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3話 アーちゃん登場!

つい先日、休憩を含むと合計で32時間ものの壺親父耐久配信を終え、そのおかげで登録者数は最終的には7万人を突破し、同接数は500弱から1000人ほどまで増加することができた。


それもこれも宣伝してくれた同期の2人のおかげだろう。


だがそれでもまだ1000人だ。

それも四桁を突破するのはゲーム配信の時だけで、雑談になると前の様に500人ほどになるし、更には他の配信枠が多く被った時には、同接数が100人ほどまでに下がってしまうのだ。


それに俺は特に何かが優れているわけでもないので、コンテンツ力が低く新規のリスナーを集められずに居た。


そんな事を考えながら他の配信者の枠を複数個画面に映しながら、自分でも使えそうなネタがあればそれをノートに写していると、ノックも無しにいきなり俺の部屋の扉が、大きな音を立ててこじ開けられた。


「クー君あーそーぼー!」


そう言って部屋に入ってきたのは、母方の親戚の子で、確か来年から中学生になるアキちゃんことアーちゃんだ。


「久しぶりだねアーちゃん」

「うん!ねぇねぇクー君、アタシ遊園地行きたい!連れてって」

「いきなりだね、でもごめんね。今から俺ちょっとお仕事があるから……」

「……?どうして、おかあさんがクー君はバイトっていうのやめて、暇になったからいつでも遊んでもらえるよって言ってたよ?」

「うんまぁ、アーちゃんのお父さんやお母さんに比べたら、俺はいつでも遊べるかもしれないけど、一応コレでも仕事してる身だから、今からは遊べないんだ」

「えー」


アーちゃんのご両親は、海外にも展開するそこそこ大きな会社の社長とその秘書で、特にお父さんの方は年中海外で飛び回っているほど忙しく、アーちゃんはよくうちに預けられていたのだが……


まぁ、vtuberという仕事柄身バレを気にしなければいけないのは分かるけど、もうちょっと説明の仕方というものはなかったのだろうか、これじゃあ俺がニートみたいなものじゃないか!


「まぁだから、一緒に遊べないんだごめんね」

「やだやだやだやだやだやだ!!クー君はアタシと一緒に遊ぶの!」

「じゃあ、今日のお仕事は1時間だけにするから、1時間だけ待ってくれないかな?」


そう言うと地面でジタバタと暴れていたアーちゃんは、スッと静かになりその場でちょこんと座り込むと、こちらを上目遣いで見上げてきた。


「ほんと?」

「うん、本当だから。俺がお仕事終わるまで母さんと遊んでてもらえるかな?」

「本当!絶対だよ。嘘ついたら針千本だからね!」

「うん約束ね」


指切りをすると、満足したのかアーちゃんは小走りで部屋を出て行った。


「よし、じゃあ約束もしたし、早く配信を始めるか」



――1時間と10分後――


「あー懐かし、俺もそのアニメ見てたわ!」


:あれは名作だよな

:どのキャラが好きだった?

:なっつ


「あー俺はあの子が1番好きだったな、あの全然喋らない……」


バンっ!


リスナー達と昔のアニメについて話し合っていると、部屋の扉が勢いよく開かれた。


「クー君!もう1時間経ってるよ!早く遊びにいこうよ!」


声のした方へと振り返ると、そこにはハムスターの様に頬をぷくりと膨らませたアーちゃんと、その後ろで両手を合わせて謝っている母さんの姿があった。


「あ、アーちゃん!ごめんね、今まだお仕事中で、直ぐにお仕事終わらせるから、後10分だけ待っててくれないかな?」

「やー!もう待ったもん!1時間したら遊ぶって約束したもん!」

「う、うんそうだったね、直ぐに終わらせるからちょっとだけ、本当にちょっとだけだから待っててくれないかな?」

「絶対にやだ!」


そう言い暴れるアーちゃんを宥めながらも、俺はパソコンを操作しながら自分の配信枠を閉じた。


「よし!今お仕事終わったから一緒に遊ぼっか」


俺がそう言うとアーちゃんは機嫌を取り戻し、元々行きたいと言っていた遊園地に2人で一緒に行った。



そして翌日の雑談配信


:アーちゃんを出せ!

:アーちゃんを出せ!

:アーちゃんを出せ!


