第91話 城に着いた夜は寂しく
長い馬車の道のりも終盤を迎え、ようやく城へと帰ってきた。
「皆さん、只今戻りました。いつもありがとうございます」
代わりに公務をしているお義母様たちは皇宮に居る為、城を留守にする間は使用人の方々が少人数で維持してくれている。
他国に滞在する時は使用人を普段より多く連れていくことがあり、城に残る使用人は少なくなってしまうのだ。
その数少ない人数でこの広い城を毎日掃除をして維持してくれているのだから、かなり疲れさせてしまったことだろう。
(今度皆さんに休んで頂かないと。後でヴァイ殿下に伝えておこう)
城に着いてからトイフェリンは自室へと行き、湯浴みなどを済ませベッドへと横になる。
「落ち着く…」
やっぱり自室のベッドが一番安心する。
綺麗に洗濯されたふかふかのベッド。宿舎やメーアの皇宮のベッドもなかなかだが、自室のベッドは格別だ。
「お疲れ様でした、お嬢様!」
「リナも疲れているでしょう?今日は早く休んで」
「では、お嬢様のお言葉に甘えて。お嬢様もしっかり休まないとダメですからね!!」
「うん。おやすみ」
「おやすみなさいませ~!」
リナは自分の部屋へと戻っていった。
今回のことでリナにもとても心配をかけてしまっていた。
ヴァイゼと一緒に居たことでリナ自身に何か起こることは無く、トイフェリンそのことに安心していたが、リナは自分がついて行けなかったことが悔しかったそうだ。
ヘルヘーニルの計画上、アクストでもリナであっても同じ展開になっていたと思う。
しかし、リナがついて行っていたらアクストのように一人で海から出るのは難しかっただろう。
リナが悔しかったのはそれだけではないようで。
トイフェリンたちが前線でヘルヘーニルと闘っている中、自分は後ろの方で怪我をした人の手当てしか出来なかったこともだそうだ。
とはいえ、それがあったからかいつも以上に張り切って今日は仕事をこなしていた。
悔しい気持ちはあっても、落ち込まない前向きな性格にはトイフェリンも憧れる。
そんなことを考えながら、トイフェリンは寝返りをうった。
まだ疲れは溜まっているものの、トイフェリンの頭は冴えていてまだ眠れそうにない。
今夜、ヴァイゼは忙しくしているようで一緒に眠れないとのことだった。
せっかく城に帰ってきたのに仕事とはヴァイゼらしいが、身体が心配で何とも言えない気持ちだ。
それに、約束をしてから一緒に眠らないのは今回が初めてで寂しい気持ちになる。
(明日は一緒に眠れるでしょうか…?)
この前勇気を出してヴァイゼに抱きついて眠ったからか、余計に寂しく感じてしまう。
すっかり慣れてしまった温もりも、いつものおやすみも今夜はない。
寂しさを感じながらも、トイフェリンはそっと目を閉じた。
読んで頂きありがとうございました!
今回は久しぶりのリナの登場でした。
リナの明るくてお嬢様大好き精神は書いていてとても楽しいです^^




