俺達3人で話し合った結果、今回色々やらかした責任を持って、男魂集を一旦封印するとリスナー達に説明し、またその日が来たら復活する事を伝えて、俺達男魂集の最初で最後のコラボが終了した。


◯


のだが後日男魂集でエゴサをしてみると、大の大人達が子供の様におもちゃで遊んでいる姿が、意外にも人気があり、中には男魂集がこの配信を機に封印された事を知り、復活を待ち望む声が意外に多いことに気づいた俺たちは、封印から1週間後に復活配信として3人で、オモチャのレビュー配信をして、リスナー達に総ツッコミされたのはまた別の話しだ。


◯


男魂集の最初で最後(仮)の配信を終え、配信内容は置いといて、普通に楽しかったと控え室で男3人で話し合っていると、俺の鞄の中から着信音が響き渡った。


「あ、すみませんちょっと俺出てきますね」

「いってら〜」

「了解でござる」


先輩達にそう言い俺は鞄からスマホを取り出し、控え室から出るとそのままスマホを自分の耳に当て電話に出た。


「はい、もしもし」

「黒斗?」


電話の相手は俺の同期の姫花さんだった。


普段なら連絡を取り合うとしても電話では無くメッセージでやり取りしたり、もししたとしてもメッセージアプリでの通話などだが、今はいつもと違い電話がかかって来たので、少し違和感を感じながらも姫花さんからきた問いにすぐに答えた。


「はい、黒斗ですけどどうしたんですか?」

「えっと……あ!さっきの男魂集だっけ?姫もちゃんと黒斗の配信見たよ!」

「そうですか、それはありがとうございます。もしかしてそれを伝えにわざわざ電話を?」


そうなら普通に嬉しいなと思いながら聞いてみたが、それすぐに否定された。


「ううん、姫もそこまで暇じゃないから、そんなことでいちいち黒斗に連絡なんかしないよ」

「さいですか……。では今日はどの様なご用件で?それとそう言うことは思ってもあまり発言しない様にしてくださいね、普通に傷付きますから」

「そうだったんだ!ごめんね姫が傷つけちゃって♡」


今の発言に素ですぐにこの返しができるところが、人気の秘訣なんだろうな〜と考えながらも話を黙って聞き続けた。


「それでぇ、本題なんだけどね。今日はちょっと黒斗に相談したいことがあって」

「相談ですか……。お金関連以外なら、答えられる範囲で答えますよ」

「お金は普通に黒斗よりもいっぱい稼いでるから安心してね♡それで相談なんだけど、相談事って言うのはフユキちゃんの事なの」

「フユキさんですか?」


そういえばこの前フユキさんが、自称有能マネージャーに何か相談していた様だが、もしかしたらそれ関連か?と思いながら姫花さんに話の続きを聞くことにした。

【★読者の皆様へ お願いがあります】

作者のなべたべたいです。


ブクマ、評価はモチベーション維持向上につながります!


ページ下部↓の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けたら嬉しいです。


よろしくお願いします!

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