第89話 最後の日
それから、皆の協力によって修復はすぐに終わり、トイフェリンたちは皇宮で食事をとることになった。
もう、明日にはアオスへと戻る。
アルドもティーフも、自国へと帰らなければならない。
そこで最後に皆で集まって食事をしよう、ということになったのだ。
「「これからのメーアの発展を願って、乾杯!」」
お酒を飲んで酔ったティーフは、ヘルヘーニルにしつこく絡んでいる。
「独り身同士頑張ろ~う!」
「うるさい!お前と一緒にするなよ、この酔っ払い!」
ヘルヘーニルは顔を歪ませ、嫌々相手をしているように見えるが、仲良くしてくれていることが嬉しいようだった。
アルドはお酒に酔うとすぐに顔を赤らめるし、物凄い眠気に襲われる為、呂律が回っていない。
「アルド殿下大丈夫ですか?」
「うん…、だいじょうぶだよ…」
ソフィアの心配に、アルドはへにゃりと笑顔を浮かべているが、今にも倒れて寝そうだ。
そんな四人をトイフェリンとヴァイゼは温かく見守っている。
ヴァイゼはかなりお酒に強い為酔わないし、トイフェリンも実はアルドやティーフよりも強いのだ。
「騒がしい…」
「でもこうやって集まって食事をとれることは滅多に無いことなので、楽しいです」
「…そうだな」
アルドがそろそろ限界に近いことで、食事は終わりとなった。
トイフェリンは湯浴みを済ませ、ベッドに横になる。
ヴァイゼはまだアクストと話しているようで、部屋に戻ってきていない。
その間、トイフェリンは天井を見上げ考え事をしていた。
(これで全てが終わったのですね…)
そう安心し全身の力が抜け、自分が物凄く疲れていたことに気づく。
それもそうだ。海に飛び込んだり、走ることも多かったし、初めて魔法も使ったのだ。
それに、ここまでとても長い時間が掛かっていた。
トイフェリンが夢見て、建国祭があった時は春だったのに、今はもうすぐ冬が始まる季節だ。
今までで溜まっていた疲労が、安心したことで一気に押し寄せてきたのだろう。
目を閉じて、眠ってしまいそうだった時、ちょうどヴァイゼが戻ってきた。
「お帰りなさい」
「起こしてしまったか?」
「いえ、ヴァイ殿下が戻って来るのを待ちたかったので、眠気と闘っていました」
「そうか。ならもう眠りにつくとしよう」
ヴァイゼもベッドに横になり、トイフェリンと向かい合う。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ヴァイゼが目を閉じた時に、トイフェリンはヴァイゼに抱きついた。
そしてそのまま寝たふりをして、ヴァイゼの反応に気づいていないように振る舞う。
「どうした?」
目を見開いて驚くも、トイフェリンからの返事はない。
それから、ヴァイゼもトイフェリンに腕を回しお互い抱きついて眠る形に。
トイフェリンはヴァイゼの腕の中が心地よくて、疲れもあってすぐに眠りについてしまった。
ヴァイゼが葛藤しているとは知る由もなく。
(…今日は眠れないかもな)
そう思ったヴァイゼの顔は、嬉しいそうに笑みを浮かべていた。
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