第87話 ヘルヘーニルとの戦いは決着を迎える
ティーフが困惑しているトイフェリンにそう言った。
「私が?どうして…」
自分が聖女かもしれないなんて考えたことがない。
ソフィアが本当の聖女じゃないと知った時も、自分以外の誰かが聖女なのだろうと思っていた。
魔法のことだってつい最近知ったことだ。
聖女に魔法が関係しているのなら、聖女に関する多くの情報は皇室の人により厳重に保管され、トイフェリンのような貴族が知れる情報は極僅かだったということになる。
いくらトイフェリンが聖女について学んでも、皇太子たちが聖女を調べれば知識の差は圧倒的に開く。
実際、アルドがソフィアと会った時は聖女がどういった役割をするのかなど知らず、聖女という名だけ覚えていて以前学ぶべきと言っていた通り学んだことで、今はトイフェリンよりも詳しいだろう。
「前の聖女が不明だから、何時からトイフェリン嬢が聖女になったかは分からないけれど、君の人柄なら神に愛され加護を受けて聖女に選ばれるのは分かる気がするよ」
アルドの言葉に皆、賛同するように頷いている。
「皆さん…」
(そのように思っていて下さったなんて…)
自分が聖女になったことに動揺の気持ちはまだ残っているが、責任と自信を持って自分の役目を全うしたい気持ちが強く芽生えた。
「この力を授かることが出来たのなら、国も、街の方々も、ここに居らっしゃる皆さんも、お守り出来るように精一杯尽くします!」
トイフェリンの宣言に騎士たちの士気も上がり、活気が戻って行く。
「う、るさい…、僕は…」
ヘルヘーニルの意識が少し戻ってきたのか、少し苦しそうにしている。
禁忌の魔法を使い続けた代償だろうか。
なんにせよ、今が攻撃をするに良い時だ。
「俺とアルドとアクストと騎士たちで攻撃はどうにかする。その隙に二人はヘルヘーニルの方に行って」
「分かった。フェリン、行けるか?」
「はい!」
皆が攻撃を防いでくれている間に、ヴァイゼと共にヘルヘーニルのすぐ近くまで走り抜けて行く。
「こっちに来るな…!」
ヘルヘーニルからの攻撃も華麗にヴァイゼは避けていき、剣先が届く位置まで辿り着いた。
「ここにある全てに神様のご加護がありますように!」
「正気に戻れ、ヘルヘーニル!」
ヴァイゼの剣はより一層に光を増し、その温かい光はヘルヘーニルの纏う黒い霧を一瞬にして消し去る。
ヘルヘーニルの攻撃が収まり、その光景を全員が見届けていた。
正気に戻ったヘルヘーニルは、地面に膝と手をついて震えている。
「そんな…どうして…」
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