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2話 壺親父

俺が初配信でブチギレてから3日後、初配信で色々とやらかしたおかげで、俺は3日間の謹慎を喰らってしまった。


実際俺もアレはやってしまったと反省しているので別にいいのだが、初配信を見ていたケミーから気持ちは嬉しかったけど、黒斗の初配信がめちゃくちゃになってしまった事を謝られたが、アレは俺が勝手にやった事だし、それに反省はしているが全くもって後悔はしていないので、特に何とも思っていなかった。


だってそうだろ?たった1ヶ月だとしても、色々話し合った時にケミーの努力も見れたし、五期生の皆んなは俺にとって大切な仲間になったんだ。


それをアリもしないことで叩いている奴等に、ああいって何が問題があるんだと、俺は正直に思っていたし、他の2人も運営やケミーに俺から停められていたせいで、配信ではケミーのことについて触れていなかったが、裏では俺同様にキレていて、今回の俺の初配信を見て少しスッキリしたと言っていた。


それに一応だが、俺の初配信はちゃんと成果も引っ付けているんだ。


初配信を終えた日に、やり過ぎたと少し反省したので、ネットで色々と調べていると、どこぞの暴露系を含めた複数名が、再生数の為に上げていたケミーを叩く動画を消しており、軽くだが謝罪文を投稿している者達もいたのだ。


だがとは言っても、やはりほとんどの者達は身内贔屓だとか言って、流石に犯罪者呼ばわりは辞めたが、それでもやはり荒れている状態は続いていた。


話は変わるのだが、実は俺の両親は何度か俺達五期生が話し合いをしているところを見にきては、俺の様子などを他のメンバー達に聞いていたりしたおかげで、それなりに五期生の面々とは仲が良く、特に父さんとケミーは車が趣味で、まさかの息子を介さず趣味の話をしあうほどの中になっており、今回の件はもう今までの人生で、一度も見た事もないほどブチギレていた。


その様子をケミーに伝えると、ケミーは少し泣いているのか、くぐもった声で「ありがどう」と一言呟いた。




そして正直俺の今1番の問題は、ケミーの事ではなく俺の自信の事だ。


実際問題初配信はやり過ぎたので、アーカイブは投稿せずに、謹慎中に事務所で撮った別の初配信動画を投稿したが、まぁなんと言うか予想通りと言いますか、それが伸びず……


五期生の初配信ブーストには乗り遅れ、いざ初配信が始まったらブチギレて、更にはそこから3日も謹慎だ。


正直に言おう、もし実際にこんなvtuberが居たら見るか?

答えはNO絶対に見ないであろう。


もちろんそれでも見てくれる人は何人か入るだろうが、やはり見ないと言う人が大多数だろう。


それは俺のチャンネル登録者数と他の同期の登録者数を比べてみれば一目瞭然だ。


まずは姫花さんだが、やはり俺の予想通りその才能を異感覚発揮し、初配信の日には大手でも珍しい25万人を突破し、今もなおその勢いは止まらず、現在の登録者数は、クラウン内でも上位に入る100万人をつい先日突破したようだ。


それに続くのはまさかのケミーで、ケミーは俺のアドバイスを生かして、配信では初心者にも分かるように、説明をしたりしながら配信をしていたおかげで、切り抜き数は姫花さんを超え、そのおかげで配信には人が増え、結果初配信の日にはやはり男性という事もあり、登録者数は箱ブーストのお陰でギリギリだが5万人を突破し、そこからは徐々に登録者数は増えていき、最終的には35万人を突破していた。


そして最後がフユキさんだが、俺の予想では正直姫花さんの跡を追うように、人気になると思っていたのだが、初動は清楚な女性という事もあり人気で、登録者数は10万人を超えたのだが、そこからあまり伸びず、今はそこにプラス10万人の20万人で止まっている。


そして最後に1番の問題である俺だ。


初めの方は他の五期生が頑張ってくれたお陰で、同じ五期生という事もあり、俺は配信をしていないにも関わらず、登録者が5万人もいたのだが、それでもやはり1ヶ月は長く、徐々に登録者数も減っていき、俺が初配信をする日には、企業勢としては大失敗の1万人を下回る9千にんになっており、更には今回の初配信の内容のせいで、リスナー達は俺の扱いに困った結果、今の俺の登録者数は2万にんとなっている。