「うるせぇ!このロリコン共が!」


昨日の事をアーちゃんのご両親に説明したところ、笑いながらうちの娘はこの歳で有名人か、と笑っていたが普通に一般人であるアーちゃんが勝手にネットに載せられる事はダメだと思うので、アーカイブを公開しなかった。


そして元々人気のない俺の配信をずっと録画していたリスナーも存在しなかったので、切り抜きも上がらず、そのおかげで昨日の配信を見ていたロリコン共が暴れ始めた。


「だーかーらー!何度も言ってるけどアーカイブは公開しないし、アーちゃんも配信には呼びません!と言うかアーちゃんとも呼ぶな!」


:ケチー

:おいおいロリコンとは流石に失礼だろ

:アーちゃんを出せ!


「はぁ……お前らな、しょうがないから教えてやるわ。実はなアーちゃんってうちではあんな駄々っ子だけど、外では真面目系でクラス委員長とかやってる子なんだから、あんな姿が同級生とかに見られたら可哀想だろ?だから、アーちゃんの事は諦めろこのロリコン共」


:何それかわよ

:何だぁ?クー君には特別ってか?ふざけんなバーカ!

:やばいアーちゃんの事推せるわ

:それって配信で話していいの?


「ん?別にそれはいいだろ。まぁもしアーちゃんが俺の配信見てたら怒るだろうけど、アーちゃん俺がvtuberやってること知らないし、と言うか何ならニートと思われてるしな……」


:草

:黒斗=ニート=俺つまりは、黒斗=俺!

:↑天才か!

:何ほど、俺はクー君だったのか!


「だから俺はニートじゃねーって!と言うか今のコメントが事実なら、俺の配信のニート率高杉だろ!今コメント欄の半分ぐらいが、俺に成り代わろうとしてたぞ」


:さぁ?何のことやら

:急にどうした?話聞こか?

:成り代わる?どゆこと?


「おい急に現実に戻るなよ!これじゃあ俺が異常者みたいだろ!」


:草

:www

:草


ドタバタドタバタ


「ん?なんかドタバタ聞こえるんだけどなに?今家に俺以外居ないはずなんだけど、怪奇現象なしこれ?怖っ」


:本当だなんか足音みたいなの聞こえるw

:ほら幽霊もアーちゃんを出せっていってるぞ

:急なホラーで草


「お前ら笑い事じゃねぇよ!こちとら普通に怖いからな!」


ドタバタドタバタドタバタ!


「ほらどんどんこっちに近づいてきてるじゃん!」


そんな風にガチ目に怖がっていると、足音は次第に大きくなっていき、その足音は俺の部屋の前で止まった。


そして次の瞬間、扉は1人の少女の手によって大きく開かれた。


「クククククー君!こ、これどう言う事!?」


そこに居たのはピンクのカバーをつけたスマホで、俺の配信を開きそれをコチラに突き出している、学校帰りなのか真っ赤なランドセル背負ったアーちゃんがそこに居た。


「アーちゃん?」


:キター!!

:神展開!

:配信見られてて草ァ!

:アーちゃん登場!


「クー君こ、これどう言う事ですか!」

「どう言うことって、それよりどうやって俺がvtuberやってるって知ったんだ?」

「それはお母さんに……ってそうじゃなくて!どうしてもっと早く行ってくれなかったんですか!そしたらあんな事にならなかったのに!」

「あんな事って?」


:何か痴話喧嘩みたいなの始まったw

:黒斗の反応が浮気がバレた時の反応みたいで笑う

:アーちゃん昨日とは全然違うね


「それは……お父さんとお母さんがクー君の会社の人と話し合って、それでアタシが出てる動画を貰ったらしくて、それの感想を動画付きで送ってきたの!」

「あー」

「アタシは家では真面目なキャラで通ってたのにどうしてくれるのよ!」


なるほど、そう言う事だったのか……。


それとちなみに言うと、アーちゃんのご両親とクラウンを繋げたのは俺で、尚且つその動画を編集したのが俺だと言う事は黙っていた方がいいだろう。


「ん?家でも真面目キャラって言うけど、よくうちの母さんがそっちの両親に俺と遊んでる動画送ってたはずだけど……」

「えっ!」


:筒抜けで草

:アーちゃんマジでかわよ!

:何このかわいい生物!

:すこすこのすこ


「……」

「……」

「そう言えば今も配信中だけど大丈夫?」

「あっ!」

「配信閉じよっか」

「うん」


:配信終了w

:配信時間約15分

:最長配信記録32時間 NEW最短配信時間15分

:マジで終わったぞw

:事故しか起こさないなw



配信終了後、俺は今回の件をアーちゃんの頭を撫でる事と、プリンを作ってあげる事で許してもらった。


本当に色々とごめんね

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