漂うように生きていたい
漂うように生きていたい。
空を流れる雲のようになんて月並みなことを言わず、
風に飛ばされるビニール袋のようにでも構わない。
誰かに指図されることなく、
自然の力に翻弄されて、
ただただこの世をさまよっていたい。
全ての義務から解放されて自由を謳歌したい。
暗く、深いよどみにはまって、抜け出せなくなっても、
そこからはい出して自由になりたい。
先が見通せない深い霧に阻まれても、
その先にある見晴らしの良い丘の上から、
ぼんやりと地上を見下ろしていたい。
世界はこんなにも広いのに、どうして人生はこんなにも狭いのか。
同じことの繰り返しに窒息しそうになりながら、
今日もまた灰色の空を仰いでいる。
明日、目が覚めたら自由になるんだ。
世界が真っ白になって、どこまでも、どこまでも、遠く。
遠く見果てぬ地上の果てを射抜くように真っすぐな視線で、
じっと、じっと見つめるのだ。
世界の果てを夢見てさえずる鳥よ。
籠から出たら誰も守ってはくれないよ。
僕の命は檻と枷によって守られているんだ。
安寧に満ちた生活は息苦しい。
その苦しみから解放されて得られた自由は、
赤い血で染まっている。