正直他の企業や個人勢なら大成功とも言える数字だが、クラウンのそれも一年ぶりの新人と期待された五期生としては、失敗も失敗、大失敗な結果になっていた。


その状況を見た、姫花さんとフユキさんに、どうにかこの状況を改善する為にと、コラボを誘われたが、今の時期はvtuberとして1番大切な時期で、俺のやった事に2人を巻き込めないと感じた俺は、2人には感謝をしながらもその申し出を断った。




さて、そんな風にコレからのことを考えていると、時間は過ぎて行き2度目の配信の時間が迫ってきていた。


そろそろ配信の準備をしなくては、そう考えてパソコンをいじりながらもこれからの事を考え、何かいい感じの案が思いつくと、それをメモに取りながら作業を進めた。



「はい、どうも皆さんお久しぶりです。黒斗です。今回は結構前に流行った壺親父って言う、半裸のおっさんが下半身を壺に入った状態で、手に持ったツルハシで進むゲームをやっていきたいと思います」


:うわ懐かし

:1年ぐらい前ほぼほぼ全員がやってたよな

:このコメントは削除されました

:黒斗さんはこのゲームやった事あるんですか?


「一応流行った時に何度かやった事はありますけど、アレですね……難しくてほとんど進みませんでしたね。皆さんはどうでしたか?クリアした人っていますか?」


:一回だけなら

:中盤まで進んだところで、1番下まで落ちてやめました

:自分金壺です


「ファー!金壺とかマジかよ、すご……確かアレって50回登頂した人だけが慣れる、人間卒業の証だよね?」


:金壺ニキすげー

:金壺ってそうやって取ってたんだ

:金壺ニキ勝手に人間卒業させられてて草

:どうもついさっき人間卒業しました金壺ニキです


「あれ?金壺ニキアカウント名変わってね?」


先程まではクラウン箱推しと言うアカウント名だったのに、今の一瞬でアカウント名を変えてきたのか、人間卒業した金壺ニキと言う名前に代わっていた。


「それじゃあそろそろゲームを始めよっか」


という訳でリスナーとの会話を一旦区切り、コメント欄から少し目を離して、ゲーム画面の写っているメインモニターに視線を映した。


壺親父と言うゲームは、その名の通り壺に入ったおっさんが主人公のゲームで、どう言うストーリーかそのおっさんが手に持っているツルハシをマウスで操作し、宇宙を目指すと言う意味のわからないゲームだ。


そしてなぜこんな謎ゲーが流行ったかと言うと、それはそのゲームの難しさと鬼畜さが要因となっている。


まずゲームの難しさだが、今俺が操作しているようにマウスカーソルの先がツルハシになっており、それを回転させることによって前へと進んだり、途中にある障害物を乗り越えていくのだが、コレがいかんせん操作性が悪いのかなんなのか、全くもってうまくいかず、配信を開始してから約30分が経っているのだが、まだ第一の試練でもある縦に長い崖を登れずにいた。


「はぁーもうコレ本当にどうやってやるんだよ!本当にどうやってクリアすんだよ……」


:崖登れずイライラしてて草

:まぁ、慣れないうちは本当に難しいからなココ

:俺はここ登れなくて、ゲームやめたわ


その後も何度か苦戦しながらも、金壺ニキや他のクリア者の意見を聞きながら、ゆっくりとだが着実し進んでいく。


そして配信開始から既に2時間が過ぎ、よく壺親父で初心者に取っての難所と言われている、小さな縦穴の左右についているランタンを伝いながら上へ上へと上がるという、少しテクニックの必要な場所を攻略方法を聞き、長い時間をかけてようやく突破したと思った瞬間。


俺の操作する壺親父は、縦穴から勢いよく飛び出し、そのまま進行方向とは真逆の崖へと飛び、その勢いのまま崖の下へと落下して行った。


落下の最中どうにかできないかと、俺は一生懸命ツルハシを振り回すが、そのツルハシが届く距離には何もなく、そのままなすすべなく俺は1番下の崖の前まで落下してしまった。


そうコレが壺親父が流行った理由の一つのどんなか頑張っていようとも、たった一つのミスでスタート地点、もしくは相当前まで戻されると言う鬼畜仕様だ。


「クッソがァァァァー!!俺の2時間を返せ!」


:草

:コレが壺親父の醍醐味

:このコメントは削除されました

:コレがまだまだ最初という事実


「やってられるか!はい、という事で今日の配信はコレで終わります」


:え?逃げんの?

:ここからが面白いんだろ?

:は?続きは?

:おいおい、それでも配信者か?


おーおー言ってくれるなコイツらは、……そうだ!


「そうだな……そんなに続きをやってほしいのなら、俺が出す条件をクリアできたら、壺親父クリアまでの耐久配信でもなんでもやってやるよ」


:お!

:言ったな

:後悔するぞ

:それで、その条件って?


「条件ってのはな、俺のチャンネル登録者数をコレからの1週間以内に、2万から5万人に増やしてみろ。コレが条件だ。これなら実際に5万人突破したら俺が嬉しいし、もし失敗したとしても壺親父の続きをしなくてもいいから、俺的にはどっちになってもいい感じだな」


:そんなんでいいの?

:一応色々あったせいで、二万人まで減ったけど、元々配信もせずに5万人居たんだけど大丈夫?本当にやることになるよ?

:祝チャンネル登録者数3万人突破おめでとうございますw

:うわっ凄い勢いで登録数増えてるw


正直俺は自分のチャンネルが1週間じゃ5万人突破出来ないだろうと、たかを括ってやりたくもない耐久配信をすると言ったし、何より今俺の配信を見ているリスナーの数は500人弱で、今回の件で少しでも登録者が伸びるだろうと思って言ったのだが……


「なんか伸び早くない?どうしたの君達同接500ちょっとだよね?既に5000人ぐらい増えてるんだけど?もしかして皆んな複垢10個持ってるの?え、壺親父やりたく無いんだけど」


:正直で臭

:本当に急に増えたよねw

:いやーなんでだろうねw

:そういや同接も1000人増えてる事も言う?

:いやーコレがてぇてぇか

:今からでも10万人に変える?


「え、マジでどういうことだ?やだなー耐久配信……やりたくねぇ。」


:やりたくねぇが切実過ぎて笑う

:四万人突破おめでとう!

:耐久配信まで、後1万人!!


「うわぁぁぁぁ!!もう見たくねぇ!今日の配信はコレでお終い!じゃあまた明日の配信で、じゃあおやすみ!」


:あ、逃げたw

:お疲れ様でした

:いやー耐久配信楽しみだなw

:おめでとうございます!耐久配信確定です



配信も終わり何故いきなり自分の配信に人が集まり出したり、登録者数が激増したのかと思い、トゥイッターで軽く調べたところ、トゥイッターで姫花さんとフユキさんが俺の配信を見ていたらしく、俺が耐久配信をどうのこうの言っっている部分を切り抜いて、それを見た姫花さんとフユキさんのリスナー達が、俺のチャンネルを登録しにきたということだったらしい。


そんな自己分析をしていると、事務所から渡された仕事用のスマホにメッセージが届いた。


姫花『どう?びっくりした?ねぇねぇ黒斗今どんな気持ち?登録者数を軽く伸ばしながも、耐久配信をしないと確信して言ったはずなのに、目標があっという間に達成しちゃって、今どんな気持ち?』


黒斗『イライラ』


フユキ『まぁ今回のは私達のコラボを断った仕返しですので、黒斗さんにはありがたく受け取ってほしいですね』


黒斗『あ、はい。ありがとうございます』


姫花『w』


フユキ『耐久配信楽しみにしてますね』


黒斗『頑張らせていただきます』


そう言って俺はスマホの画面をそっと閉じた。


本当に俺は同期に恵まれてるな……。

【★読者の皆様へ お願いがあります】

作者のなべたべたいです。


ブクマ、評価はモチベーション維持向上につながります!


ページ下部↓の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けたら嬉しいです。


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